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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)スタチン系薬を変更したC型肝炎患者
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

出題と解答 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(1)テラビック(一般名テラプレビル)、(4)レベトール(リバビリン)

A1

テラプレビルとアトルバスタチンカルシウム(商品名リピトール他)は併用が禁忌であるため。両者を併用すると、アトルバスタチンの代謝が阻害されて血中濃度が高くなる。

 現在、C型肝炎の治療法は、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)を体内から排除して完治を目指す抗ウイルス療法が中心となっている。

 日本人のC型肝炎の約7割はウイルスの力が強いセログループ1型で、しかも高ウイルス量の、治りにくいタイプが多い。こうした1型かつ高ウイルス量のタイプには、抗ウイルス療法としてペグインターフェロンαとリバビリン(商品名コペガス、レベトール他)の2剤併用療法が広く行われてきた。この2剤併用療法のHCV RNA持続ウイルス陰性化(SVR)率は約50%である。

 一方、今度Eさんが受ける「インターフェロンに2種類のC型肝炎治療薬を組み合わせた治療」は、ペグインターフェロンα-2b(ペグイントロン)とリバビリンに、テラプレビル(テラビック)を加えた3剤併用療法を指すと考えられる。2011年11月に発売されたテラプレビルは、HCVの複製に必要な酵素であるNS3-4A-セリンプロテアーゼを選択的に阻害するプロテアーゼ阻害薬である。この3剤併用療法により、1型・高ウイルス量の症例におけるSVR率は大幅に向上した。

 国内の臨床試験によると、投与終了24週後のSVR率は、2剤併用群が49.2%(31/63例)だったのに対して、3剤併用群は73.0%(92/126例)と有意に高かった。この試験の対象は、過去にインターフェロン治療を受けたことのない、1型・高ウイルス量のC型肝炎患者189例。試験では、2剤併用群にはペグインターフェロンα-2bとリバビリンを48週間投与し、3剤併用群にはペグインターフェロンα-2bとリバビリン、テラプレビルを計24週間投与した。なお3剤併用群では、ぺグインターフェロンα-2b、リバビリン、テラプレビルの3剤を12週間投与し、その後はペグインターフェロンα-2bとリバビリンを12週間併用した。

 このデータからも3剤併用療法は、1型・高ウイルス量のC型肝炎に高い有効性が期待できる治療法であることが分かる。ただし、3剤併用療法では、2剤併用療法よりも副作用が増加する。特に皮膚病変や貧血は頻度が高く、重篤なケースも含むため、実際にはリスクとベネフィットを勘案しながら治療が行われる。

 3剤併用療法に使用するテラプレビルは、肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4/5を強力に阻害するため、相互作用にも注意が必要である。テラプレビルを併用すると、CYP3A4/5で代謝される薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、テラプレビル自体はCYP3A4によって代謝されるため、CYP3A4を誘導する薬剤を併用するとテラプレビルの血中濃度が低下する可能性がある。

 Eさんにこれまで使用されていたアトルバスタチンカルシウム(リピトール他)は、テラプレビルとの併用禁忌薬の一つである。テラプレビルのCYP3A4/5阻害作用により、アトルバスタチンの代謝が阻害され、血中濃度が上昇して副作用を起こすリスクが高いためである。それで医師は、アトルバスタチンの処方を中止し、主としてCYP2C9で代謝されるフルバスタチンナトリウム(ローコール他)を代わりに処方したものと考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:山田 歩

 C型肝炎の治療を始めることになったのですね。インターフェロンに2種類の薬を使った最新の治療ということは、新薬のテラビックというお薬をお使いになると思います。テラビックは、C型肝炎の治療ではとても高い効果を持っています。ただ、飲み合わせには注意が必要なお薬が幾つかあることも知られています。

 Eさんがこれまでお飲みになっていたリピトールをテラビックと一緒に使うと、リピトールの効きが強くなり過ぎて、副作用が出やすくなることが分かっています。ですので、先生はリピトールを中止して、飲み合わせに問題のないローコールに変更したのだと思います。

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