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OTCトレンドウォッチ
総合感冒薬
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

林 芳行
Yoshiyuki Hayasi
株式会社インテージヘルスケア事業本部 SDIインデックスマネージャー
同社のSDI(全国一般用医薬品パネル調査)をはじめとした、OTC薬の市場動向について分析している。市場調査・マーケティングリサーチのパイオニアであるインテージで、OTC薬を含むヘルスケアを担当。
SDI(全国一般用医薬品パネル調査):
全国3211店の薬局・店舗販売業、ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンターを対象に、OTC薬をはじめとしたヘルスケア関連のPOSデータを収集し、情報提供するインテージのサービス。

三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長、薬剤師
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、一般用医薬品に関する寄稿や講師の活動も行う。

 一般用医薬品(OTC薬)の総合感冒薬の最近5年間の年間販売額(図1)は、あまり大きく動いていないが、減少傾向にある。

 なぜ減少傾向になっているのかは明確になっていない。ちなみに09年度から11年度の3年間で医療機関を受診した感冒患者の割合は微増しており(注)、かぜを引く患者自体が減っているからではなさそうだ。

 あくまでも推測だが、OTCの感冒薬の市場規模が縮小している要因の1つとして、OTC薬を購入して様子を見るのではなく、直接医療機関を受診する患者が多かったことが考えられる。

 また、ここ数年、マスクの市場規模が拡大していることから、予防に対する意識が高まった結果、軽症のかぜの患者は減っているのかもしれない。

 月別の販売額は、10月から伸び始め、12月ごろにピークを迎える(図2)。

 感冒薬は、常備薬として錠数の多い製品や症状別を売りにした製品へのニーズが高い。最近ではイブプロフェンを配合した製品が多く発売され、市場の3割程度ではあるが、販売額を伸ばしている。(林)

(注)編集部が健康保険組合連合会に取材したところ、全加入者に対する「急性鼻咽頭炎[かぜ]〈感冒〉」(入院外)の受診者の割合は、09年度は3.68%、10年度は3.69%、11年度は3.81%と微増している。

図1 総合感冒薬の販売額と前年比(SDIによる)

図2 2012年度の総合感冒薬の月別販売額(SDIによる)

 総合感冒薬には、解熱鎮痛成分、去痰成分、鎮咳成分、抗ヒスタミン成分、ビタミンなど複数の成分が配合されている。最近は、即効性のある解熱鎮痛成分のイブプロフェンを配合したタイプが主流となっている。

 イブプロフェンは15歳未満の小児は服用できないため、早く治したい成人の患者向きの製品といえる。

 中でもパブロンエースAX錠(大正製薬)は、イブプロフェンが1日量(3錠)で150mg配合されているほか、咳の原因となる痰を出しやすくするアンブロキソール塩酸塩が含まれているのが特徴である。ビタミン類(B1硝酸塩、B2、C)も配合されている。

 小児も服用でき、常備薬として購入したいという患者には、同じシリーズで消炎鎮痛成分がアセトアミノフェンであるパブロンSゴールド錠を薦めるとよい。5歳から服用でき、包装単位には45錠、60錠、90錠がある。

 同薬には、アセトアミノフェンが1日量(3錠)で300mg配合されている。鼻の炎症を抑えるリゾチーム塩酸塩も配合されているので、鶏卵アレルギーの患者は禁忌である。また、くしゃみや鼻づまりに対する抗ヒスタミン成分のマレイン酸カルビノキサンは、抗コリン作用が少ないといわれているが、排尿困難や甲状腺機能障害、緑内障などの既往歴を販売時に確認する。効果が持続するのは3~4時間なので、軽度な排尿困難があったり、緑内障の治療を受けている患者が服用しても影響は少ない。影響があっても、薬剤の代謝・排泄と共に戻るといわれる。そのほか、便秘や口渇、眠気にも注意するように促す。

かぜの主症状に合わせて選ぶ
 喉の痛み、鼻水、発熱など、かぜの症状は様々である。そこで患者の主症状に合わせた処方の感冒薬が売れている。その代表がベンザブロックシリーズ(武田薬品工業)である。

 ベンザブロックには、L、IP、Sの3種類の製品がある。いずれにも鎮痛作用のある無水カフェインと咳を鎮めるジヒドロコデインリン酸塩が配合され、その他の処方が異なる。

 ベンザブロックLは、「喉の痛み・発熱」をターゲットにしている。イブプロフェンが1日量(6錠)で450mgと多く含まれ、鼻づまりに対して塩酸プソイドエフェドリンが配合されているのが特徴。パッケージはシルバー。

 青いパッケージのベンザブロックIPは、「発熱・さむけ・頭痛」の人向け。解熱鎮痛作用のイブプロフェンがLと同量配合されている。柑橘類などに含まれるビタミンPのヘスペリジンも含まれている。

 ベンザブロックSは、「鼻水・鼻づまり」の症状が強い患者に向いている。鼻水の分泌を抑えるヨウ化イソプロパミドと、抗ヒスタミン成分のdl-メチルエフェドリン塩酸塩が配合されている。解熱鎮痛成分はイブプロフェンでなくアセトアミノフェン(1日量[6錠]は900mg)が配合されているので、7歳から服用できる。

 これらのベンザブロックシリーズの3製品は、PTPシートに入った小型で細長いカプレットと、瓶入りの錠剤がある。

 総合感冒薬全般に言えることだが、服用上の注意点として、特に5日を超えて服用しないこと、いずれも5~6回服用しても症状が良くならない場合(特に熱が3日以上続いたり、熱が反復したりするとき)は、服用を中止して、受診するように伝える。(三上)

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