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次期改定で在宅への評価の方向性が明らかに ほか
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

次期改定で在宅への評価の方向性が明らかに
薬情で患者に周知、無菌調剤は共同利用でも算定可へ

 中央社会保険医療協議会(中医協)総会が、10月23日開催され、2014年調剤報酬改定における在宅業務への評価について議論された。

 「最近の調剤医療費の動向」によると、在宅業務の届け出薬局数は12年度で4万2745軒で、08年度の3万7550軒から増加傾向にあるが、実際に在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している薬局はその1割にとどまり、さらにその半数以上は年間算定回数が50回未満だった。

 社会医療診療行為別調査などによれば、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定回数はこの数年、20万回と変化はないが、介護保険の居宅療養管理指導費の算定回数は、08年の178万回から12年は377万回に伸びている。

 厚生労働省はこうした結果から、全体では薬剤師による在宅の薬剤管理は進んでいるが、更なる促進が必要と結論。課題として、患者への周知や開局時間以外の対応などを挙げた。そこで、中医協では(1)実施薬局の周知、(2)夜間や休日の対応、(3)訪問看護師やケアマネジャーへの情報提供、(4)無菌調剤室の共同利用でも無菌製剤処理加算を算定可能にする─といったテーマが議論された。

 在宅業務を行っている薬局を周知させる方法として、患者に渡す薬剤情報提供文書に、対応可能である旨を記載することが提案された。また、医療機関が保険薬局の地図を配布する際に、在宅業務を行っている薬局が患者に分かるように示すことも出された。現在は療養担当規則で、患者を特定の薬局に誘導する行為は禁止されているが、在宅に関しては認める方向。医師委員からは一部反論があったものの、委員はおおむね賛成した。

 夜間や休日の対応について、現行では、在宅業務届け出薬局が算定できる基準調剤加算の要件を、単独の薬局で常時調剤できることに限っておらず、近隣の薬局との連携が取れていれば算定可能となっている。これを改め、連携は取りつつも、原則は単独で対応する方向性が示された。


改定で主治医機能を評価へ
患者の薬の一元管理では薬局の役割明記されず

 10月9日の中医協総会では、診療所の外来における主治医機能が議論された。

 次期改定では、診療所や中小病院で患者の健康管理や介護を含めた包括支援を担うような、かかりつけの機能に点数を設定する方向で議論されている。対象は年齢を問わず、生活習慣病と認知症の患者で、服薬管理や健康管理などを行う。

 この議論では、服薬管理は院内処方の医療機関が一元的に行うと想定しており、薬局については、資料に明記されていなかった。日本薬剤師会副会長の三浦洋嗣氏など一部の委員が異議を述べたが、医師委員からはそれに同調する声は上がらず、今後の議論の行方が注目される。


後発品使用促進策
一般名処方は全品目の1割強、うち後発品への調剤は6割

 10月9日に開催された中医協総会では、2012年度の「診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の結果が報告された。

 一般名処方への加算の影響では、9月の1週間で処方箋に記載された品目(21万2391)のうち、一般名の品目数は14.7%(3万1268)で、うち後発品が調剤されたのは、61.9%(1万9362品目)だった。先発品名の品目は全体の67.2%、後発品名は14.8%だった。

 後発品調剤への対応を薬局に尋ねたところ、「薬の種類により取り組んでいる」(54.1%)が最も多く、「積極的に取り組んでいる」(29.5%)、「あまり積極的には取り組んでいない」(11.7%)の順だった。


OTC医薬品協会がスイッチOTCの迅速化を要望
「6年で13成分は遅過ぎる」

 日本OTC医薬品協会は、10月7日、一般用医薬品のスイッチ承認の審査を迅速に行うよう、厚生労働大臣に緊急要望書を提出した。

 同協会によると、2007年度以降にスイッチ化の候補となったのは129成分あるが、上市されたのはわずか13成分。要望書では、薬事・食品衛生審議会における利害関係者からの強硬な発言などで、不当に承認審査手続きが停滞していると批判。審査委員から医師会や薬剤師会などの関係者は外すよう求めた。さらに改善策として、日本医師会や日本薬剤師会、生活者、供給事業者などが参加する公開討論会を行うことなどを提案した。


