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特集:検証!働きやすい薬局
社長は見た! こんな工夫、ウチでもやってみたい
日経DI2013年12月号

2013/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年12月号 No.194

社長 お疲れさまー、ヒラ男くん。

ヒラ男 社長、お疲れさまです。お元気そうですね。最近お姿を見かけないから、ちょっと心配してたんですよ。

 カン子さーん、社長がいらっしゃってます。

カン子 お疲れさまです! 視察はいかがでした?

社長 行ってよかったよ。目からウロコ。ホント勉強になった。

 ところで、2人とも閉店作業は一段落したかな。よかったら話を聞いてよ。

カン子 ちょうどレジ締めも済んだし、大丈夫です。

社長 じゃあ、この前挙がった5つの要素の順に紹介するよ。

 まずはスキルアップ。研修制度は、最近いろんな薬局で導入しているね。専門的な知識を身に付けるために、製薬会社に協力してもらって薬の説明会を開くとか、地域の病院のドクターを招いて病気の最新治療を学ぶとか。でも、本当に業務に直結する、役立つテーマのものって、実はあんまりないんだ。

 その点、健栄(千葉県佐倉市)の集団研修はしっかりやってたよ。薬歴の書き方とか、1年など長い期間をかけて学ぶんだって。

ヒラ男 研修内容はDVDに記録して貸し出しているのですか。参加できない回があっても安心ですね。

社長 あと、薬局向けの研修をしている医療経営研究所(東京都中央区)コンサルタントの佐藤健太さんに聞いてみたら、最近は、リーダーシップとか、セルフマネジメントとか、一社会人としての「人間力」を高めるような研修のニーズが増えているんだって。

 特に10~30店舗の地域密着型チェーン薬局からの依頼が多いそうだ。

ヒラ男 前にいた大手チェーンでは、新入社員研修のほかに入社1年目、3年目などで研修がありましたけど、中小でもやり始めてるんですね。

社長 あとは、学会の旅費や参加費を補助するのも、1つの方法だって。ウチも旅費を出すことにするよ。

カン子 わあ、ありがとうございます!

 実務に役立つ内容を、系統立てて徹底的に習得する─。こうした方針で、5年前に新しい社内研修を始めた健栄。外部講師を招聘し、2カ月に1回のペースで、複数回にわたり学ぶ。

 例えば、店舗ごとに統一されていなかった薬歴の書き方に関する研修を1年半かけて全店舗対象で実施。また、患者とのコミュニケーションの研修(写真)では、相手がどのようなタイプか判断し、それに合わせた応対をするという、単なるマナー研修にとどまらない内容になっている。

 研修を担当する取締役の大津一郎氏は、「製薬会社に依頼して行うような薬の説明会などではなく、必ず業務に役立つ内容にするため、講師とは事前に綿密な打ち合わせを行う」と話す。

 また、多くが参加できるように、日曜と水曜の2回、同じ内容のものを開催。参加できなかった人のために、研修の模様はDVDに録画し、貸し出す。

 社内研修に参加しているコスモス薬局志津駅前店(千葉県佐倉市)の早田佳奈氏は、「他で勉強できないことが学べる。研修で学んだ薬歴の書き方は、他店で働くときや実習生の指導時にも役立った」と話している。

表A 健栄の社内研修の工夫

学会参加を支援する「出張旅費規程」の作り方

 調査結果(図1)にあるように、福利厚生制度として「学会や研修参加のための休日」を求める薬剤師は多い。そのニーズに応えるべく、個人のスキルアップを奨励するために、社外の研修会や学会に参加した場合に一定の補助を行う薬局が増えつつある。

 社会保険労務士で、薬局や医療機関のコンサルタントを務める医療経営研究所(東京都中央区)の東川裕之氏は「薬剤師のスキルアップ支援策として学会参加への補助制度を作りたいと薬局から相談された場合は、社命による参加と自発的な参加を明確に分けた形で、『出張旅費規程』に盛り込むよう勧めている」と話す。出張旅費規程を設けることで、会社は従業員に支給する交通費や宿泊費、そして日当を「旅費」として経費に計上できる。旅費は非課税となるため、研修手当としてではなく旅費として支給される方が従業員にとっても手取りが増えるというメリットがあるためだ。

 図Aは東川氏がクライアントに勧めている記載例だ。金銭的な補助については、会社が実費を支給する回数なども明記する。

 出張旅費規程は多くの場合、就業規則の附則として設けられている。研修参加が出張として認められているかどうかや、その際の日当、往復の交通費や宿泊費、受講料の補助の有無などをいつでも確認できるように、閲覧用の就業規則を各店舗に用意しておこう。

