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CaseStudy
らいふ薬局佐賀県医療センター 好生館前店(佐賀市)
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

写真:諸石 信

 「薬局として成長したかったし、6年制教育を受けた薬剤師が挑戦する場を用意したかった」。九州、北陸などで25店舗の薬局を運営するナチュラルライフ(佐賀市)代表取締役の竹原稔氏は、らいふ薬局佐賀県医療センター好生館前店(以下、好生館前店)を開局した理由をこう話す。

「薬剤師としてのスキル向上はもちろん、地域、会社を愛せるスタッフの育成が、薬局の差異化の源泉」と語るナチュラルライフの竹原稔氏。

 好生館前店は、新築移転した佐賀県医療センター好生館(旧佐賀県立病院好生館)の開院に合わせて2013年5月に開局した。薬局の立地は、佐賀県医療センター好生館の正面玄関前だ(図1)。同センターが、貸付期間10年間の事業用定期借地方式により、保険薬局を開設する事業者を募集し、これに応募した中からナチュラルライフが選ばれた。貸付対象地の面積は約548m2、土地貸付料は近隣地域の土地価格などを反映した年間60万円という条件だ。

図1 らいふ薬局佐賀県医療センター好生館前店と佐賀県医療センター好生館の位置関係

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らいふ薬局佐賀県医療センター好生館前店は、新築移転した佐賀県医療センター好生館の院外薬局整備事業により、同院の玄関前に建設された。薬局入り口は公道に面しており、薬局専用の駐車場もある。

運営計画や地域貢献などで評価
 募集は、公募型プロポーザル方式(複数の者に企画を提案してもらい、その中から優れた提案を行った者を選定する方法)で行われた。応募資格は、佐賀県内で保険薬局を2年以上継続して開設していることなど。選定委員会が、経営計画、運営計画、地域貢献、取り組み意欲など7評価項目にわたって審査・評価した。

 「薬局に何ができるのか、薬局がこれから地域医療とどう向き合うのかを問われたのだと思う」(竹原氏)。同社は提案書に、(1)24時間365日開局する、(2)無菌調剤室を備え、地域の在宅医療を支える拠点薬局を目指す、(3)同センター薬剤部との薬薬連携を積極的に進める─などを盛り込んだ。

 建物は2階建てで、1階に調剤室(69m2)、待合スペース(123m2、受付など含む)のほか、感染防御の観点から、第2待合室(10m2)、病院に見舞いに訪れる人の子どもを一時預かるためのキッズルーム(9m2)を設けた。無菌調剤室(18m2)は2階に設置した(図2)。

 待合スペースは「癒しの空間を徹底的に追求した」(竹原氏)。正面壁の巨大なステンドグラスは、新病院のエントランスホールのステンドグラスも手掛けた著名な芸術家の三浦啓子氏の作品。大木の根元に動物や鳥たちが集っている様子が描かれている。

図2 好生館前店の屋内見取り図と設備 1階

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(1)全自動PTPシート払い出し装置「ROBO-PICK」(ユヤマ)を導入。
(2)竹原氏の肝煎りで作られた待合スペース正面のステンドグラス。作者の三浦啓子氏は日本ステンドグラス協会常任顧問理事を務め、東京国立博物館平成館、帝国ホテルなどのステンドグラスを手掛けている。
(3)(4)病院に見舞いに訪れる人の子どもを一時預かるキッズルームとそのトイレ。病院の面会時間に合わせて保育士免許を持った事務員を置く。
(5)癒しの空間を追求した待合スペース。投薬カウンターの上にもステンドグラスが飾られている。
(6)(7)感染防御の観点から第2待合室を設置、出入り口も分けた。

図2 好生館前店の屋内見取り図と設備 2階

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(8)同社2カ所目となる無菌調剤室。
(9)シャワー付き仮眠室。男女別に2部屋ある。

3交代で24時間開局
 ナチュラルライフの25薬局のうち、24時間365日開局するのは、この店舗が初めて。24時間開局するため、好生館前店では勤務時間を8~15時、15~20時、20時~翌8時の3つに分けている。最も患者が来局する8~15時の時間帯は8~10人、15~20時は3~5人の薬剤師が勤務する。20時~翌8時は1人(事務員も1~2人出勤)で業務をこなしているという。

 現在のところ、平日の処方箋応需枚数は150枚程度で、うち夜間(20時~翌8時)は2~15枚程度にとどまっている。「現段階では、経営的なことよりも、2枚しか処方箋を応需しないような日に、薬剤師や事務員が寝ぼけた顔で応対して『夜、薬局に行ったら、薬剤師のレベルが低かった』『雰囲気が良くなかった』と言われないようにすることが大事だ」と竹原氏は指摘、「地域住民に、年末年始やゴールデンウイークなども含め24時間処方箋を受け付ける薬局として認知してもらい、このエリアの“薬のとりで”になれればと考えている」と語る。

 特に深夜の開局には警備上も十分配慮し、防犯カメラや緊急通報装置などを設置したほか、ほぼ毎日、深夜に警察官に立ち寄ってもらっているという。現在、夜勤は男性薬剤師が担当しているが、「将来的に女性薬剤師が夜勤をすることになれば、警備員の配置も検討する予定」と同店管理薬剤師の百々史和氏は話す。

無菌調剤室や最新機器を完備
 同社が在宅医療に取り組み始めたのは6年ほど前。当初は老人保健施設などを対象とした、いわゆる“施設調剤”が中心だったが、「らいふ薬局だからできる在宅に取り組みたいと考えて仕切り直して、個人宅の在宅に軸足を移した」(竹原氏)。10年8月にらいふ薬局高木瀬店(佐賀市)に無菌調剤室を設置しており、好生館前店が2つ目になる。「好生館前店は24時間365日開局しているので、地域の在宅医療の拠点薬局としての機能を果たしたい」と百々氏は話す。

 このほか新店舗の調剤室には、全自動PTPシート払い出し装置、全自動錠剤分包機、ピッキングサポートシステム、電子天秤一体型調剤鑑査システムなど、最新の機器やシステムが導入されている。「調剤の効率化はもちろんだが、ヒューマンエラーを防いで安全性の確保にもつなげる」(百々氏)。

 「これからの薬局経営に必要なのは在宅医療だ、かかりつけ薬局の機能だなどといわれているが、一番重要なのは、薬剤師としての誇りと生きがいを忘れない人材を育てることだ。この新店舗を、10年先に通用する薬剤師を育て上げる場にしたい」と竹原氏は思いを込める。(佐原加奈子)

らいふ薬局佐賀県医療センター好生館前店のスタッフ。中央の男性が管理薬剤師の百々史和氏。ナチュラルライフの全薬局で日経DI製「薬剤師のための理想の白衣」を採用している。

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