国試合格後の薬剤師免許
取得期間短縮を日薬と日病薬が要望

 日本薬剤師会と日本病院薬剤師会は、9月25日、薬剤師国家試験に合格してから免許取得までの期間の短縮を求める要望書を、厚生労働省医薬食品局長に提出した。

 現状では、薬剤師国家試験は3月第1週に実施され、3月末に合格者が発表されて合格証書が本人に届く。その直後に免許取得を申請しても、都道府県や厚労省での手続きに時間を要し、実際に登録済証明書が届くまでに1カ月程度かかり、新卒薬剤師が就業する4月1日には間に合わない。「4月時点で無資格者であるため、給与など処遇に影響を与えるケースもある」と日病薬の関係者は話している。


薬局が京都府立医大に寄付講座を開設
在宅のチーム医療を研究

 京都府内を中心に67店舗の薬局を経営する、ゆう薬局グループ(京都市左京区)は10月1日、京都府立医科大学に寄付講座の「在宅チーム医療推進学講座」を開設した。講座の開設期間は2018年9月末までの5年間。

 同講座は、薬剤師だけでなく、府内の医師や看護師などの多職種を対象として、在宅における業務やチーム医療の研究と実践、人材育成を目的としている。今後増える在宅のニーズに対応するためにも、在宅業務のノウハウを共有化し、レベルアップにつなげたい考えだ。また、薬学系大学院生が、同講座で在宅をテーマに研究できるようにもするという。


日薬が学生会員を募集
JPALSの無料利用も可能、ウェブサイトもリニューアル

 日本薬剤師会は10月1日、特別会員として薬学生の入会受け付けを開始した。

 入会資格は、薬剤師養成の大学、大学院などの教育課程の在籍者、薬剤師になる資格のある者で、薬剤師免許を持つ学生は不可。会費は年間1000円(年度単位)、10月1日以降の入会では500円となっている。特典は(1)日薬会員向けサイトの閲覧、(2)生涯学習支援システム(JPALS)の無料利用、(3)日薬雑誌への投稿─など。

 日薬は10月17日には、公式ウェブサイトを刷新し、公式Facebookページも開設。国民向けの情報発信だけでなく、会員同士の交流も積極的に行っていく方針だ。


記者の眼
無許可業者が医薬品をネット販売
業者に医薬品販売の許可に関する知識なし

 10月7日、柏市(千葉県)は、インターネット上で医薬品を無許可で販売した業者に販売中止措置を下したと発表した。無許可業者による医薬品ネット販売が摘発されたのはこれが初めて。販売を行っていたのは、ニューセンス有限会社(千葉県柏市)。大手検索サイトのヤフーが運営するネット上の商店街「Yahoo!ショッピング」で、一般用医薬品(OTC薬)を少なくとも10品目販売していたという。

 「10月4日に東京都福祉保健局から通報を受けて、その日のうちに立ち入り調査を行い、ホームページの閉鎖と医薬品販売の中止を指導した」と、柏市保健所は経緯を説明する。販売されていたOTC薬は近隣のドラッグストアで購入したもので、販売期間は12年10月からの約1年間。11人が4品目20個のOTC薬を購入したが、今のところ健康被害は生じていないという(表1)。

 医薬品のネット販売ルール策定とほぼ同時期に明らかになったこの事件だが、悩ましいのは、「当該業者はそもそも、医薬品販売を行うには許可が必要とは知らなかった」(柏市保健所)ことだ。

表1 ニューセンスが無許可販売したOTC薬(柏市保健所による)

「無知」ゆえの無許可販売
 Yahoo!ショッピング運営元のヤフー広報室によると、ニューセンスが出店したのは06年。医薬品など販売に許認可が必要な商品を取り扱う業者には「出店時の審査で、許可証の写しの提出や販売サイトに法令上の表記を行うなどの対応を求めている」(ヤフー広報室)とのことだが、出店当時の取扱物品に医薬品は含まれていなかった。12年10月、取扱物品にOTC薬が追加されたが、既存店であるためヤフーによる審査対象とはならなかった。

