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後発品をどう選ぶ
〔東和薬品〕 肝障害リスクの評価方法も開発 後発品の信頼性を高めて安定供給を図る
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

東和薬品は、信頼性を高めるために、製剤の評価方法を自ら開発するなど、意欲的な取り組みを見せている。同社社長の吉田逸郎氏に、本誌調査への感想や同社の戦略などについて聞いた。


─東和薬品は、本誌の後発品企業ランキングでは昨年4位、今年5位と常に上位を確保し、特に「供給が安定している」ことに評価が集まっています。

吉田 後発品の安定供給に関しては、薬事法の改正を背景に、原薬まで含めてメーカーの製造管理や品質管理が問われる時代になっています。当社では、原薬の安定的な確保を行うため、複数先からの購買やグループ会社での自製化で、原薬のダブルソース化に取り組んでいます。製品の生産には、大阪、岡山に加えて、2012年に山形工場(山形県上山市)が稼働し、国内3工場2シフト体制で年間75億錠の製造が可能となり、従来の約2倍に相当する生産能力を有しています。また、1つの工場が震災や火災などで使えなくなっても、他の2工場で3シフト体制を敷き、生産能力を確保できるようバックアップ体制を構築中です。

 さらに、注射薬の製造は山形工場に集中させ、無菌製剤棟を免震構造にすることで、災害リスクを最小限にとどめるようにしています。物流センターも山形と岡山の東西にあり、各センターに全製品を保管することでバックアップ体制を整えています。販売に関しては、卸を通さず、全国57営業所と50社70拠点の代理店による独自の流通・販売網「東和式直販体制」を整備して、迅速に対応できるようにしています。

─今回のランキング結果を見て、どうお考えですか。

吉田 例えば、「DI情報が充実している」に関してあまり高い支持が得られていませんが、実際に情報提供については他社と比べても力を入れています。24時間365日、どんな要望があっても応えられる体制や、薬事法に定められた情報だけでなく、東和薬品の製品をもっと知っていただけるよう後発品メーカーの中で最多のMR約600人による情報提供を積極的にしてきたつもりです。

 「患者が飲みやすい、使いやすい工夫がある」という項目でも、それほど高い評価ではなくやや残念に感じました。製剤技術は当社が非常に力を入れているところです。後発品メーカーは単なる価格競争に陥ってはいけないと考えています。品質の安定性に加え、新しい技術を駆使した製剤の工夫によって患者さんのアドヒアランス向上に寄与すべきです。こうした考えの下、当社の製剤には様々な工夫を施してきました。今回示された評価を前向きに捉え、これまで以上に質の高い情報をお届けするとともに、更なる製剤技術の開発に取り組もうと、思いを新たにしています。

─製剤技術としては、独自のRACTAB技術を開発していますね。

吉田 RACTABとはRapid and Comfortable Tabletsを意味し、服用しやすい崩壊性、普通の錠剤同様に取り扱える硬さを目指した、汎用性の高いOD錠のプラットフォーム技術です。当社独自のもので特許も取得しており、薬に“やさしさ”をデザインしたと設計を評価していただき、医薬品の製剤技術としては初めてグッドデザイン賞(12年度)を受賞しました。現在は、アムロジピンOD錠「トーワ」をはじめ12成分27品目に応用されており、今後は、さらに幅広い疾患領域の医薬品に活用していきます。

 こうした製剤の工夫のほか、医療現場で取り扱うときや、患者さんやご家族、介護する方が確認しやすく、飲み間違いが発生しないように、薬の効果を文字やイラストを使ったマークにして包装に印刷しています。また、小児用製剤や服用方法に特徴のある薬には、QRコードによる医薬品情報提供サービスを行っています。患者さんやその家族が服用方法などを手軽にタイミング良く入手できるよう、包装に印刷したQRコードから、携帯電話を使って薬の情報にアクセスできるサービスです。

─後発品の信頼性に関してはどんな取り組みをしているのでしょうか。

吉田 後発品の有効性と安全性については、生物学的同等性試験により先発品との同等性を検証し、承認を得ています。製剤に用いられる添加物は、製剤工夫や他社の有する特許などにより先発品と異なるものが用いられる場合がありますが、いずれも安全性が確認されたもののみを使用し、添加物の違いによって有効性・安全性に違いが生じないことを確認しています。しかしながら、添加物が異なるなどの理由で、有効性や安全性に相違があるのではないか、と医療現場から指摘されることがあります。

 当社は製造販売後調査を行って安全性を確認していますが、こうした不安を払拭する1つのアプローチとして、ヒト肝細胞に高度に置換された肝臓を持つキメラマウスを用い、製剤でのヒトの肝障害リスクを評価する方法(T-LEX法:Toxicity of Liver EXamination)を開発しました。ヒト肝細胞を持つマウスに製剤を投与し、トキシコゲノミクスの手法によって、肝障害に関連する種々の遺伝子の発現量の変化を調べるというこの評価方法は、長崎大学大学院病院薬学分野の中嶋幹郎教授らとの共同研究で、世界で初めて開発したものです。製造販売後調査では、結果を得るまでに発売後に相当の時間を要しますが、T-LEX法では短期間での評価が可能であり、発売前に先発品と比較した安全性の予測が可能となります。このT-LEX法を用いて、当社のアトルバスタチン錠10mg「トーワ」と同効先発品を評価したところ、両剤とも同程度の肝障害リスクであることが推測されました(図)。

図 T-LEX法によるアトルバスタチン製剤の肝障害リスク評価

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ヒト肝細胞を持つマウスにアトルバスタチン錠10mg「トーワ」と同効先発品をそれぞれ投与して比較した。ヒト肝細胞における全遺伝子の発現量の変化を確認したところ、両剤間に高い相関性が認められた(r=0.95、上図)。また、肝障害に関連する17種類の経路をみても、両剤に同程度の遺伝子発現量の変化が見られ(r≧0.7467)、肝障害リスクに差がないと推測された。

 今後、データを蓄積して、医療現場に提供したいと考えています。

─最後に、薬剤師へのメッセージをお願いします。

吉田 後発品は数が多過ぎて悩むといったことを耳にするのですが、各メーカーは開発努力を重ねており、有効成分が同じでもそれぞれ特徴があります。患者さんにどの後発品をお薦めするかを判断するのは薬剤師や医師の先生方ですから、薬効以外の様々な特徴をご理解いただき、最適な後発品を選んでいただけたらと思います。私たちも、そのための情報をこれまで以上に積極的に提供していきたいと考えています。

写真:秋元 忍

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