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患者指導ワンポイントレッスン
血糖自己測定の注意点
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

監修 大西 由希子氏
(朝日生命成人病研究所[東京都中央区]治験部長)

 日常生活における血糖の変動を把握する手段として、血糖自己測定(self monitoring of blood glucose:SMBG)が広く普及している。 

 糖尿病は自覚症状が出にくいため、血糖を測定し、その値の変動によって患者に病識を持たせることで、自己管理への意識を高めることができる。また、食事の量や内容、薬物療法の変更など、治療方針を見直す際の参考になるほか、低血糖や重症高血糖の回避、シックデイ(糖尿病患者が糖尿病以外の病気にかかった状態)への対処の目安にもなる。特に、インスリン自己注射を行っている患者、中でも持続皮下インスリン注入療法(CSII)を含めた強化インスリン療法を受けている場合は、インスリンの量を調節したり、低血糖を予知し早めに対処したりするために血糖自己測定は必須といえる。

測定前の手洗いを確実に

 近年、簡易型の血糖自己測定器の改良が進み、測定に必要な血液量は少なくなり、操作も簡単になっている。機種によって測定手技は多少異なるが、(1)手洗い、(2)穿刺器具を準備する、(3)測定器に測定試験紙をセットする、(4)穿刺部位を消毒して穿刺する、(5)血液を測定試験紙に吸引させる─のが一般的だ。

 測定前には、手洗いを忘れないように指導する。食事の準備あるいは食事中に、手指に糖分が付着していることがあり、測定値に影響する可能性があるためだ。また、穿刺部位を消毒した後、消毒液をしっかり蒸発させる。

 採血部位は指先が多いが、指先の皮膚が固くなってしまった患者や、指先を使う職業の患者など、指先の穿刺を避けたい場合は、手のひらなどでも可能だ。穿刺する際は、テーブルの上などに採血する方の手を置き、動かないようにすると、確実に穿刺できる。なお、同じ部位に穿刺し続けていると、皮下にしこりができることがあるので、採血する部位は毎回変えるように指導する。

 測定値は必ずノートなどに記録して、受診の際に持参するよう指導してほしい。値がいつもと違う場合は、考えられる原因(食事の量や時間、体調など)も書いておくとよいだろう。

 採血針は血液を介した感染症の原因となる可能性があるため、個人使用に限り、家族などで使い回さないよう指導する。また、使用後の採血針は医療廃棄物であるため、通常のゴミとは別にして、医療機関や薬局に持参して処分することも確認しておく必要がある。

測定は主治医の指示通りに

 血糖測定のタイミングには、起床時(朝食前)・朝食後、昼食前・後、夕食前・後、就寝前・深夜などがある。どの時間帯に、どれくらいの頻度で測るかは、患者によって様々である。

 例えば、インスリン導入時には、血糖自己測定のデータを参考に投与量を調整するため、回数を増やすことが多い。また最近では、食後1時間の血糖値を下げることが重要と考え、より厳密に食後血糖をモニタリングする医師もいる。測定の目的によって、時間帯、頻度が異なることに留意してほしい。

 また、コストも重要な要素である。インスリンやグルカゴン様ペプチド(GLP)1製剤の自己注射を行っている場合には血糖自己測定も保険診療の適応になるが、回数に制限がある。一方、自己注射を行っていない場合は自己負担となるため、測定回数は最小限にとどめるように配慮している。

 医師はこれらを考慮して、測定の時間帯や頻度を決定しているので、患者には医師の指示通りに測定するよう、薬局でも指導してほしい。

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