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新薬の特徴と服薬指導のポイント
ディレグラ配合錠
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

ディレグラ配合錠
第2世代抗ヒスタミン薬のフェキソフェナジン塩酸塩(商品名アレグラ他)は、アレルギー性鼻炎の鼻症状のうち、くしゃみ、鼻水には有効であるが、鼻閉に対する効果は限定的である。そのため、鼻閉改善作用に優れる塩酸プソイドエフェドリンを合わせることで、ディレグラ配合錠は、1剤でくしゃみ、鼻水、鼻閉の各症状を軽減する可能性があり、その有用性が注目されている。

 くしゃみ、鼻漏、鼻閉というアレルギー性鼻炎の3大症状のうち、最もQOLに支障を来すのが鼻閉といわれている。

 くしゃみと鼻漏は、アレルゲンに対する生体防御反応として神経反射で生じるため、1日中持続するわけではないが、アレルギー性鼻炎で生じる鼻閉は鼻粘膜の腫脹によるもので1日中持続する上、同時に左右の鼻腔が閉塞することも多い。

 「鼻閉があると口呼吸になり、口内乾燥、炎症などの原因になるばかりでなく、心肺疾患への影響も懸念される場合もある。鼻閉を、“単なる鼻づまり”と軽視してはならない」と、川内氏は鼻閉治療の重要性を指摘する。

1剤で鼻症状を改善
 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の初期治療は、くしゃみ・鼻漏型では抗ヒスタミン薬、鼻閉型の場合は抗ロイコトリエン薬を用いる。そして、花粉の本格飛散期に入り、症状が顕著になったときは抗ヒスタミン薬に抗ロイコトリエン薬あるいは鼻噴霧用ステロイドを併用するのが一般的だ。

 しかし、抗ヒスタミン薬はくしゃみ、鼻漏に対する効果は強いが、鼻閉には十分ではない。一方、抗ロイコトリエン薬は鼻閉には有効だが、くしゃみ、鼻漏の抑制効果は大きな期待ができない。また、鼻噴霧用ステロイドは、これら3症状に有効だが、患者の中には、鼻腔からの薬剤投与に抵抗があったり、匂いが気になるという理由で使用を避ける人がいたり、長期に連用すると高齢者などで鼻粘膜が委縮する副作用も懸念されることなどから、コンプライアンスが悪い場合もある。

 こうした状況の中で、2013年2月末に発売されたのがディレグラ配合錠(一般名フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン配合錠)である。同薬は、第2世代抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジン塩酸塩と、α交感神経刺激薬である塩酸プソイドエフェドリンの配合錠である。フェキソフェナジンは中枢移行性が非常に低く、眠気を引き起こしたり、作業効率を低下させることがないという特徴を持ち、アレルギー性鼻炎の治療に汎用されている。一方、プソイドエフェドリンは強力な血管収縮作用を持ち、鼻粘膜の血管を収縮させて鼻閉を改善する。わが国では、プソイドエフェドリンは単独では医療用医薬品として承認されていないが、一般用医薬品(OTC薬)として感冒薬などに配合されている。

 ディレグラ配合錠の適応症はアレルギー性鼻炎だが、添付文書の「効能または効果に関連する使用上の注意」の項には「鼻閉症状が中等症以上の場合に本剤の使用を検討すること」と明記されていることに留意したい。

 12歳以上の季節性アレルギー性鼻炎患者520例を対象にした国内第2/3相試験で、フェキソフェナジン単独群に比べ、フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン配合剤群で、鼻閉スコアの改善に有意な差を認めた(図)。

 川内氏は「初期治療後の花粉本格飛散期に、鼻閉症状が強い患者に対して初期治療で用いた抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬から切り替えて使用するのが、ディレグラ配合錠の基本的な使い方になるだろう」と話す。初期療法を行っていない患者など、花粉飛散開始後に治療を始める場合、鼻閉症状が強ければ、ディレグラ配合錠単独で治療を開始する処方も推奨している。

 「これまで、くしゃみ、鼻漏だけでなく鼻閉を抑制しようと思ったら、抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬あるいは鼻噴霧用ステロイドを併用することが多かったが、ディレグラ配合錠であれば1剤で済む可能性があり、服薬コンプライアンスの向上が期待できる。アレルギー性鼻炎の治療のポイントは、眠気や作業効率の低下などインペアード・パフォーマンスを来さない薬剤を選択することだが、その点でもディレグラ配合錠の有用性は高い」(川内氏)。なお、通年性アレルギー性鼻炎の場合は、症状に変動があるため、鼻閉症状が悪化したときにディレグラ配合錠を短期間使用するのが望ましい、と川内氏は話す。

 ディレグラ配合錠の鼻閉スコア改善効果

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ディレグラ配合錠の国内第2/3相試験では、12歳以上の季節性アレルギー性鼻炎患者520例を対象に、フェキソフェナジン60mg・プソイドエフェドリン(60mg、120mgの2用量)配合剤の有効性と安全性が、フェキソフェナジン60mgと比較検討された。それぞれ2週間投与したところ、全群で鼻閉スコアは改善したが、その改善度はフェキソフェナジン60mg・プソイドエフェドリン120mg配合剤群で最も大きく、フェキソフェナジン60mg群との間に有意差が認められた(p=0.0201)。
(大久保公裕:アレルギー・免疫2012;19:1770-82. より引用改変)

適正使用が重要
 現在のところ、ディレグラ配合錠の長期使用時の安全性は十分に確立しているとはいえない状況にある。投与対象は成人または12歳以上の小児となっており、川内氏は、同薬が医療用医薬品としてプソイドエフェドリンを配合した初めての薬剤であること、OTC薬に比べてプソイドエフェドリンの配合量がやや多いことなどから、「適正使用に努めてほしい」と注意を促す。

 禁忌としては、プソイドエフェドリンおよび類似化合物に対して過敏症の既往歴のある患者、モノアミンオキシダーゼ阻害薬使用例のほか、血管収縮作用を有することから、重症の高血圧、冠動脈疾患、狭隅角緑内障、尿閉のある患者などが挙げられる。

 腎排泄型の薬剤であるため、腎機能低下例では副作用が増強するリスクがある。国内臨床試験における副作用発現率は347例中5例(1.4%)であり、その内訳は頭痛2例(0.6%)、発疹2例、(0.6%)、疲労1例(0.3%)、口渇1例(0.3%)だった。川内氏は「プソイドエフェドリンの血管収縮作用に起因する頭痛には注意する必要がある。心血管系の副作用リスクがあることも忘れてはならない」という。

 川内氏は服薬指導のポイントとして、「初の配合剤なので、決められた量を決められたタイミングで服用すること、長期の安全性はまだ確立されていないことを患者に説明すべき」と話す。用法については、「1日2回、1回2錠を朝および夕の空腹時に投与することになっている。具体的に、朝は起床後の食前、夜は食前あるいは就寝の数時間前に服用するよう指導するとよいと思う」とアドバイスする。

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