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医師が語る 処方箋の裏側
片頭痛歴があるめまい患者にデパケンRとリボトリール
日経DI2013年10月号

2013/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年10月号 No.192

 

五島 史行氏
Goto Fumiyuki
国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科医員。1994年慶應義塾大学医学部卒業。日野市立病院耳鼻咽喉科部長を経て、2012年から現職。リハビリテーションによるめまい治療のほか、耳鼻咽喉科領域における心身医学の発展にも力を注いでいる。

 「めまいがひどくて、色々な病院で検査や治療を受けたのですが、一向に良くなりません」。ある日、私が担当するめまい外来を訪れた成田明美さん(仮名、48歳)は、疲れ切った顔でこう訴えた。

 立っていられないほどの回転性めまいが週3~4回起こり、怖くて外出もできないとのこと。さらに詳しく聞くと、めまいはしばしば頭痛と同時に起こり、若い頃は数カ月に一度の片頭痛発作に悩まされていたという。

 私はこのエピソードから、「片頭痛関連めまい」であると考えた。めまいは片頭痛の随伴症状の一つだが、症状が別々に表れるケースも多い。中には、出産や閉経に伴い片頭痛発作は起こらなくなったものの、中高年以降にめまいを単独で発症する患者もいる。さらに近年、緊張型頭痛の患者も高率でめまいを有することが分かってきている。

 だが、このようなめまいと頭痛の関連性について、医師の認知度は低いのが現状だ。めまいを診る耳鼻咽喉科医が頭痛という訴えに耳を傾けないために、患者は病院を転々とする羽目になる。

 慢性期の片頭痛関連めまいの治療においては、主訴のめまいの治療だけでなく、頭痛への対処が必要だ。また、不安障害を併発していることも多く、めまいの予後不良の一因となっている。私がよく処方するのは、デパケンR(一般名バルプロ酸ナトリウム)とベンゾジアゼピン系薬のリボトリール(クロナゼパム)。デパケンRは片頭痛予防に保険適用がある。リボトリールは日本では不安障害への適応はないが、強い抗不安作用と筋弛緩作用を持ち、緊張型頭痛の合併例にも有効だ。また、成田さんは長らくめまいの原因が不明だったことで軽度のうつを来していたため、抗うつ薬のジェイゾロフト(塩酸セルトラリン)も追加した。

 開始から2週間後、成田さんのめまいの頻度は週1回まで減少。日常生活に支障を来さない程度まで改善したら、順次、薬を中止していく予定だ。(談)

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