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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)フォルテオの代替薬として適切な薬とは
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

出題と解答 安 武夫
(東京大学医科学研究所附属病院薬剤部)

A1

テリパラチド酢酸塩(商品名テリボン)、デノスマブ(プラリア)

 Qさんのような全身性エリテマトーデス(SLE)患者には、しばしばテリパラチド(商品名フォルテオ)などの骨粗鬆症治療薬が処方される。これは、SLEの治療のためステロイドを長期にわたり内服することが多く、ステロイド性骨粗鬆症を高率で合併するためである。

 日本骨粗鬆症学会などがまとめた「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」では、ステロイド性骨粗鬆症に対してビスホスホネート(BP)製剤が主たる治療薬であることが記されている。しかし、破骨細胞に作用して骨吸収を抑制するBP製剤は、ステロイド性骨粗鬆症による骨折リスクを低下させるものの、閉経後骨粗鬆症に対する場合と比較すると、その効果は低い。理由は、両者の病態が異なるためである。

 閉経後骨粗鬆症の病態は骨破壊の亢進であり、骨吸収が促進して骨密度が低下する。一方、ステロイド性骨粗鬆症の病態は骨細胞の壊死で、それにより骨形成が大きく抑制され、骨質や骨強度の低下が出現する。このため、一般に閉経後骨粗鬆症よりも骨折のリスクは高い。

 Qさんが使用しているテリパラチドの皮下注用製剤(商品名フォルテオ)は、遺伝子組み換え副甲状腺ホルモン製剤であり、骨芽細胞に作用して骨形成を促進する。適応症は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」である。テリパラチドはステロイド性骨粗鬆症の治療において、BP製剤のアレンドロン酸ナトリウム(フォサマック、ボナロン他)よりも、腰椎および大腿骨で顕著に骨密度を増加させることが報告されている1)。

 Qさんには骨折の既往があるほか、高齢でもあり、骨折リスクが高いと想定される。医師がテリパラチドを処方している点からも、代替薬にはBP製剤よりも強力な薬剤が求められるといえる。

 Qさんには視力の低下に加えプレドニゾロン長期服用による易感染状態や耐糖能異常があると考えられ、仮にフォルテオを継続するとなれば、注射手技の誤りによる感染や注射の中断が懸念される。そこで、自己注射が認められておらず週1回の通院が必要だが、テリパラチド酢酸塩の皮下注用製剤(テリボン)への変更がまず候補に上がる。

 ただし、フォルテオからテリボンに切り替えた場合の安全性は確立されておらず、投与期間の上限は検討されていない。フォルテオの投与期間は24カ月だが、テリボンは72週間であり、切り替え後のテリボン投与期間の判断が難しい。

 次に、デノスマブの皮下注用製剤(プラリア)が選択肢になり得る。これもBP製剤より強い骨吸収抑制効果があり、医師による6カ月に1回の皮下注射で済む。ただしステロイド性骨粗鬆症への効果に関する報告は少ない。また、投与中の低カルシウム血症を予防・治療するために、沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウムの配合剤(デノタスチュアブル配合錠)の服用が必要となる点に注意が必要である。

 今回のようなケースでは、経口のBP製剤も選択肢に入る。テリパラチドやデノスマブに比べて効果は弱いと考えられるものの、Qさんの夫の入院中に限定した使用であれば、検討に値するだろう。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 骨折予防のお薬は、ご主人の入院中も必ず続けていただきたいのですが、フォルテオをご自分で打つのが難しければ、別のお薬に替える方がいいと思います。例えば、フォルテオと同じ成分で、1週間ごとに病院で注射するテリボンというお薬があります。毎週病院を受診するのが苦でなければ、この薬への変更が考えられます。

 また、病院で6カ月に1回注射するプラリアというお薬もあります。この薬を使うと、ビタミンDとカルシウムの錠剤を毎日飲む必要がありますが、注射回数は圧倒的に減ります。このほか、少し効果が弱いですがビスホスホネートという飲み薬にする手もあります。よろしければ、私の方から先生にお聞きしてみましょうか。

参考文献
1)N Eng J Med.2007;357:2028-9.

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