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薬局なんでも相談室1
相談室1:葉酸サプリメントは妊娠初期だけでいいですか
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

 葉酸は水溶性でビタミンB群の一つで、細胞分裂や新陳代謝には欠かせない重要な栄養素の一つです。最近、妊婦の間でも葉酸の欠乏・不足は赤ちゃんに先天性の疾患を引き起こすことが広く知られるようになってきました。胎児の細胞分裂が活発な妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児に二分脊椎症や無脳症などの神経管閉塞障害という先天奇形を発症するリスクが高まることが分かっています。

 実は、胎児の器官形成は妊娠の早い段階で始まるため、妊娠に気付く前から葉酸が不足しないようにしなければならないのです。2000年に厚生労働省は妊娠を計画している女性に対し、「妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までの間、葉酸をはじめ、その他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスが取れた食事が必要である」ことを強調しています。

 しかし“妊娠3カ月まで”の間だけ葉酸を摂取すればよいというわけではありません。葉酸は、奇形を予防するためだけでなく、そのほかにも大切な働きをしているからです。

 その一つが遺伝子発現を修飾するエピジェネティクス(DNAの化学修飾などによる遺伝子発現調節システムをいう)です。さらに細胞分裂に重要な核酸合成にも関与しているのです。動物実験では、妊娠中の葉酸不足は、出生児に望ましくない影響が出ることが報告されています。

 一般に妊娠中は葉酸が不足しやすいので、全期間を通じて1日400μgの葉酸の摂取が必要です。初期だけに限って必要なわけではないのです。ただし、不足しても多過ぎても望ましくありません。

 ドイツでは妊娠中か否かにかかわらず、1日200~400μgの葉酸摂取を推奨しています(上限は1000μg)。最近、オーストラリアとスウェーデンから妊娠中期以降に、多量の葉酸を摂取した母親から生まれた子どもでは喘息リスクが高まるとの報告がありました。この報告によって、妊娠中期以降に服用をやめる妊婦が増えてしまいました。これは用量に注意する必要があることを示していますが、中止すべきということではありません。

過剰摂取にも注意

 現在、国内で販売されている葉酸を配合するサプリメントの用量は、ほとんどが400μg/日です。サプリメントに含まれるのはモノグルタミル葉酸であり、約80%と吸収効率(生物有効性)が高いのが特徴です。一方、食物に含まれるのはポリグルタミル葉酸であり、その吸収効率は50%程度です。必要量が増える妊娠中はサプリメントで400μgを摂取し、それに加えてバランスの良い食事を取っていくことが重要です。海藻類や緑黄色野菜、豆類などが多く葉酸を含んでいます。

 薬局で葉酸のサプリメントを購入しようとしている方には、既に葉酸が含まれているものを飲んでいないかを確かめてください。最近では葉酸(モノグルタミル葉酸)を強化した食品も多く登場しています。多過ぎる摂取には注意が必要です。

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