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日医の「厚かましさ」に学び 日薬もシンクタンクを持て
日経DI2013年9月号

2013/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年9月号 No.191

 日医総研という機関をご存じだろうか。正式名称は日本医師会総合政策研究機構で、その名の通り、日本医師会のシンクタンクとしての機能を持つ。言うまでもないが、シンクタンクというのは政策立案・政策提言を主たる業務とする研究機関のことだ。様々なシナリオを描き(think)、アイデアをストックする(tank)、政策頭脳集団と定義できるだろう。

 その日医総研が今年に入り、薬局や薬剤師に関するワーキングペーパーを公表している。ご存じの方も多いかもしれないが、5月の「医師と薬局および薬剤師の業務についての一考察─医薬分業・後発医薬品・スイッチOTC─」、そして7月の「院外処方の評価に関する研究─医薬分業元年から約40年を経た調剤報酬の妥当性についての考察─」などだ。いずれも、日医総研のホームページで全文が公表されているため、閲覧が可能である。

 内容に関して、ここで各論を詳細に取り上げることはしないが、調剤報酬・医薬分業の部分についてざっくりと要約すると「経済誘導政策によって医薬分業を行った結果、『調剤バブル』の状況が発生している。薬局、特にチェーン薬局はもうけ過ぎ。非営利が原則の医療に株式会社が入るのはとんでもない。今からでも医薬分業の是非について考え直すべき」といった内容だ。

 ワーキングペーパーの内容には同意すべき部分もある。分業率が70%に到達しそうな現状において、確かに、10年前と同じような報酬体系でいいのか、増え続ける調剤医療費をどうすべきなのかは考えなくてはならない。また、分業率の地域間格差が生じていることに関しても、その理由を明らかにし、今後の方向性を見据える必要がある。

 とはいえ、納得できない部分も多い。薬価差縮小に伴い、経済的理由で院内処方から院外処方に切り替えてきたのは、医師自身の選択であったはずだ。にもかかわらず、その矛先を薬局に向けて、「もうけているのはけしからん」とは、よく言えたものである。分業について考え直した結果、元の院内処方に戻すとでも言うのだろうか。

 こうしたアウトプットから見えるのは日医の「厚かましさ」である。「患者のため」「われわれは営利を目的にしていない」と臆面もなく言う傍ら、裏ではしっかりとそろばんを弾いている。

 ところで、医療費というのは際限なく湧き出てくるものではなく、総額が決められている。つまり、医科、歯科、調剤で限られたパイを分け合うのだが、いかに自分の取り分を多くするのかが、至上命題となる。こればかりはキレイ事では済まされない。

 日医がシンクタンクを持つ最大の理由はそこにある。ワーキングペーパーを公表し、様々な働きかけを行っていくことで、大きな見返りを期待しているのは、恐らく間違いないだろう。

 さて、われわれの日本薬剤師会はどうだろうか。ホームページを見ても、何をやっているのかさっぱり見えてこないと感じるのは、筆者だけではあるまい。日医総研のワーキングペーパーに対しても、何ら反論は聞こえてこない。

 日薬もシンクタンクを持つべきというのが、筆者の提言である。分業バッシングの中、日薬こそがその矢面に立ち、会員たる薬剤師を守るべきなのだ。「日薬総研」を設立し、世間に対して、分業の有用性、そして薬局の薬剤師が薬物療法に携わることの有効性をアピールしていくべきではないかと考えるが、いかがだろうか。(十日十月)

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