DI Onlineのロゴ画像

薬局なんでも相談室1
相談室1:マダニ感染症を防御する方法とは
日経DI2013年10月号

2013/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年10月号 No.192

 ご存じの通り、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が日本でも発生しています。2013年1月に国内で初めて確認され(12年秋に死亡)、8月26日時点では28人の感染が分かりました。

 一般に、SFTSウイルスを保有するマダニに刺されることで感染し、6日から2週間程度の潜伏期間を経て発症するといわれています。食欲低下や吐き気・嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状と発熱が特徴です。そのほかに、頭痛や筋肉痛、神経症状(意識障害、痙攣、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)などが出現することがあります。現時点での死亡率は10~30%程度と考えられていますが、SFTSウイルスに対して有効なワクチンはなく、発症した場合は対症療法となります。

 国内では、フタトゲチマダニやヒゲナガマダニなどの一部のマダニ種からSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。感染は、マダニが活発に活動する春から秋にかけて見られ、特に10~11月に多いようです。

 現在、九州・四国・中国・近畿地方の13県で感染者が認められています。ただし、感染者がいないからといって、SFTSウイルスを保有するマダニがいないとは限りません。

作業後は全身を確認

 マダニによって媒介される感染症はSFTSだけではありません。日本では日本紅斑熱やライム病などのほか、ダニ類の一種であるツツガムシによって媒介されるツツガムシ病がよく知られています。

 草むらややぶなど、マダニが多く生息する場所に入る時には、肌の露出を少なくするのがよいでしょう。長袖・長ズボン、靴下、足を完全に覆う靴(長靴など)、手袋、帽子が必須です。マダニが入り込まないように、上着の裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れます。加えて、襟元にはタオルを巻くことも大切です。

 衣服は付着したマダニを発見しやすい明るい色、マダニが付着しにくい表面がツルツルとした化繊のものがお薦めです。また、マダニは蚊と同様に、体表から発散される二酸化炭素に誘引されるため、防御した衣服の上から吹き付けられる、ディートを含む虫除け(忌避剤)が補助的な効果を発揮するといわれています。

 山仕事が終わったら、入浴をしてマダニに刺されていないかを確認することも重要です。マダニは、脇の下や脚の付け根、膝の裏側、毛髪の中、耳の穴など、皮膚が柔らかく見つかりにくい部位を好むようです。もし吸血中のマダニを見つけた場合は、無理に引き剥がそうとせず、皮膚科で処置してもらう必要があります。マダニの体の一部が皮膚に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてより多くの病原体が体内に入ってしまう恐れがあるためです。

 また、マダニに刺されたことを相談された場合には、数週間は体調の変化に注意するようにし、医療機関を受診する際にはマダニに刺されたことを話すよう説明してください。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