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設備と人員の基準は適正か? 日薬は見直しを求めるべし
日経DI2013年10月号

2013/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年10月号 No.192

 薬局には、理屈に合わない制度がある。薬局等構造設備規則と人員配置基準がそれで、薬局を開設、営業する際には、これらが定める基準をクリアしなければならない。

 このうち、薬局等構造設備規則の中に、「次に掲げる調剤に必要な設備及び器具を備えていること」という項目がある。そのまま抜き出すと、(イ)液量器(20cc及び200ccのもの)(ロ)温度計(100度)(ハ)水浴(ニ)調剤台(ホ)軟膏板(へ)乳鉢(散剤用のもの)及び乳棒(ト)はかり(感量10mgのもの及び感量100mgのもの)(チ)ビーカー(リ)ふるい器(ヌ)へら(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)(ル)メスピペツト及びピペツト台(ヲ)メスフラスコ及びメスシリンダー(ワ)薬匙(金属製のもの及び角製又はこれに類するもの)(カ)ロート及びロート台(ヨ)調剤に必要な書籍─と、実にこれだけの物をそろえなければならない。書籍を含めて全て買えば5万~10万円と、馬鹿にならない金額である。

 しかし、薬局薬剤師として長く働いているが、これらの中には調剤に必要だったためしがないものがちらほらある。理科室じゃあるまいし、実験器具めいた物が必要だろうか。特にピペット台は置物としてもかさばって仕方ない。必要ない物をわざわざ買って、置いておかなければならないのだろうか。

 そもそも、全ての薬局がこれらをきちんと店舗に備えているか、怪しいものだ。チェーン展開している薬局などは、複数の店舗で1セットだけ購入しておいて、保健所の立ち入り検査の時だけ使い回しているところもあるのではないか。開設や更新時の立ち入り検査は、保健所と薬局で事前に日取りを決めるので、それで済んでしまうのである。

 一日平均取扱処方箋数40枚につき1人という薬局薬剤師の人員配置基準にも疑問がある(眼科・耳鼻咽喉科・歯科は2/3として計上)。さすがに薬剤師が1人もいないのは言語道断だが、調剤機器も進歩し、今後はロボットの導入などで薬剤師の仕事はより少ない人員で回せるようになっていくだろう。

 理屈としても、40枚に1人というのは根拠に欠ける。例えば病院薬剤師の配置基準は、外来患者なら院内処方箋75枚に1人、入院なら患者70人に1人(精神病床・療養病床は150人に1人)だ。病院薬剤師の方が薬局薬剤師より仕事が楽ということはあるまい。もちろん、処方箋30枚に1人でもきついという薬局もあるだろうが、設備や条件などによっては、50枚に1人でも何とかなるという薬局だってあるのではないか。

 実は薬局等構造設備規則も人員配置基準も、厳密に言えば薬事法や薬剤師法そのものに記載されたものではない。前回の東京オリンピックが開催された昭和30年代に厚生省(当時)の省令で定められたものだ。60年以上もたつのだから、そろそろこれらの省令を見直してもいいように思う。

 薬局を取り巻く環境は年々厳しさを増している。無駄な物は買うどころか置く余裕すらないし、処方箋単価が上がらずに人員配置基準が昔のままなら、どんなに作業効率を高めても人件費がかさんで薬剤師の平均年収は上がらない。これら省令は、業界側が声を上げなければ、今後もずっとこのままだろう。そして声を上げるのは、本来、日本薬剤師会の役目でなかったか。

 日薬が、理屈に合わない制度をいつまでもこのままで善しとするような、旧態依然とした組織ではないと、筆者は期待している (みち)

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