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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)国内未承認の抗肥満薬について聞かれたら
日経DI2013年10月号

2013/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年10月号 No.192

出題と解答 : 川原弘明
(株式会社コム・メディカル[新潟県三条市])

A1

(1)胃腸管のリパーゼを阻害し、脂肪の吸収を抑えて体重を減少させる。

A2

(1)ワンアルファ(一般名アルファカルシドール)、
(2)チラーヂンS(レボチロキシンナトリウム)

 Cさんが服用を薦められたOrlistat(米国の商品名XENICAL)は、胃や小腸の内腔における胃および膵リパーゼのセリン残基に結合し、リパーゼ活性を阻害する抗肥満薬である。食物中の脂肪が腸管から吸収されるのを抑えて、体重を減少させると考えられている。

 本剤は体内にはほとんど吸収されないため、中枢に移行して作用する抗肥満薬よりも安全性が高いとされている。ただし、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、Kなどの吸収も妨げるため、これらのビタミンはサプリメントなどで摂取することが推奨される。また、主な副作用として、分解されない脂肪による下痢が問題となる。

 米国では、BMIが30以上の肥満患者、もしくはBMIが27以上で高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患がある患者を対象に1999年4月に承認された。日本では未発売のため、個人輸入で使用されているのが現状である。ただし、Orlistatと同様にリパーゼ阻害の作用機序を持つセチリスタット(オブリーン)が2013年9月20日、日本で製造販売承認を取得した。

 かつて、抗肥満薬としてわが国で開発された薬剤に、シブトラミンがある。同薬は、前シナプスにおけるモノアミントランスポーターを阻害し、食欲を抑えて体重を減少させるとされていた。しかし、心血管疾患の副作用により欧米で発売中止となり、わが国での開発も中止された。

 5-HT2CアゴニストのLorcaserin(米国での商品名BELVIQ)は、13年6月に米国で発売された抗肥満薬だが、日本での開発は現時点で行われていない。

 今回のように、米国の医療用医薬品に関して質問を受けたら、米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイト「Drugs@FDA」を確認するとよい。同サイトによると、Orlistatと併用注意の薬剤には、免疫抑制剤のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル他)、抗凝固薬のワルファリンカリウム(ワーファリン他)、甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンナトリウム(チラーヂンS他)、脂溶性ビタミンなどがある。

 特にCさんが服用中のレボチロキシンは、Orlistatと併用する場合、4時間空けて服用するように書かれている。また、脂溶性ビタミンはOrlistatの服用前後から2時間以上空けることとされている。そのため、ビタミンD誘導体であるアルファカルシドール(ワンアルファ)も同様に注意すべきと考えられる。

 ただし、Drugs@FDAのデータは海外のものであり、日本人に当てはまるとは限らないことに注意が必要である。

 なお、日本肥満学会では12年から、肥満治療のサポートを行う、生活習慣病改善指導士の認定制度を設置している。学会主催のセミナー受講や実務経験が必要だが、薬剤師も申請できる。

 本ケースのような未承認薬による治療は、患者と医療機関の契約に基づき、医師の責任の下で行われる。そのため、服用中の薬剤との相互作用に関する疑問は、服用を指示した医師に相談するよう勧めることが重要である。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Cさんが購入されたゼニカルは、日本では認可されていませんが、米国では1999年に認可されています。ゼニカルの説明書は海外のウェブサイトで見ることができるので、確認したところ、チラーヂンやワンアルファと一緒に飲むと効果が下がってしまうようです。チラーヂンは4時間、ワンアルファは2時間、ゼニカルの服用から空けて服用するよう書かれており、朝食後に一緒に飲むのはあまりよくないかもしれません。

 日本で認可されていないお薬は、医師の責任で処方されています。今調べました情報をお薬手帳に書いておきますので、肥満治療のクリニックの先生に見せて相談された方がよいと思います。

参考文献
1)XENICAL PRESCRIBING INFORMATION
2)診断と治療2012;100:1875-9.

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