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後発品をどう選ぶ
〔共和薬品工業〕CNS領域を足掛かりに存在感を高めルピングループの一翼を担う
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号

CNS領域を中心とした後発品を製造・販売する共和薬品工業は、2007年にインドのルピン社の傘下に入り、事業の拡大を図っている。今後の取り組みについて同社社長の角田礼昭氏に聞いた。


─共和薬品工業は、インドのルピン(Lupin)社の傘下に入っています。これまでの会社の歴史とルピングループの一員となった理由を教えてください。

角田 当社は、1954年に創業し、来年で60周年を迎えます。当初は一般用医薬品の受託加工が主でしたが、64年からは医療用医薬品の製造・販売を開始、後発品ビジネスに参入しました。96年より精神科特化戦略を開始し、それ以降は、中枢神経系(CNS)領域、特に精神科病院を中心に活動してきたわけです。ルピングループの一員となったのは、2007年です。05年より技術分野で協力関係にあったルピン社の完全子会社となりました。

 ルピン社はインドのムンバイに本社を置く後発品メーカーで、世界約50カ国に営業拠点があり、米国、欧州、オーストラリアなどで高い信頼を得ています。特に米国では急速に成長し、後発品メーカーとしてはトップ5(処方箋ベース)に位置付けています。ルピングループの一員になったのは、グローバルに活躍する企業の傘下に入ることが、いち早く後発品市場でシェアを獲得し、リーディングカンパニーとなっていくために必要と考えたためです。

 また、重要なポイントとして、社風が似通っているということが決め手となりました。ルピングループが掲げる「Lupin's Values(ルピンの価値観)」には日印双方に共通する東洋的な価値観が反映されており、ルピングループの経営手法として生かされています。それは信頼や共感といった「人」を重視する姿勢に基づくもので、欧米的な経営手法とは一線を画しています。買収した企業に権限を委譲したり、その企業のマネジメントの自主性を尊重する姿勢にそれが表れています。そのため、当社の社員も以前にも増して、意欲的に仕事に取り組んでいます。

 共和薬品工業は、こうした信頼と共感を軸とする「人」重視の経営体制を基盤とし、グローバル医薬品企業であるルピングループの経営資源を最大限に活用することを目指しています。

─共和薬品工業は「アメル(AMEL)」というブランドで知られていますが、現在の製品構成はどうなっていますか。

角田 当社は「AMEL is GENERIC」をキーワードに製品を展開しています。もしかすると、会社名よりブランド名の「アメル」の方が親しんでいただいているかもしれませんね。現在の製品構成は、精神科・神経内科領域の製剤(催眠鎮静薬・抗不安薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬、精神神経用薬など)を中心に、142成分、311規格を発売しています。

 CNS領域に特化してきたわけで、この強みは今後も生かしていくつもりです。しかし、これだけでは大手のメーカーに伍していくことはできません。当社は、従来より、循環器系や消化器系についても大型品では後発品を積極的に発売してきました。例えば、東京都薬剤師会による調査では、アムロジピン、ロサルタンの後発品においては、「アメル」の調剤回数が最も多かったという結果が公表されています。CNSだけでなく、こういった領域にも今まで以上に力を入れるべく、社内体制を構築しています。

 また、11年には、DPC病院での存在感を発揮するために、注射薬を主力としているアイロム製薬の全株式を取得しました。このように、ルピングループとして日本での規模拡大を図っています。

─ルピン社とは、開発・製造面でどのような協調体制をとっているのですか。

角田 ルピン社は1400人を超える研究員(13年現在)を有し、原薬から医薬品まで自社一貫製造を行う製造施設(FDA〔米食品医薬品局〕認定工場)を複数所有しています。こうしたパワーを持つルピン社と当社がコラボレートすることで、様々なメリットが生まれると考えています。

 既にインドでは日本向けの原薬製造ラインがありますが、ルピン社で開発・製造した製剤を日本に持ってきて、当社の三田工場(兵庫県三田市)で検品・包装したものを間もなく発売します。一方、当社が国内で製造していたものをルピン社に移管している案件も幾つかあります。また、現在、インドに日本向け専用の新工場を建設しており、14年には、専任スタッフによる生産を開始する予定です。

 いずれの場合も、日本の高い品質基準を満たすため、慎重に準備を進めてきました。ルピン社の傘下に入って6年たちましたが、当社の技術部門のスタッフと現地のスタッフの人材交流には力を入れています。海外に工場があることで、日本で地震などの災害が起きたときでも、製品の安定供給が可能になります。もちろん、何があっても日本で生産できる体制は維持します。このように、開発、生産などを日印で協調して行うことによって、より高品質な製剤を安定して供給できると考えています。

─情報提供ではどのような取り組みをしているのですか。

角田 12年から13年にかけて、新しい組織体系としました。まず、当社の強みであるCNS領域をさらに強化するため、精神神経事業部を立ち上げました。また、全国展開する調剤薬局の本部を集中して訪問する広域顧客部、そして地域に密着している調剤薬局をこまめに訪問する医薬事業部を設けています。MRも増員して、当社製品の特徴を理解していただくよう、努力していきたいと考えています。

 ただ、製品のアピールをするだけでなく、例えば経営的な課題に対してアドバイスをするなど、総合的に薬局をサポートさせていただきたいとも思っています。当社の社員は、まじめで誠実である半面、おとなしい印象がありますが、薬剤師の先生方のパートナーとして信頼していただける人材がそろっていると自負しています。そして数年後には、後発品事業に携わるメーカーの中で、指折りの評価を受けるような企業になっていたいと考えています。

図 アメルに込めた共和薬品工業のメッセージ(同社資料から転載)

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写真:今 紀之

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