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後発品をどう選ぶ
〔高田製薬〕研究開発型企業として独創的な製品の開発を目指す
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号

高田製薬は製剤面での工夫に対して特に高い評価を得ている。昨年の16位から12位にランクアップした同社の今後の戦略などについて、同社社長の高田浩樹氏に聞いた。


─本誌の後発品企業ランキングで、高田製薬はトップ10入りが目前です。以前は新薬も開発されていましたから、他の後発品メーカーとは立ち位置が違うのかもしれませんが、今回の結果をどう受け止めていますか。

高田 おっしゃるように、1895年に創業した当社は1960年代に一般薬から医療用医薬品の製造・販売に転換し、90年代には新薬の開発にもチャレンジしていました。その後、2005年に市場の拡大が見込まれる後発品へ方向転換を図ったわけです。こうした業務革新の中でも一貫していることは、「研究開発型企業」として常に技術の向上を図り、独創的な製品の開発を目指していることです。ランキングでトップ3に食い込めるかと問われれば、まだまだ力不足かもしれませんが、当社の製品の特徴を理解し、高く評価していただいていることを感謝申し上げるとともに、なお一層の努力が必要だと感じています。

─「患者が飲みやすい・使いやすい工夫があるから」という項目で、60.5%と他社を圧倒するスコアを得ていますね。

高田 本当にうれしく思っています。実は、私自身が薬剤師ですし、当社の取締役の過半数が薬剤師なのです。経営陣が製剤研究の重要性を理解していることに加え、豊富なスタッフによる研究開発体制が、「味が苦い」「錠剤が大きい」「医師、薬剤師、看護師が扱いにくい」などの問題を改良した、高田製薬ならではの独創的な医薬品を生み出すバックボーンとなっています。

 様々な製剤ニーズに応えるためには情報収集が欠かせませんが、MRが薬局を訪問して情報提供する際に「何かお困りのことはありませんか」とお聞きすることはもちろん、開発スタッフが薬剤師の先生方と面談してヒントをもらっています。常に情報を吸い上げるように心掛けており、「こういうふうに工夫するのはいかがでしょうか」と薬剤師の先生方に相談させていただいて製品化しています。このような開発姿勢は会社の文化として根付いていますし、そこに当社の存在価値があると考えています。

─クラリスロマイシンDS小児用10%「タカタ」の製剤工夫を高く評価する薬剤師が多くいました。

高田 クラリスロマイシンは苦味が強く、薬剤師の先生方は小児患者さんの服薬コンプライアンス低下を懸念されていました。そこで、転動流動コーティング法により、有効成分であるクラリスロマイシンを口腔内pHで溶けないコーティング剤で包み、服用時に苦味を感知しにくくするとともに、バナナ味を付けました(図)。こうした小児用製剤における製剤工夫は当社製品の特徴であり、例えば持続性抗ヒスタミン薬であるクレマスチンフマル酸塩を製品化したときは、溶けやすさ、服用のしやすさ、調剤のしやすさなどの利便性を考慮してドライシロップ(商品名テルギンGドライシロップ0.1%)の剤形追加を行いました。

図 クラリスロマイシンDS小児用10%「タカタ」の製剤工夫(高田製薬による)

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 小児用製剤だけではありません。リドカイン注射液は開発当初、アンプル製剤である2%リドカイン製剤と10%リドカイン製剤が市販されていました。2%製剤はそのまま使用できますが、10%製剤は生食などの輸液で希釈して使用するため、緊急時における希釈濃度の過誤が懸念されていました。そこで、当社では緊急時に素早く対応できるキット製剤を開発。その後、他製剤との識別性や利便性の向上を目的に、ガラス瓶包装からソフトバッグ製剤に変更し、オリベス点滴用1%として発売しています。また、ガラスの注射薬容器がアルカリ性水溶液に接すると不溶性異物が発生しますが、 これをプラスチック容器に変えることで防いだオザグレルNa点滴静注「タカタ」も高い評価を得ています。このように、患者さんと医療提供側の双方の利便性や医療安全面も考慮した工夫が、薬剤師の先生方に認知されていることがうれしいですね。

─現在、どのような製剤工夫に取り組んでいますか。

高田 近年、先発品メーカーも後発品メーカーもOD錠の開発に注力していますが、「かんだり、なめたり」ということになれば苦味の問題が発生します。そこに当社が培ってきたドライシロップのマスキング技術が役立つと考え、既に上市しているOD錠もあります。今後も積極的に製品化していきたいと思っています。

─生産や品質管理については、どのような体制になっていますか。

高田 医薬品および食品の研究開発・生産・品質管理の拠点となっている大宮工場に加え、02年に外用薬専用の大宮第二工場(ともにさいたま市西区)、07年には多様化する注射薬製造のニーズに応えるために、注射薬に特化した北埼玉工場(埼玉県加須市)を稼働させました。北埼玉工場の各フロアには多段階のバリアーシステムを導入し、各ゾーンを分離。洗浄機への容器供給からアンプル・バイアル収容までの搬送を無人化・自動化し、微生物汚染の可能性を排除しています。さらに来年、固形製剤専用の新幸手工場(埼玉県幸手市)が稼働予定で、自動化された大ロット製造ラインによって固形製剤の生産量は従来の5倍以上になります。将来対応として小ロット製造ラインの併設も計画しています。また、抗癌剤などの高活性製剤の製造にも対応します。新工場の稼働によって、製剤の中身だけでなく、識別性を高めた包装表示や錠剤印刷も可能になります。

─製剤工夫や品質が高く評価されている半面、情報提供面では評価があまり高くありませんが……。

高田 現在、MRは130人体制で全国をカバーしていますが、医療機関を漏れなく訪問するには限界があります。そこで、将来的にMRを200~300人体制にして情報提供の充実を図っていく予定です。一方、現在設置している相談窓口もさらに充実させていきたいと思っています。

─中・長期的な経営戦略を教えてください。

高田 海外進出も視野に入れていますし、先発品メーカーから長期収載品の製造受託を増やしてもいいと思っていますが、私たちの製剤技術が生かされることが大前提です。あくまでも研究開発を基点にして、業務拡大の方向性を模索していきたいと考えています。

写真:秋元 忍

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