図A 出張旅費規程の記載例

休みやすい雰囲気が大事

カン子 でも学会に行きたくても、休みが取りにくいと意味ないんですよね。休みやすくする工夫についてはどうでしたか。

社長 どこも、「従業員数に、ある程度余裕がないと難しい」と言ってた。求人票に「休みが取りやすい」とか「残業ナシ」とか書いているのに、実態は違っている薬局もあったし。でもうまく運用しているところに聞いてみたんだ。

カン子 グリーンメディック(大阪府豊中市)の、業務量と人員を把握して、スケジュール表を毎日作って人繰りをするのはユニークですね。在宅の患者さんが増えると、外来処方箋の仕事との配分が難しくなって、負荷が一部の人に偏りがちになるし。

 ウチの店も、業務を「見える化」して時間をうまくマネジメントすれば、休みを取りやすくできるかも。検討します !

 「ここ数年で在宅の患者数が増えるに従い、業務が増えてなんだか皆忙しいという状況になってしまった。そこで、1つの業務にかける時間や必要な人員を確認するための、タイムスケジュール表を作った」と話すのは、事務スタッフの北井麻由子氏。

 同社のグリーンメディック薬局本局(大阪府豊中市)は、外来処方箋枚数は1日10~20枚程度だが、現在、個人宅と施設を合わせて約70人の訪問薬剤管理指導を行っている。

 業務改善の一環として導入されたこのタイムスケジュール表は、1日の在宅関連の業務を個人宅と施設に分けて、担当者名と訪問時に交付する薬の調製と訪問に要する時間とを書き込む。調剤室の医薬品用冷蔵庫に貼っておくので誰でもすぐに確認できる。

 予定を組むのは事務スタッフで、業務の進行状況によって、担当者を追加したり、業務を前倒しや先送りにするなど、その都度話し合いながら、効率的に仕事が進むように工夫している。

 1日の業務をスケジュール表で「見える化」することで、特定の人に業務が集中しないように平準化でき、うまく分担できるようになった。

 休暇を取る人がいても、どの時間帯に人手が足りないかが分かるため、他店に応援を要請しやすくなったという。

社長 見える化すると、人が足りない業務や時間帯が共有できて、「今日は長めに働けますよ」って、パートの人が言い出しやすくなる効果もあるらしいよ。

 富永調剤薬局(岡山市南区)のリフレッシュトラベル奨励金制度は、ヒラ男くん向きだね。

ヒラ男 おおっ! いいですね。こういう制度があると、みんな休まないと損って思うだろうし、ありがたいです。

カン子 休みを取るのが当たり前の雰囲気は大事。でも、薬局長の立場で言わせてもらうと、「休んで当然でしょ」って権利を主張されると、気持ちは分かるけど困るんですよね。

 「この時期は休みます。でも代わりにこっちの時期は働けます」ってお互いに言える雰囲気が大切だと思います。

 「リフレッシュトラベル奨励金を使って旅行し、見聞を広めてほしい」。こう話すのは富永調剤薬局人事部課長の大倉和克氏。

 同社には、リフレッシュトラベル奨励金制度があり、国内、海外、日数を問わず、申請すれば奨励金が支給される(図B)。パートでも取得可能だ。

 海外旅行は1カ月前、国内旅行は2週間前までに社内のイントラネットから申請する仕組み。実家に日帰りで帰省する場合でも使える。

 奨励金の毎年の取得実績はほぼ100%。休暇の申請は行う必要があるが、この制度があるためか、社内には「休みを取るのはお互い様」「積極的に休みを取ろう」という雰囲気があるという。

 実際に休暇を取るスタッフがいる場合は、その店舗内や、その店舗が所属するブロック内の薬局(平均5店舗)のスタッフが、混雑する時間帯を中心に応援に入る。富永調剤薬局の店舗は、岡山県の岡山市と倉敷市内の4つのブロックに分かれているが、ブロック内の店舗間は車で10分程度と比較的近いことも応援に行きやすい環境だ。

 また、各ブロック長は薬剤師資格を持ち、店舗に所属せず“遊軍”的な動きでカバーしていることも大きいようだ。

図B 富永調剤薬局のリフレッシュトラベル奨励金制度の特徴

社外積み立てがお薦め

社長 『日経DI』の調査でも希望した人が多かった退職金についてはね、社会保険労務士(社労士)で、ファーサス(茨城県つくば市)代表取締役の山口洋介さんに聞いてみたんだ。

