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OTCトレンドウォッチ
花粉症の治療薬
日経DI2013年12月号

2013/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年12月号 No.194

林 芳行
Yoshiyuki Hayasi
株式会社インテージヘルスケア事業本部 SDIインデックスマネージャー
同社のSDI(全国一般用医薬品パネル調査)をはじめとした、OTC薬の市場動向について分析している。市場調査・マーケティングリサーチのパイオニアであるインテージで、OTC薬を含むヘルスケアを担当。
SDI(全国一般用医薬品パネル調査):
全国3211店の薬局・店舗販売業、ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンターを対象に、OTC薬をはじめとしたヘルスケア関連のPOSデータを収集し、情報提供するインテージのサービス。

三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長、薬剤師
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、一般用医薬品に関する寄稿や講師の活動も行う。

 花粉症の治療薬の一般用医薬品(OTC薬)では、鼻炎治療薬として経口薬と点鼻薬、アレルギー用点眼薬が販売されている。

 販売額は、スギ花粉飛散量が多い2~4月の額が年間の4~5割を占めることから、その年の飛散量に大きく影響を受ける。

実際、2013年の花粉飛散量は例年に比べ多く、鼻炎治療薬(経口薬と点鼻薬)の年間販売額(10月~翌年9月)は過去5年で最高を記録した(図1)。この5年間の傾向としては隔年で年間販売額の増減があることが分かる。

図1 鼻炎治療薬、アレルギー用点眼薬の年間販売額(SDIによる)

 3つの剤形の中で特に販売額が多いのは経口薬である。この背景には医療用からスイッチされた成分を配合した製品数が増え、販売が急激に伸びているためと考えられる。

 例えば過去2年では、エピナスチン塩酸塩やフェキソフェナジン塩酸塩などの成分が配合された新製品が発売され、第1類医薬品の販売規模が急伸している(図2)。

図2 花粉シーズン(2~4月)のリスク分類別販売額(SDIによる)

 これらは第2世代抗ヒスタミン成分で、従来の第1世代の製品と比較して「眠くならない」ことを売りにしている。また、比較的“切れ味”のよい製品として、患者に選ばれているとみられる。(林)

 花粉症などアレルギー性疾患の鼻炎薬には、抗ヒスタミン成分の単味のほか、副交感神経遮断成分、消炎酵素成分、抗炎症成分、カフェインなどを配合したものがある。また、点鼻薬は、ステロイドを配合したものが主流となっている。

 最近では、医療用の成分がスイッチ化された第1類医薬品が登場している。

 アレグラFX(久光製薬)は、フェキソフェナジン塩酸塩を60mg含有した第1類医薬品である。15歳以上が服用でき、1回1錠、1日2回服用で、食事のタイミングに関係なく服用できる。

 商品名は医療用と同じ「アレグラ」で、錠剤の形も同じだが、医療用は片面に「06」と刻印されている。

 アレグラFXの添付文書の「してはいけないこと」には、眠気に注意する旨の記載はないが、まれに起こることもある(医療用では0.1~5%未満)。販売時には総合感冒薬や睡眠改善薬などに含まれる抗ヒスタミン薬の服用の有無をチェックし、効果を減弱させる制酸薬や、効果を増強させる抗菌薬のエリスロマイシンを服用していないかを確認する。また、ラットで乳汁移行が認められているため、授乳中の患者には注意を促す。

 このほか第1類医薬品には、1日1回服用の経口薬が2製品ある。ともに単味で、エピナスチン塩酸塩のアレジオン10(エスエス製薬)と、セチリジン塩酸塩のストナリニZ(佐藤製薬)である。

 2013年2月に発売されたストナリニは、セチリジン塩酸塩10mgを配合し、15歳以上で1回1錠、1日1回就寝前に服用する。医療用の商品名は、ジルテックである。

 ストナリニZは、腎臓病の患者では血中濃度が上がる恐れがあり、禁忌となっている。また、テオフィリンやピルシカイニド、リトナビルと併用すると血中濃度が上昇するという報告があるため、併用禁忌である。そのほか、てんかん発作の既往歴がある人には、てんかんを誘発することがあるため相談することになっている。

 ここに挙げた第1類医薬品の経口薬の効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによるくしゃみ、鼻水、鼻づまりのような鼻のアレルギー症状の緩和」である。医療用では、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患への適応があるが、OTC薬には皮膚への適応がないので、患者が皮膚の痒みを訴えていたら、皮膚への適応がある他の製品(スカイナーAL錠[エーザイ]やレスタミンUコーワ錠[興和]など)を薦める。

 また、1週間服用しても症状が改善しない場合は受診を勧め、改善しても2週間以上服用する場合は、医師または薬剤師に相談するよう伝える。

点鼻や点眼も医療用と同成分
 鼻の症状が強い患者には、点鼻薬も薦める。コンタック鼻炎スプレー〈季節性アレルギー専用〉(GSK)は、ナザールAR〈季節性アレルギー専用〉(佐藤製薬)と併売品で、パッケージが異なるが、中身は同じである。ベクロメタゾンプロピオン酸エステルが100g中0.05g含まれ、医療用のリノコートと剤形は異なるが、成分は同じである。

 18歳以上で使用でき、1回1噴霧で1日朝夕の2回、1度使用したら3時間以上空けて1日4噴霧まで使用できる。ステロイドによる抗炎症作用と血管収縮により、鼻づまりや鼻水を抑える。

 使用上の注意として、慢性鼻炎などへの漫然とした使用は避けるよう伝える。全身性の真菌症、結核、感染症、高血圧、糖尿病、反復性鼻出血、喘息、緑内障、鼻腔内に感染が疑われる人は、禁忌である。また、過去1年に1カ月以上ステロイドの点鼻薬を使用した人も避けることとされている。

 アレルギー疾患患者は、眼の痒みを訴えることも多い。

 第1類医薬品のアレルギー用点眼薬であるアイフリーコーワAL(興和)は、1回1~2滴、1日4回(朝、昼、夕方、就寝前)点眼する。

 効能・効果は、「花粉、ハウスダストなどによる目のかゆみ、目の充血、なみだ目、異物感、目のかすみ、目やにの多い時などの目のアレルギー症状の緩和」である。7歳未満は使用不可であるが、8~14歳までの小児では、保護者の指導監督の下、使用できる。

 成分として、アシタザノラストを1mL中1mg含む。これは、医療用のゼペリン点眼液0.1%と同じ成分量である。肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制、血小板活性化因子やロイコトリエンの遊離抑制作用、血管透過性亢進抑制により、眼のアレルギー症状を防ぐ。症状がつらくなる前から続けて使用すると、効果的である。(三上)

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