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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)高カルシウム血症の原因疾患は
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

出題と解答 : 飯島 彩、笹嶋 勝
(日本メディカルシステム[東京都中央区])

A1

(3)副甲状腺機能亢進症

 血中のカルシウム濃度が高値となる疾患には、副甲状腺機能亢進症、多発性内分泌腫瘍症、サルコイドーシス、結核、悪性腫瘍、薬剤の副作用によるものがある。Tさんの場合、動悸や倦怠感、気分不良といった症状からすれば、選択肢に挙げた疾患の中では副甲状腺機能亢進症が疑われる。

 他の選択肢の甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症では、カルシウムが高値を示すことはあまりなく、抗甲状腺薬や甲状腺ホルモン薬を処方されるため、Tさんの疾患としては考えにくい。副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の合成・分泌低下や欠如、臓器のPTH反応性低下により、低カルシウム血症を来すため、本ケースでは除外される。

 なお、副甲状腺機能亢進症には、副甲状腺そのものの異常に起因する「原発性」と、慢性腎不全が主な原因となって起きる「二次性(続発性)」に分けられる。Tさんは基礎疾患がなく、腎機能が大きく低下している可能性はあまり高くないので、原発性が最も疑われる。また、「家族には同じ病気の人はいない」と話していることから、副甲状腺機能亢進症に類似した遺伝疾患(家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症)も考えにくい。

 原発性副甲状腺機能亢進症の多くは無症候性であり、血液検査の異常値から発見されることが多い。

 血中カルシウム濃度は、ビタミンDや副甲状腺から分泌されるPTHと、甲状腺傍濾胞細胞から分泌されるカルシトニンで調節されている。PTHは破骨細胞を活性化して骨吸収を促進し、骨からカルシウムを遊離させ、腎臓(遠位尿細管)でのカルシウムの再吸収を促進する。ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、腎臓から尿中への排泄を抑制する。カルシトニンは骨吸収を抑制し、血中のカルシウム濃度を低下させる。

 原発性副甲状腺機能亢進症では、PTHの分泌が亢進しているために、血中カルシウム濃度が高値を示す。同時に、血清intactPTHの上昇が認められれば診断に至る。一方で、血中のリン濃度は、カルシウム濃度と拮抗関係にあるため、低下傾向を示すという特徴がある。

 また、治療を行わずに放置すると骨密度の低下や腎臓結石などの原因になるほか、傾眠や昏睡を来す高カルシウム血症性クリーゼを引き起こすこともある。根治には、副甲状腺の摘出手術が必要となる。無症候性であれば、特に治療は必要とせず、経過観察とされるケースもあるが、Tさんの場合には動悸や悪心などの訴えがあるため、治療に至ったと考えられる。

 治療薬として、原発性副甲状腺機能亢進症に適応を持つ薬剤はない。

 しかし、アレンドロン酸ナトリウム水和物(商品名フォサマック、ボナロン他)をはじめとするビスホスホネート製剤は、破骨細胞による骨吸収を抑制することで骨から血中へのカルシウム溶出を抑制し、血中カルシウム濃度を強力に低下させるので、本例のように適応外ながら高カルシウム血症に投与されることがある。

 しかし、同製剤には腎尿細管でのカルシウムの再吸収を抑制する作用はない。さらに、細胞外のカルシウム濃度の変化に対し、副甲状腺が反応することが証明されており、血中カルシウムの濃度低下が副甲状腺を刺激してしまうため、長期服用は限界があると考えられている。

 Tさんにはアレンドロン酸の服用方法として、コップ1杯の水(180mL)で飲み、服用後30分は横にならず、飲食はしないことなども説明する必要がある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 体調が優れないとのこと、おつらいでしょう。高カルシウム血症は骨粗鬆症とは違いますが、血液中にカルシウムが流れ出て骨がもろくなってしまうので、それを抑えて骨を強くするためにお薬が出されたと考えられます。血液中のカルシウムの濃度が高いのは、恐らく喉にある副甲状腺の働きが活発になっているためだと思います。手術することも多いのですが、Tさんの場合、先生はまずお薬で経過を見ようとお考えになったのだと思います。

 お薬は朝起きた時にコップ1杯の水で飲み、少なくとも30分は横にならないようにしてください。その間は朝ご飯や他のお薬も控えてくださいね。

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