 サイトでは、商品説明の一つとして使用期限を表示していたが、13年7月、「インターネットで使用期限が切れたOTC薬が販売されている」という通報が東京都福祉保健局に寄せられた。「使用期限切れの医薬品の販売を明確に禁じる規定は薬事法にはないが、消費者に健康被害を及ぼす恐れがあるため、7月末にヤフーに情報を提供。対応は速やかで、期限切れ薬が販売サイトからなくなったことがすぐに確認できた」と、対応を担当した東京都福祉保健局健康安全部薬事監視担当課長の大貫奈穂美氏は話す。

 しかし、ニューセンスはこの後も使用期限が切れていないOTC薬を引き続き販売していた。この時点で、この業者が医薬品販売の許可を受けているのかという疑念が生じたという。「サイトには許可の区分や許可証の記載事項などの表示がなかったが、表示がないからすなわち無許可とは断定できない。東京都の業者ではなかったため、千葉県へ照会して確認を取った」と大貫氏。照会などに時間を要した結果、柏市への通報は10月にまでずれ込んだ。

今回の事例は氷山の一角か
 厚生労働省に設置された「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」は10月8日、検討結果を取りまとめた「一般用医薬品の販売ルール等について」を公表した。ネット販売サイトは薬局・店舗販売業の許可を得た実店舗を持つ業者のみが開設できるとした上で、(1)許可番号など実店舗への掲示事項を販売サイト上にも表示する、(2)偽販売サイトへの対応として医薬品販売サイトのURLを厚労省に届け出て、厚労省のウェブサイト上に一覧(ポジティブリスト)を公開する─などのルールを設けることを決めた。

 また、ヤフー広報室は「オークション(個人取引)サイトへの医薬品の出品については、24時間数百人体制のパトロールによりチェックしている。今後、このパトロール体制をネット販売の監視にも活用していく」としており、出店者が途中からOTC薬の取り扱いを始めたケースの発見にも努めるという。

 だが、こうした対策をもってしても、無許可販売を完全に防ぐことは難しい。医薬品販売に許可が必要であることが、一般のネット販売業者に十分に周知されていないと考えられるためだ。実店舗での販売と比べるとネット販売は実態が見えにくい上、取扱物品の追加が気軽に行える。今回の事例は、まさに氷山の一角なのかもしれない。(内山 郁子)


新薬DIピックアップ
コンプラビン配合錠《2013年9月20日製造販売承認》
クロピドグレルとアスピリンの配合薬

 9月20日、クロピドグレル硫酸塩・アスピリン配合薬(商品名コンプラビン配合錠)が製造販売承認を取得した。

 適応は「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される次の虚血性心疾患。急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞」で、1日1回1錠を経口投与する。

 心筋梗塞などの冠動脈狭窄例には、バルーン血管形成術やステント留置などのPCIが施行され、血栓性合併症の予防を目的に抗血小板薬が使用される。国内外のガイドラインでは、PCI施行時や施行後にクロピドグレル(商品名プラビックス)などのチエノピリジン系抗血小板薬とアスピリンを投与する2剤抗血小板療法(DAPT)が推奨されている。また、いずれか1成分の未服薬が心血管イベントを更に増加させることが報告されている。

 コンプラビンは、1錠中にクロピドグレル75mgとアスピリン100mgを配合した薬剤である。

 クロピドグレルは、血小板アデノシン5'二リン酸(ADP)受容体の活性化を特異的に阻害し、アスピリンは血小板のシクロオキシゲナーゼ1(COX-1)の選択的なアセチル化によりCOX-1を阻害することから、本剤は強力な抗血栓作用をもたらすことが示唆されていた。なお、承認時までに各有効成分併用の生物学的同等性試験などは実施されたが、PCIが適用される虚血性心疾患患者に対するコンプラビンの臨床試験は実施されていない。

 承認時までの臨床試験では、35.6%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、皮下出血(5.7%)などの出血傾向の副作用、ALT上昇(7.9%)・AST上昇(5.6%)・γGTP(5.1%)などの肝機能異常、好中球減少(0.9%)などの血液障害である。重大な副作用として、出血(頭蓋内出血、胃腸出血など)、胃・十二指腸潰瘍、肝機能障害などが報告されている。

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