 厚生労働省の調査では、少し古いけど2008年で従業員数30~99人の規模だと、制度があるのは51.4%と半分ぐらい。このうち、資金を社内積み立てで用意しているのは57.5%、中央薬局(北海道旭川市)のように、中小企業退職金共済(中退共)制度を利用しているのは46.3%。

 ただし、この調査は薬局だけを対象にしたものではない。山口さんが何人かの社労士に聞いてみた感触では、薬局で退職金制度があるところは半分に満たないんじゃないかとのことだった。

 退職金がないところは、ウチのように基本給に含んでいるという考えのところが多いらしい。経営者の一存で“慰労金”のような形で払われることもあるんだって。

 山口さんは、社外積み立て方式を薦めてくれたよ。節税効果もあるし。社内積み立てだと、節税効果にならないし、一度に社員が辞めた時、対応できないからね。

ヒラ男 社長一存の慰労金ですか……。なんか怖いなあ。いっぱい欲しいと思わないけど、公平な制度がいいです。

社長 大丈夫だよ。中退共に加入することにしたから。

 大手の会社では、勤続年数や役職、人事評価を基にした「ポイント制」を導入しているところが多いそうだ。高い評価を得られれば退職金がアップするのでモチベーションを上げる効果があるらしい。ウチも評価制度をいずれは入れていかないと、と思っているよ。

 「従業員も会社も安心できる制度を整えておくことが大切」と話すのは、中央薬局代表取締役の堀籠淳之氏。

 中央薬局では、中退共(別掲記事参照)と、金融機関の確定拠出年金制度の2本立てで退職金を準備している。

 中退共は、会社が従業員分の掛け金を月々納付する。

 確定拠出年金も、掛け金は会社が払うが、その資金の運用は各従業員に任されている。

 月々の掛け金は、中退共は、入社5年目以降の加入とし、薬剤師は8000円で、事務スタッフは5000円。

 確定拠出年金は入社時から5年までは薬剤師が10万円×4%、事務スタッフは5万円×4%で、5年を超えると全員基本給×4%としている。なお、確定拠出年金は入社3年未満に退職すると、掛け金は会社に返金される。

 また、どちらの制度も掛け金の全額が損金に算入されるほか、従業員の給与所得とは見なされないという税制上のメリットがある。

中退共制度とは?

 中小企業退職金共済法に基づいた中小企業のための国の退職金制度。独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)が運営している。

 事業主が、中退共本部と退職金共済契約を結び、毎月の掛け金の全額を金融機関に納付する仕組み。従業員の退職時、従業員本人に中退共本部から退職金が直接支払われる。

 従業員は、転職しても転職先が中退共制度を導入していれば、積み立てていた退職金を引き継ぐことができる。ただし、加入が2年を超えないと掛け金より給付が下回るため注意が必要だ。

 事業主にとってのメリットは、計画的に退職金を準備できるほか、掛け金は法人企業では損金、個人企業の場合は必要経費として全額非課税となる(資本金または出資金が1億円を超える法人の法人事業税には、外形標準課税を適用)。中退共に事業主が新たに加入したり、掛け金を増やす場合、国の補助がある。

 中退共制度に加入できる事業主の条件は業種により異なる。薬局を含む小売業は「常用従業員数が50人以下または資本金5000万円以下」で、個人事業所の場合は「常用従業員数が50人以下」となっている。

育児との両立はきめ細かく

カン子 退職金は、私やヒラ男くんにはとってはまだ先の話ですよ、多分。それよりも、育児支援の取り組みが気になります。

ヒラ男 カン子さん、相手もいないのに先走り過ぎですよ。

カン子 あれ、報告してなかった? 私、来年夏に結婚します!

社長 おお!それはおめでとう。よかったね。では、早速情報を。

 ウチの会社もそうだけど、育児休業を取る人に慣れていないと、経営者はどうすればいいのか分からないんだよ。グリーンメディックは、育休取得者第1号が誕生したとき、社長が社労士さんに話を聞いて、育休支援ノートを作ったんだ。

 「出産しても継続してキャリアを積んでほしいとの願いから、手作りの『育休支援ノート』(下写真)を作った」。こう話すのは、グリーンメディック代表取締役の多田耕三氏。

 16ページにわたるこのノートには、育児休業中の過ごし方を書き込む欄や、育児休業給付金の申請方法など、産後の各種手続きのスケジュールがまとめられている。

 同社で初めて育児休業を取得した北井麻由子氏(右写真)は「初めての出産で不安もあったが、会社のバックアップがうれしかった」と話す。

 また、北井氏の復帰に合わせて、グリーンメディックは、事業所内に保育所を設置している大阪府内の企業と提携。北井氏の子どもが認可保育所に入所するまでの間、その施設に子どもを預けて働けるようにした。「若いスタッフが多いので、今後出産する人のためにも、必要な制度は整えていきたい」と多田氏は話している。

