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医師が語る 処方箋の裏側
管理不良の重症の成人喘息に
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

 「吸入薬も飲み薬も忘れず使っているのに、夜、息苦しくて眠れません」。こう話す吉村憲子さん(仮名、25歳)は、重症の気管支喘息患者。自宅近くの診療所に通院していたが、コントロール不良のため当院を紹介されて受診した。

 紹介時、吉村さんは、吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬(LABA)の配合剤であるアドエア(一般名フルチカゾンプロピオン酸エステル・サルメテロールキシナホ酸塩)と、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)のキプレス(モンテルカスト)、それにテオフィリン徐放性製剤のテオドールの3剤を使用。テオドールは400mg/日を、朝と夕方の2回に分けて使っていた。

 この処方は、日本アレルギー学会が作成する「喘息予防・管理ガイドライン(JGL)2012」の最も強い治療レベル(治療ステップ4)に相当するが、コントロール不良で、しばしば経口ステロイドを頓用していた。

 これより強い治療としては、経口ステロイドの常用か、抗IgE抗体のオマリズマブ(ゾレア)の追加となる。しかし私は、副作用の可能性や患者の経済的な負担を考え、その前に別の方法を選択することにした。

 その方法とは、テオドールの増量だ。通常は400mg/日までを使用するが、患者の状態によってさらに増量できる。

 同薬は、痙攣や消化管障害などの副作用が多いというイメージから、昔ほど使用されなくなっているが、少量から投与開始し、血中濃度を測りながら使用すれば、安全で有効な薬だ。薬価も安い。

 用量調整が行いやすいように100mg錠を選択し、患者の状態と血中濃度を見ながら徐々に増量し、700mg/日にした。服用方法は、血中濃度のピーク値が上がり過ぎないように分3にした。すると、夜間の発作回数が減り、十分な睡眠が取れるようになった。階段を上った際などに感じていた息苦しさもなくなった。今後は、状態を見ながら、テオドールを徐々に減量する予定だ。(談)

大田 健氏
Ohta Ken
国立病院機構東京病院院長。1975年東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院物療内科入局。米国コロラド大学医学部ナショナルジュイッシュ免疫呼吸器研究センター、東京大学医学部附属病院物療内科助手、帝京大学医学部内科学講座教授などを経て2012年から現職。

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