DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)においとビタミンBの関係とは
日経DI2013年12月号

2013/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年12月号 No.194

出題と解答 : 堀淵 浩二
(クオール株式会社[東京都港区]西日本薬局事業本部)

A1

(1) ビタミンB1

A1

(4) ビタミンB12

 左右の鼻腔の嗅粘膜にある嗅細胞の線毛ににおい物質が結合すると、そのシグナルが嗅神経を通じて脳に伝達され、においを感じる。こうした「においの伝達経路」のどこかに障害があって、においが感じられなかったり、においの感じ方が弱くなる病態を嗅覚障害と呼ぶ。嗅覚障害の重症度の判定や、障害部位の推定のために行われる検査の一つに、静脈性嗅覚検査と呼ばれるものがある。

 静脈性嗅覚検査は、ビタミンB1誘導体であるプロスルチアミンの注射液(商品名アリナミン)を静脈内に投与し、においを感じるまでの時間(潜伏時間)とにおいが継続している時間(持続時間)を測定するものである。

 プロスルチアミンは、ビタミンB1(チアミン)に、ニンニクの臭気成分として知られるアリシンが結合したもので、ニンニク様の特異な臭気を持つ。静脈内に投与すると数秒で肺から拡散され、呼気に混じって後鼻孔から嗅粘膜に到達、臭気を感じる。嗅覚が正常な人では、投与開始から8~9秒で強い臭気を感じ始め、1~2分間続く。

 嗅覚障害は (1)呼吸性、 (2)末梢性、 (3)中枢性─の3つに分類されるが、呼吸性の嗅覚障害の場合は、静脈性嗅覚検査で問題なくにおいを感じられることが多い。呼吸性嗅覚障害では、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などによる鼻腔の変形により、吸気ではにおい物質が嗅粘膜に届かなくなっている。しかし、嗅粘膜そのものには異常がないため、呼気に含まれるにおい物質が後鼻孔経由で嗅粘膜に付着し、においを感じられるわけである。

 一方、嗅粘膜や嗅神経に異常がある末梢性の嗅覚障害の場合は、静脈性嗅覚検査の潜伏時間が延長し、持続時間が短縮する。また、嗅神経より中枢側に異常がある中枢性嗅覚障害では、静脈内にプロスルチアミンを投与しても、全くにおいが感じられなかったり、においはするがどんなにおいであるかの判別ができないといった結果になる。

 Nさんは静脈性嗅覚検査について、「うっすらとニンニクのにおいがしてきた」と話している。この話からは、嗅覚は減弱しているが消失はしておらず、においの判別もできていることが分かり、恐らくNさんは末梢性の嗅覚障害だと推定される。

 末梢性嗅覚障害は、感染症や慢性炎症などにより嗅粘膜が損傷されて起こる「嗅粘膜性嗅覚障害」と、頭部の外傷などにより嗅神経が損傷を受けた結果として起こる「末梢神経性嗅覚障害」に大別される。1カ月前に交通事故に遭ったというエピソードに鑑みると、鼻炎などがない限り、Nさんは末梢神経性の嗅覚障害である可能性が高いと考えられる。

 今回、Nさんに処方されたメコバラミン(メチコバール他)は、活性型のビタミンB12(コバラミン)である。神経細胞への移行性が高く、軸索再生の促進作用があるとされる。末梢性神経障害の治療によく用いられるが、即効性はないため、医師は「じっくり治していきましょう」と説明したものと思われる。

こんな服薬指導を

イラスト:山田 歩

 病院でビタミンBの注射を受け、ビタミンBの飲み薬が処方されたので、においとビタミンBとは何か関係があるのではとお考えになったのですね。

 実は、ビタミンBには色々な種類があります。病院で注射したのはビタミンB1に似た薬で、ニンニクのような強いにおいがするため、今回はにおいの検査に使いました。一方、飲み薬のメチコバールはビタミンB12で、傷ついた神経を徐々に治す作用があります。同じビタミンBでも、種類が違うのですよ。

 検査では、うっすらとニンニクのにおいを感じたとおっしゃっていましたね。においを感じる神経が傷ついて、においを感じにくくなっているのかもしれません。鼻が利くようになるには少し時間が掛かるかもしれませんが、お薬を飲んで、じっくりと治していきましょう。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