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いまさら聞けない栄養の話
健康なイメージが落とし穴 果物や野菜の食べ過ぎに注意
日経DI2013年12月号

2013/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年12月号 No.194

太田 篤胤 Atsutane Ohta
城西国際大学薬学部教授
東京農工大学卒業。テルモ、明治製菓を経て、2004年から現職。「オリゴ糖のミネラル吸収促進作用」の研究で、トクホを商品化した経歴を持つ。趣味はフルマラソン。

 秋から冬にかけて毎年決まってHbA1c値が悪化する糖尿病の患者さんがいる。その患者さんの家の庭には大きな柿の木があるそうだ。

 実りの季節は、食欲の季節。作物が収穫の季節を迎える秋から冬にかけては、涼しくなって食欲が増す時期とも重なるため、栄養管理においては特に注意が必要である。

野菜や果物でも血糖は上昇

 健康維持や癌予防に野菜や果物の摂取が推奨されていることも手伝って、「野菜や果物をたくさん摂取するのは良いこと」と単純に考えている人は少なくない。また、健康的なイメージがあるからか、野菜や果物については摂取カロリーへの配慮がおろそかになることが多く、中には「野菜はカロリーゼロ」などと極端な誤解をしている人もいる。

 果物は甘いので、さすがにカロリーゼロと考える人はいないと思うが、それでも、果物であれば存分に食べても構わないと思い込んでいる人がいる。

 しかし、実際には、果物には糖分がたくさん含まれているし、野菜であっても、例えばかぼちゃやにんじんなどには糖分がたくさん含まれているため、それらを食べれば血糖値はしっかり上がる。

種類や食べ方も大きく影響

 野菜や果物が健康に寄与するかどうかは、食べる量だけでなく、種類や食べ方にも影響を受ける。米国で行われた大規模な疫学調査からは、日常的な果物の摂取により2型糖尿病の発症リスクが下がるが、その効果は果物の種類や食べ方によって大きく異なることが明らかになっている。

 調査では、果物を1週間に4皿未満しか食べない人に比べて、毎日1皿程度食べる人では2型糖尿病の発症リスクが約12%低かった。

 次に、果物の種類やその摂取方法による2型糖尿病の発症リスクへの影響の違いについても検討した。特定の果物を週3皿ずつ食べた場合と、その果物を全く食べなかった場合を比較したところ、2型糖尿病の発症リスクの低減効果は、ブルーベリーが最も高く(26%)、次いでぶどう・レーズン(12%)、プルーン(11%)だった。

 一方、バナナ、グレープフルーツ、桃、オレンジの2型糖尿病の発症リスク低減への効果は小さかった。イチゴやマスクメロンは2型糖尿病の発症リスクをむしろ高めるという結果が得られた。

 興味深い結果が出たのは、摂取方法による影響だ。調査では、果物ジュースを1日1回以上飲んでいる人は、週に1回未満の頻度で飲んでいる人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが21%も高いという結果が出たのだ。

 同じ調査で、果物をジュースにせず1日1皿以上摂取した人では2型糖尿病の発症リスクが低下することが明らかになっているため、摂取形態により逆の影響が認められたことになる。調査を行った研究者は、この違いは食物繊維の含有量に起因するのではないかと推測している。

 野菜や果物が健康にいいのは間違いないが、種類や食べ方を考慮し、適量を食してこそ、健康に有益といえるのだ。

参考文献
1)BMJ 2013;347:f5001.

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