 あと、復帰の時期に、そのスタッフは子どもを認可保育所に預けられなかったので、保育施設を持っている会社と提携したそうだ。私も勉強しておくからね。

ヒラ男 思い切って託児所を作るのはどうでしょう。若い女性薬剤師も多いし、きっと喜ばれますよ。

社長 すぐには難しい……かな。でも、セントフォローカンパニー(水戸市)のように、補助金を使えればハードルは下がる。

 セントフォローカンパニーは、店舗が多い茨城県の水戸市とひたちなか市に、社内託児所「キッズランド」(下写真)を開設している。

 ひたちなか市の「キッズランド勝田」がスタートしたのは2000年。「薬剤師不足で採用が厳しい上、出産や配偶者の転勤などで退職する薬剤師が少なくなかった。女性のスタッフに長く勤めてもらうにはどうすればよいか考えた末、託児所を作ってみようと思った」と代表取締役の冨岡聖司郎氏(右写真)は振り返る。

 建設費や保育士の給与は、厚生労働省の外郭団体である公益財団法人21世紀職業財団の補助を受けた。

 さらに、従業員の要望を受け「キッズランドみと」を04年に開設。2施設合わせて、現在は12人の従業員が利用している。

 SFC薬局勝田中央店(茨城県ひたちなか市)の石岡美香氏も、かつて託児所を利用した一人。当時は自宅近くのキッズランド勝田に子どもを預けてから、車で40分ほどの遠い店舗に勤務していた。「薬局が混む冬場の時期など迎えの時間が遅くなっても、託児所で夕飯を食べさせてくれるなど融通が利くので、安心して預けて働くことができた」と話す。

 冨岡氏は「多くの従業員が出産後も正社員として復帰し、託児所に預けながら働いている。離職率も低くなり、就業年数も伸びている」と手応えを感じている。

カン子 会社の託児所で預かってもらえるなら、遠い店に異動になってもちゃんと働けると思います。

 あと、会社の制度を柔軟に変えてもらえるのはありがたいです。たんぽぽ薬局(岐阜市)の制度は、きめ細かいですね。

ヒラ男 こういう会社だったら、男性で育児休業を取る人もいるんですか。

社長 育児休業で休んだ男性は4年間で4人。期間は様々だけど、奥さんが第二子を出産する時に、第一子の面倒を見るために取る人が多いそうだ。

カン子 私は正社員で働き続けたいので、ご支援よろしくお願いします。

 育児支援に手厚い事業主に与えられる次世代認定マーク(愛称:くるみん)を、2006年に薬局としては初めて取得した、たんぽぽ薬局。

 同社では、育児休業期間を法律で定められた1年よりも長くし、短時間勤務(別掲記事参照)や看護休暇は子どもの年齢の上限を引き上げた(図C)。

 たんぽぽ薬局の短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を短縮する制度で、1日最大2時間30分、15分単位で取得可能だ。例えば通常の就業時間が午前9時から午後6時の薬局では、午前9時15分から午後6時までという働き方ができる。「保育所に子どもを預けてから出社するため、出勤時間を遅らせたい」といった現場の要望から実現した。

 人事本部本部長の柴山裕一氏は、「制度を整えて、長く働いてもらえれば本人にも会社にもプラス」と話す。

 これらの制度を機能させるためには、計画的な人員配置が求められる。そこで、同社では、毎年1回、従業員1人ひとりに「自己申告書」を提出させ、人事異動の参考にしている。この申告書には、「結婚予定」「自宅を購入予定」など、主に個人的な事情を書く。

 また、転勤可能かどうかの調査も2年に1回全従業員に実施。こうした取り組みが、育児支援に対する社内の協力体制を築くカギといえそうだ。

図C たんぽぽ薬局の育児支援制度

短時間勤務制度とは?

