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いまさら聞けない栄養の話
じっと寝ているだけでも基礎代謝量は消費する
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

太田 篤胤 Atsutane Ohta
城西国際大学薬学部教授
東京農工大学卒業。テルモ、明治製菓を経て、2004年から現職。「オリゴ糖のミネラル吸収促進作用」の研究で、トクホを商品化した経歴を持つ。趣味はフルマラソン。

 マイカー通勤で、仕事はデスクワーク中心といった、運動と縁遠い生活を送っていても、1日にハンバーガー5個くらい(約1500kcal)は食べても太らない。実は、5個のうち約4個分のエネルギーは、生命を維持するためだけに使われている。つまり、1日中寝ていたとしても、このくらいのエネルギー量は必要だ。高齢者では特にこの事実を意識し、低栄養にならないよう注意することがとても大切だ。

基準値×体重=基礎代謝量
 生命を維持するためだけに使われているエネルギー量のことを基礎代謝量(basal energy expenditure:BEE)と呼ぶ。BEEの大部分を占めているのは体温維持に必要なエネルギーなので、BEEは体温が放散する体表面積に比例する。この原理に基づいて、性別、年齢階層別に基礎代謝基準値(表1)が示されており、これに体重(kg)を掛ければBEEが計算できる。

 体重50kgの40歳女性の場合、基礎代謝基準値は21.7kcal/kg体重・日なので、BEEは21.7×50=1085kcal/日となる。これは横たわっている状態で消費するエネルギー量で、体を起こして椅子に座った状態になると、消費量が約10%増加する。

 さらに、実は、食事をすることでもエネルギーの消費量は増える。消化、吸収した栄養素を体が利用する際にエネルギーが消費され、熱が発生するのだ。これを食事誘発性熱産生(diet induced thermogenesis:DIT)または特異動的作用(specific dynamic action:SDA)と呼び、BEEの約10%に相当する。BEEにこれらの消費量を加えた値を、安静時代謝量(resting energy expenditure:REE)と呼ぶ。REEはBEEの1.2倍になる。先の女性の例だと、1085kcal×1.2=1302kcal/日だ。

表1 基礎代謝基準値

「日本人の食事摂取基準(2010 年版)」より

運動での消費量は少ない
 1日のエネルギー消費量は、安静時代謝量に体を動かして消費したエネルギーを加えた量となる。前述の、体重50kgの40歳女性の場合、大雑把な計算方法で求めた1日のエネルギー消費量(1500kcal)と上記の安静時代謝量(1302kcal)との差は約200kcal。いくら運動と縁遠いといっても、オフィス内を歩いたり、ランチに出かけたりしているのに、体を動かして消費するエネルギー量はハンバーガー1個分より少ないことが分かる。こんなに少し、と思われるかもしれないが、これでも、1日のエネルギー消費量は4km歩いたと仮定して計算されているのだ。

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