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特集:
患者のニーズをつかみ居心地の良い待合に
日経DI2013年11月号

2013/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年11月号 No.193

 患者のニーズをくみ取り、快適な待ち時間を過ごしてもらう上で欠かせないのは、事務スタッフの協力だ。中には、一部の事務スタッフを「コンシェルジュ」に特化させ、待合での接遇や患者対応に注力している薬局もある。

 コンシェルジュは、もともと、ホテルで宿泊客にきめ細かなサービスを提供する職務のこと。現在は駅や百貨店、病院など、様々な業界で活躍している。

 祥漢堂薬局新大阪店(大阪市淀川区)では、コンシェルジュが来局者の所へ出向いて処方箋を受け取ったり、お茶を提供したりするなど、待合の隅々に気配りをしている(Case2)。同薬局のコンシェルジュの一人である川嶋あゆみ氏は、「薬局に信頼感を抱いてもらえるよう患者さんの名前を覚え、来局時には名前を呼んであいさつするよう心掛けている」と話す。

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ホテルのラウンジのような広い待合で、きめ細かなサービスを提供するコンシェルジュの川嶋あゆみ氏。同店の投薬カウンターの高さは2種類あり、立ったまま、あるいは椅子に座るかを患者のニーズに合わせて案内する。

 そうごう薬局天神中央店(福岡市中央区)でも、5人いる事務スタッフのうち、1~2人が曜日ごとに「医療コンシェルジュ」の業務を担当(Case3)。患者との会話の中で、体調変化や病院での検査結果、治療への不安などについて聞いた場合は、専用のメモ用紙に記入して薬剤師に渡している。

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「医療コンシェルジュ」は、待合の患者の様子に気を配るだけでなく、患者との会話を通じて体調変化や服薬状況、検査値などの情報を聞き取ったり、患者の希望に応じて血圧や血糖値、肺機能などの測定をサポートする。
医療コンシェルジュの池田美由紀氏(右)と楠岡由扶子氏。同店の事務スタッフは全員、登録販売者資格を有しており、一般用医薬品(OTC薬)の相談にも応じる。

患者の動線を観察しよう
 待合の環境整備の第一歩としてMMPの鈴木氏が勧めるのは、薬局の「コージーコーナー」のチェックだ。コージーコーナーとは、「心地よい空間」を意味する。「待合で患者は思い思いの場所に座っているように見えて、実は患者がよく座る場所は、不思議と決まっていることが少なくない」と同氏は話す。

 コージーコーナーの場所が分かれば、実際に座ってみて、ソファの座り心地や、目に入る風景や掲示物などを分析。それを待合全体に適用していく。「事務スタッフを巻き込んでアイデアを出し合うことで、より良い待合づくりにつながる」と鈴木氏はアドバイスする。

 祥漢堂薬局住吉店(神戸市東灘区)は、脳神経外科と小児科を併設する診療所の近隣にある(Case4)。体調不良のため静かに過ごしたい高齢患者がいる一方、小児患者は調剤時間も長くなりがちで、待合を歩き回ったり騒いだりしてしまうのが悩みだった。

 そこで、同薬局の事務スタッフである大浦くるみ氏は、高齢患者には入り口付近、小児患者と保護者にはキッズスペースがある薬局の奥に座ってもらえるよう、待合のレイアウトを変更。入り口付近には、大人向けの雑誌の棚を置いたほか、壁には健康情報や簡単なパズルなどを掲示し、キッズスペース付近の壁には、子どもの興味を引く飾り付けを施した。

 小児患者を退屈させないもう一つの仕掛けは、折り紙。単に色紙を折ってもらうだけではなく、それを1枚の大きな模造紙に貼っていくことで、1つの作品を仕上げていくのだ。「折り紙ができない乳幼児も、保護者と一緒に『貼る』作業をすることで、参加したという満足感が得られるようだ」と大浦氏は話す。

 今では、小児が楽しそうに待ち時間を過ごしている様子を、高齢患者がほほ笑んで見ていることも増えたという。「調剤中、待合の騒がしさに『早くしなければ』と焦ることがなくなった」と薬剤師の兼平敦子氏は語る。

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雑誌棚の配置やキッズスペースの飾り付けを見直すことで、高齢患者と小児患者が座るゾーンを分けた。折り紙は、親子のスキンシップを促す効果もある。玉入れをイメージした作品は、患者から大量に提供された桃色と白色の古紙と古新聞を活用。

 このほか、薬局の外で待ち時間を自由に過ごせる点に、患者のニーズを見いだしている薬局もある(別掲記事)。

「待合で待ちたくない」ニーズに応えるドライブスルー薬局

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 「患者の利便性を追求したら、ドライブスルーという形態に行き着いた」。こう話すのは、タカサ(本社:千葉県市原市)薬局事業部部長の伊藤博文氏。悪天候の日に車から出たくない、寝ている子どもを起こしたくない、外来化学療法を受けた後で歩きたくない、感染症が気になるなど、待合室で待ちたくない患者には様々な事情があるという。

 同社はドライブスルー薬局の1号店を2006年12月に千葉県八千代市に、2号店を07年12月に千葉市中央区に開局した。2号店の薬局タカサドライブスルー仁戸名店(写真)は、千葉県がんセンターのある大網街道沿いに位置する。「がんセンターの近隣だが集中率は約4割。少し離れた医療機関からの処方箋も多い」と、エリアを統括する薬局タカサ青葉の森店(千葉市中央区)管理薬剤師の宇野薫氏は話す。

私の薬局ではこうしています!
その1  患者を飽きさせない裏ワザ

患者の興味をくすぐるインテリアを充実 /アクア薬局花棚店(鹿児島市)

待合には漫画やカメラ、陶芸作品、観葉植物など、幅広いアイテムを置く。「地域に根差した薬局として、患者と仲良くする対策に力を入れている」と管理薬剤師の原崎大作氏は話す。

高齢者にも好評の「折り紙」 /フタツカ薬局志方店(兵庫県加古川市)

「日ごろからやっている」「孫に教えたい」と高齢者に好評の折り紙。膝の上で折りやすいようにクリップボードも用意。

季節に応じた飾り付けと風船プレゼント /やまぐち薬局関城店(茨城県筑西市)

季節に応じて薬局内を飾る(写真は9月上旬)。写真右のバルーンアートは小児患者にプレゼントしている。

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