 育児・介護休業法で定められた「勤務時間の短縮等の措置」の一つ。

 子どもが3歳未満の場合は、短時間勤務制度やフレックスタイム制、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げなど、いずれかの制度導入が義務付けられており、子どもが3 歳以上就学前では努力義務とされている。

 特に短時間勤務制度では、(1)1日の所定労働時間を短縮する制度、(2)週または月の所定労働時間を短縮する制度、(3)1日の所定労働時間を原則として6時間とする制度──などのいずれかを盛り込む必要がある。

店同士の風通しをよくしよう

社長 最後の要素だった「いい雰囲気」はね、私なりに色々話を聞いて、風通しがいいことだと思ったんだ。

 特に薬局は、店ごとに1つの組織で独立してるでしょ。それぞれでちゃんとしてればいいんだっていう考えもあるだろうけど、1つの会社として、1つの店舗でいいことをした人がいればその情報が全ての店舗に伝わって、褒め合ったり、高め合えるといいんじゃないかな。

 スタッフが自分の仕事のやり方に固執し過ぎると、他人の仕事に手を出せなくなって、ちょっとした助け合いがなくなる。それが、雰囲気を悪くするんだ。違う会社で働いてきた経歴の人が多い薬局では、現場をまとめるのが難しいという声も聞いたよ。

ヒラ男 働く俺たちがギスギスしたり、暗かったりすると、患者さんに伝わっていると思います。

カン子 そうよね。ゆう薬局グループ(京都市左京区)のSNSは面白い。スマホでどこにいても見られるのが便利。

社長 「web週報」で名前だけ知っていた人と全体研修で会って、話が盛り上がることもあるんだって。こういうシステムを入れる会社は今後増えるんじゃないかな。

 ゆう薬局では、各店舗が1週間の出来事などを綴った「週報」を、約15年にわたり社内で共有してきた。週報が本社から配信される手段はファクスからメールへと移り変わり、2013年に社内SNSの「web週報」(写真)としてリニューアルした。

 このサイトには、雇用形態を問わず、実務実習生もアクセスでき、スマートフォンでも閲覧できる。

 コメントを書き込む機能のほか、Facebookの「いいね!」ボタンをヒントに、屋号と「優秀の優」を意味する「ゆうだね!」ボタンも付けた。

 サイトには週報のほか、「待合室の椅子」「在宅業務での質問や相談」など毎月テーマを決めて投稿するコーナーも用意した。学会で発表予定のスライドのデータを載せて、アドバイスを募ることもあるという。

 広報を担当する取締役の宇野充俊氏は、「ファクスやメールの週報では店舗のスタッフが読んでいるかどうか分からないというデメリットがあったが、SNSはスタッフの反応が分かるのでいい」と話す。週報は全スタッフが順番に書くようにしているので、個性あふれる他店の雰囲気が垣間見られる。

ヒラ男 ファーマホールディング(札幌市中央区)の社内コンテストは、レベル高そうですね。

カン子 「患者さんのために行動しよう」という方針が分かりやすくていいわ。スキルアップにもなるし、ウチもすぐに始めたいです。

社長 よし。じゃあ、カン子さんに、コンテストを企画してもらおうかな !

 全国11社の薬局運営会社を擁するファーマホールディング。従業員数は合わせて2000人を超えるが、「規模が大きくなっても、地域を照らすまちの灯りのような薬局として、患者さんのために行動してほしい」との思いから、数年前に社内コンテストを始めた。

 コンテストは3つ(表B)。プレアボイドコンテストは薬剤師個人を表彰するものだが、アメニティコンテストやありがとうコンテストは、職種や雇用形態問わず、頑張った取り組みをしている事例を全店舗から募るイベントだ。従業員からは「面白い」「モチベーションが上がる」といった声が上がっているという。

 コンテストの受賞者は社内報に掲載される(下写真)。この社内報は、創業当時から続いている同社の“伝統”だという。「これからも各店舗の従業員や取り組みを積極的に紹介し、『明るさ』や『風通しのよさ』につなげていきたい」と代表取締役の秋野治郎氏(右写真中央)は力を込める。

表B ファーマホールディングの3つのコンテスト

受賞者が掲載されたファーマホールディングの社内報。

社長 とまあ、こんな感じで話を聞いてきたんだけど、どうだった?

カン子 ウチの会社、今まで働きやすくするための特別なことは何もしてこなかったと思うんです。私はそれが当たり前になっていたし、それが世間並みなのかもしれません。でも、それが理由で採用できなかったのかなって……。

ヒラ男 俺は家から近いという理由でロウム薬局に転職しましたけど、長く勤めるかどうかは、近さだけじゃない、もっと違うところにあるような気がします。

社長 こんな制度とか仕組みをつくってほしいと思ったら、遠慮なく言って。すごくお金が掛かることは難しいけど、やろうと思ってすぐできるのが中小の強みでもあるし。

 おっと、もうこんな時間だ。明日は早番だろう。ごめんね。お疲れさま!

カン子・ヒラ男 お疲れさまでした!

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