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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)乳児へのマグミット錠の飲ませ方
日経DI2013年10月号

2013/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年10月号 No.192

出題と解答 : 伊藤 雅之
(コスモファーマ東京[福島県郡山市])

A1

一般に酸化マグネシウム末は、粒子径が大きく水に難溶性のため、水で練って口腔内に塗り付けることは難しい。しかし、マグミット錠は粒子径が小さく水で容易に崩壊するため、少量の水で練るとペースト状になり、口腔内に塗り付けることが可能であるから。

 酸化マグネシウム(商品名マグミット、マグラックス他)は、緩下剤・制酸剤としての安全性と有効性が確立しており、妊婦や授乳婦も含め、乳幼児から高齢者まで広く使用されている。剤形としては重質酸化マグネシウム末(5.0gの容積が30mL以下)が主流であるが、水に難溶性で平均粒子径が大きいため、服用時に口腔内にざらつきを感じやすく、服薬コンプライアンス低下の一因となっている。

 一般に、ざらつき感は平均粒子径、溶液濃度、および分散媒に依存するといわれており、経管投与の可否が一つの目安となると考えられる。例えば酸化マグネシウム原末「マルイシ」は水に分散しにくく、8Frチューブ(直径約2.67mm)での閉塞が確認されているため、経管投与が不適とされている。ただし、酸化マグネシウム製剤の平均粒子径は製品によって様々であり、微粒子化した粉末状製剤などの場合は経管投与が可能とされている。

 さて、離乳中期以前の乳児への散剤の飲ませ方としては、(1)少量の水で練って団子状にし、患児の口腔内に塗り付けた後、水やミルクを飲ませる、(2)水に溶いてスポイトなどを使って服用させる―といった方法が一般的である。

 しかし、水に難溶性で粒子径が大きい重質酸化マグネシウム末の場合、少量の水で練って団子状にし、口腔内に塗り付けることは難しい。また、懸濁して与えた場合も、口腔内にざらつき感が残る懸念がある。小児や乳幼児が服薬を嫌がる主な理由には、味や臭い、量の多さなどがあり、食感もその一つである。ざらつき感は、多量の水で服用することで軽減できるが、Sちゃんのような乳児においては容易ではない。

 そこで考えられるのが、粒子径の小さい酸化マグネシウム製剤を使用する方法である。今回、Sちゃんに処方されたマグミット錠は、水を加えると10秒前後で崩壊する上、崩壊後の平均粒子径は56μmと酸化マグネシウムの中では小さい。錠剤を小皿などに乗せ、少量の水と混ぜるとペースト状になるため、指ですくって患児の口腔内(上顎や頬)に塗り付けることができる。医師はそれを見込んで、錠剤の酸化マグネシウムを処方したと考えられる。また、同成分のマグラックス錠では、崩壊後の粒子径は42μmとされている。

 なお、軽質酸化マグネシウム末(5.0gの容積が30mL以上)を用いるのも一手だが、微粉末であるため秤量や分包の際に飛散したり、器具に付着したりすることもあり、調剤時には注意を要する。

 酸化マグネシウム自体は、臭いや味も強くはないが、アルカリ性のため若干の苦みを感じる人もいる。乳幼児がその苦みを嫌がる場合は、微粒子化した酸化マグネシウムを添加剤などでコーティングした細粒剤(マグミット細粒83%他)を用いる方法も考えられる。細粒剤はかさがやや増えるものの、甘味料を添加している製品もあるので活用されたい。

 そのほか、ざらつき感をカバーするために、服薬補助ゼリーで散剤を包み込むようにして飲ませる方法も考えられる。ただし、離乳中期以前の乳児の場合、ゼリーを喉に詰まらせる恐れがあるため、離乳食の進行度合いと嚥下能力を確認してから薦めるようにしたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 何日もうんちが出なくて、お母様はご心配だったでしょうね。今日出されたお薬は酸化マグネシウムという成分で、古くから下剤として使われています。粉のタイプもありますが、水に溶けず、しかも粒が大きいので、水で練ってもお団子状になりません。口の中がざらつく感じを嫌がるお子さんもいらっしゃいます。

 こちらのマグミット錠は、酸化マグネシウムの粒を細かくして錠剤の形に固めたものです。そのままスプーンに乗せ、水を少しずつ加えると10秒ほどで滑らかなペースト状になります。それを指ですくってSちゃんの口の中に塗り、おっぱいを飲ませてください。それでも多少のざらつき感はあるので、もしどうしても嫌がって飲まないようでしたら、ご相談ください。

参考文献
1)内服薬経管投与ハンドブック第2版(じほう、2006年)

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