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OTCトレンドウォッチ
ガスター10
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

横溝 敦志
Atsushi Yokomizo
第一三共ヘルスケア株式会社 研究開発部開発第一グループ
2008年入社。現在、消化器領域の製品開発を主に担当。

聞き手
三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長、薬剤師
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、一般用医薬品に関する寄稿や講師の活動も行う。

 本稿では、胃痛や胸やけに対する一般用医薬品(OTC薬)のガスター10について、製品担当者である第一三共ヘルスケアの横溝敦志氏に、製剤や包装の特徴を聞いた。

─ガスター10は、ファモチジンの単味であることが特徴の1つだと思います。また、効能・効果には、胃痛だけでなく、もたれやむかつきも書かれていますね。これからの季節は飲み過ぎで胃もたれを訴える人が増えますが、飲酒した翌日にヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)を服用しているケースは多いのでしょうか。

横溝 胃薬には様々な種類があり、必ずしもH2ブロッカーが服用されているわけではありません。H2ブロッカーのファモチジンは持続時間が8時間と、他の制酸薬よりも長いのが特徴です。作用として、過剰に出ている胃酸を抑えるほか、胃内部の血流量を上げて胃粘膜の修復を促進しますので、飲み過ぎにより、胃痛、むかつき、もたれを訴える方には、積極的に薦めていただきたいと思います。

 開発時にファモチジン以外の成分を配合することも検討しましたが、その必要はないと判断し、単味にしました。

─剤形は、糖衣錠、散剤、口腔内崩壊錠、液剤の4つがありますね。

横溝 胃薬は服用する人によって、好む剤形が様々であるため、複数開発しました。いずれも1回量は、ファモチジンが10mgです。服用後に8時間たっても症状が治まらない場合に、もう1回服用できます。

 発売した1997年当初は、水のある場面で服用することを想定して糖衣錠と散剤を開発しました。

 その後、外出先での突発的な胃痛などにも対応できるよう、水なしで飲める口腔内崩壊錠のガスター10 S錠を2006年に、液剤のガスター10内服液を08年にそれぞれ発売しました。これらは、嚥下障害があるような高齢者の方にも服用していただける商品です。

─口腔内崩壊錠は、医療用のガスターD錠と同様のものでしょうか。

横溝 錠剤自体は医療用と同じですが、刻印は入っていません。

 口腔内崩壊錠は、持ち運んでも崩れないけれど、口に含んだときに溶けやすいように、強度を工夫しました。詳細はお話しできませんが、しっかり固めるための成形性の高い糖類と、溶けやすくするための成形性の低い糖類をバランスよく配合し、服用時に錠剤の中に唾液が入り込みやすいように、多少隙間がある構造になっています。

 また、包装にも特徴があります。錠剤が割れにくいようにPTPシートを大きめにしました。また、口腔内崩壊錠は吸湿性が高く、変性しやすいのでPTPシートは乾燥剤の入ったピローに包み、外箱に入れています。ちなみに、糖衣錠はピローには入っておらず、外箱にPTPシートがそのまま入っています。

─液剤は医療用にはない剤形となりますね。

横溝 はい。ファモチジンの液剤は医療用にはないため、一からの開発になりました。試行錯誤し、申請までに3年かかりました。

 ファモチジンの弱い苦味を抑えるため、若干のメントールと人工甘味料のスクラロースを加えました。人工甘味料なので就寝前に飲んでも虫歯の心配はありません。後味がさらっとするのも特徴です。

─プラスチックの容器に入っているのも特徴だと思います。

横溝 ファモチジンが金属の影響を受けやすいため、容器やピローは全てプラスチックを使用しています。

 胃もたれや飲み過ぎに対する医薬部外品は、コンビニエンスストアなどでも売られていますが、多くは瓶入りで飲んだ後に捨てにくいという声を聞きますので、プラスチック製で捨てやすくする狙いもありました。

 安定性試験の結果から、用量は1本10mLとし、持ち運びにも便利なサイズになっています。キャップは、容器の上部をつまんで軽く回せば開きます。

 使用期限は製造時から3年です。未使用のボトルは、ピローに戻して外箱に入れて保管します。冷蔵庫に入れて保管しても問題ありません。

─パッケージの色が青とグレーで特徴的です。この色合いにした理由はありますか。以前、糖衣錠と散剤には、ピンク色のパッケージもありましたが。

横溝 胃痛を鎮め、スッとするようなイメージから青色をベースにし、製品名は目立つ黄色にしました。また、青と黄色の両方に調和する色のグレーを入れました。デザインは全ての剤形で統一していますが、区別がつくように、パッケージに内容の写真を掲載しています。

 ピンク色のパッケージは、女性が購入しやすいようにということで販売していました。しかし、第1類医薬品で、購入者が自由に手に取って選ぶ商品ではないので、青いパッケージだけでよいのではないかということで、13年9月に出荷を終了しました。

─店頭でお薦めする際の注意点や、薬剤師に知っておいてほしいことは。

横溝 添付文書の内容と同じになりますが、本剤は食前・食後に関係なく、症状が表れたときに飲めます。3日間服用しても症状が改善しない場合は、服用をやめて医療機関を受診するよう伝えていただきたいと思います。

 本製品は80歳以上の高齢者は服用できません。65歳以上でも肝機能や腎機能の低下が懸念される方の服用は控えた方がよいケースもありますので注意が必要です。

 胃薬には多数の種類がありますが、中でも第1類医薬品は、一般に「効果が強い、副作用も出やすい」というイメージを持たれやすいようです。しかし、効果と副作用は比例するわけではありません。患者さんの状態を把握した上で、該当する方には積極的にお薦めしていただきたいと思います。

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胃痛、胃もたれ向けのOTC薬/三上彰貴子の一言メモ

 胃の不快症状は様々だが、胃酸が出過ぎているタイプと、胃の働きが弱っているタイプの2つに大別できる。

 胃酸が出過ぎると、胃痛やむかつき、胸やけ、呑酸─などの症状が空腹時にみられることが多い。原因として、食べ過ぎや飲み過ぎのほか、喫煙、カフェインの過剰摂取やストレス、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが代表的である。

 胃酸過多には、ガスター10や、ムスカリン受容体拮抗薬のピレンゼピン塩酸塩などが含まれるパンシロンキュア(ロート製薬)、胃粘膜修復成分のスクラルファートなどが配合されたスクラート胃腸薬S(ライオン)などを薦める。

 一方、胃の働きが弱るタイプは、加齢、脂っこい食事の摂取が原因になりやすい。胃もたれ、むかつき、消化不良、食欲不振の訴えが特徴的で、食後に症状を感じることが多い。

 こうした場合には、ソウジュツ乾燥エキスなどの健胃成分や粘膜修復成分のメチルメチオニンスルホニウムクロリドなどを配合した新キャベジンコーワS(興和)や、オウバク末をはじめとした健胃成分と消化酵素のタカヂアスターゼN1とリパーゼAP12、制酸成分などを含む第一三共胃腸薬プラス(第一三共ヘルスケア)などがお薦めである。

 制酸成分の入った製品を薦める場合、血圧が高い人にはナトリウムが含まれる製品は避ける。粘膜保護成分には、アルミニウムを配合した製品が多いので、長期連用は避けるように指導する。

 また、服用時点は忘れずに伝えよう。例えば、H2ブロッカーは症状があればいつでも服用できるが、私はある薬局で食後に服用するようにと、誤って指導されたことがある。正しい指導が重要である。

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