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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)ミルタザピンの睡眠への影響とは
日経DI2013年12月号

2013/12/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年12月号 No.194

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(3)約90%

A1

(1)遮断作用 (2)遮断作用

 睡眠障害を訴えるうつ病患者は非常に多く、「日本うつ病学会治療ガイドラインⅡ.大うつ病性障害」によれば、うつ病患者の実に90%が睡眠障害の症状を呈するとされている。

 うつ病の患者の睡眠には特徴がある。健康な成人の睡眠状況をポリソムノグラフィで描出すると、入眠後すぐに深い眠りであるノンレム睡眠に移行し、その後、レム睡眠とノンレム睡眠を90分程度のサイクルで繰り返す。ノンレム睡眠は時間がたつとともに徐々に浅くなり、通常、レム睡眠のときに目が覚める。

 一方、うつ病患者では、ノンレム睡眠が減少し、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、朝早く目が覚める早朝覚醒などを認める。患者は、「長く眠れない」「眠っても体がだるい」などと訴えることが多い。Mさんも、うつ病症状の一つとして夜ぐっすりと眠れない可能性が高い。

 抗うつ薬は種類によって、睡眠への影響が異なる。長谷川らの報告(参考文献1)によると、三環系および四環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、レム睡眠に影響し、睡眠サイクルに変調を来す可能性があった。これは、健康な成人、うつ病の患者いずれにおいても同様だった。

 一方、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)のミルタザピン(商品名レメロン、リフレックス)や、5HT2A遮断薬のトラゾドン(レスリン他)は、レム睡眠に影響を与えず、ノンレム睡眠を増加させる傾向があった。

 抗うつ薬の多くは、モノアミン・インドールアミン受容体の刺激や遮断により様々な睡眠修飾作用を有する。表1は各種抗うつ薬が有する催眠・鎮静作用と覚醒作用の強度を簡単にまとめたものである。

表1 抗うつ薬の薬理作用

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 セロトニン(5HT2)受容体やアドレナリン(α1)受容体、ヒスタミン(H1)受容体の遮断は、催眠・鎮静作用を示す。一方、5HT2受容体への刺激は覚醒作用をもたらす。

 ミルタザピンは、抗うつ薬の中では、5HT2受容体やH1受容体の遮断作用が比較的強く、5HT2受容体の刺激がないため、睡眠の質を改善する可能性が考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 ぐっすり眠れないのはおつらいですね。睡眠障害はうつ病の症状の一つで、ほとんどの患者さんが経験されます。Mさんのように、眠りが浅くなってぐっすり眠れなかったり、夜中に目が覚めたりすることが多いようです。

 今回、Mさんに処方されたお薬は、抗うつ薬の中でも比較的眠りやすいといわれているものです。先生は、Mさんがぐっすり眠れないのを心配して、こちらに変更されたのだと思います。服用してみて、眠りやすくなったかどうか、次にいらしたときに教えてくださいね。

参考文献
1)睡眠医療 2011;5:329-33.

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