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特集:一包化調剤 お悩み相談室
患者応対編:一包化した後もきめ細かな配慮が重要に
日経DI2013年8月号

2013/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年8月号 No.190

Q.どんな患者にどう薦める?

 てらさわ薬局の寺澤雅治氏は、「患者から『薬の数が足りない。合わない』と言われた場合に、処方医に相談し、一包化を提案することが多い。また、処方箋を見て、医師が処方量を調整しているようだと気づいたら、飲み忘れの可能性を考えて提案する」と話す。

 患者への薦め方は様々だが、実際の分包紙を見せて、「1回に飲む分をまとめましょうか」と提案すると分かりやすい。その際、調剤には時間を要することも忘れずに伝える。

 1剤、1錠しか処方されていない場合、調剤報酬の一包化加算は算定できない(調剤報酬編参照)が、PTPシートが開けにくいようであれば、処方医に相談した上で、一包化するのも手だ。

 一方で、安易に一包化を薦めることに警鐘を鳴らす声もある。

 カロン薬局の田中直哉氏は、自分でPTPシートの服薬管理ができていた患者が、入院中に一包化されたのを機に、退院後に自分で管理できなくなった例を多く見てきた。「薬の管理が習慣化している患者では、状態を見守って必要なタイミングで提案することも重要」と話す。

 逆に、一包化するようになったものの、シートに戻してほしいと希望する患者もいる。「開封時に誤ってこぼしてしまっても、PTPシートだと1錠だけなので拾いやすい」「シートから薬を取り出して飲めなくなったという現実を認めたくない」─など理由は様々だ。一包化した後には、患者が薬を飲めているかはもちろん、患者が不便を感じていないか、丁寧に確認したい。

Q.飲み間違いを防ぐには?

 一包化した薬を患者が飲み間違えないようにするためのポイントは、分包紙に服用時点を明記すること。

 服用時点ごとに連なる連続(AA)分包の場合、服用時点ごとに赤、青、緑、ピンク、黄色など色分けしたカラーペンで線を引いている薬局は多い。薬袋にも同じ色で印を付けると分かりやすい(写真2)。

写真2 分包紙と薬袋に同じ色でマーク(富士見台調剤薬局)

患者が服用時点を識別できるように、分包紙と薬袋には同じ色のマーカーで印を付けて、交付する。富士見台調剤薬局では、朝食後はピンク、昼食後は緑、夕食後は青、就寝前は線なし(色なし)としている。

 ただし、「例えば白内障の患者では視界が黄色味がかった乳白色に見えがちになるので、薬袋の白色とペンの黄色が見分けにくい。患者から、自分が見やすい色のペンを使ってほしいと頼まれる場合もある」と風祭薬局の吉川氏は話す。

 目が不自由な患者には、介護者ともよく相談して、分包紙に点字シールを貼ったり、書いた文字の部分が突出するペンを使うなどの方法で、判別できるようにする。

 ただし、AA分包は、患者が服用したかどうかを忘れてしまったときに、幾つ残っているかを数えないと分からないというデメリットがある。そのため、服用したか忘れやすい患者には、反復(AB)分包を提案するとよいだろう。

 最近増えている施設向け調剤では、一包化を指示されることが多い。また、施設の介護スタッフが何人もの患者に薬を服用させることが少なくないので、スタッフが薬を取り違えないように配慮することが大切だ。

 みどり薬局千里中央店(大阪府豊中市)では、一包化の患者では、服用時点別にチャック付きのポリ袋に入れて交付している(Case5)。分包紙に服用時点を記載しているが、袋に服用時点ごとの色紙を入れているので、いつ飲む薬か一目で分かる。

 調剤時には100円ショップで買った仕切りでマスを作り、服用時点別に分包紙を並べてから、1つずつ袋に入れていく。同店店長の池内美佳氏は、「服用時点を間違えないように、鑑査する目的もある」と説明する。

 この袋には、下剤など別包で交付する薬も入れる。誤飲を防ぐためにホチキスやクリップで分包紙には留めないようにしている。

 1日分の薬剤は、輪ゴムでまとめるのが基本。同薬局では、ある施設向けに約180人の患者の調剤を行っているが、介護スタッフと相談して、薬剤を一番上から「昼食後、夕食後、就寝前、朝食後」といった順でまとめているという。

 外来の患者にも同様の対応をしており、袋は再利用している。

ブン吉 施設入所者への調剤は、人数も多いし、特に注意しないと。

はま子 分包紙に患者さんのお名前と部屋番号を入れることも多いわね。

ブン吉 目の不自由な患者さんの分包紙に点字を付けるのはいいアイデアですね。

はま子 でもね、点字を読める視覚障害者は意外に少ないともいわれているわ。患者さんや介護に当たっている人とよく相談して決めてね。

Q.分包紙の取り扱いの注意点は? 

 患者や大量の分包紙を扱う施設のスタッフは、連なった分包紙をまとめるために、輪ゴムを使うことがある。だが、分包紙は一般に、輪ゴムの締め付けに弱く、切れてしまいやすい。

 しかし、薬をそろえるのに輪ゴムは重宝する。そんなときの工夫として、てらさわ薬局では、短冊状の紙でいったん分包紙をくるみ、その上から輪ゴムを巻いて交付している。ただし、輪ゴムは位置がずれやすいので、セロハンテープで固定する(写真3)。「短冊や輪ゴムで巻いたまま、分包紙だけ1回分ずつ切り離せるので、取り扱いがしやすい」(寺澤氏)。

写真3 分包紙をまとめる際のコツ(てらさわ薬局)

分包紙は直接輪ゴムをかけると切れやすいため、短冊状の紙でくるんだ上に輪ゴムをかけ、さらにゴムがずれないようにテープで固定している。

 一方、富士見台調剤薬局の下平秀夫氏は、「患者が分包紙を開けやすいかどうか、どのように開けているかよく注意してほしい」と話す。

 一包化の分包紙には、透明のセロポリや半透明のグラシン紙などがある。セロポリは中に入っている薬が見えるので鑑査しやすく、患者も「何の薬を飲んでいるか」を認識しやすいという利点があり、広く普及している。

 一方、グラシン紙は内容が見えず、湿気を吸いやすいというデメリットはあるものの、「分包紙のどこからでも開けやすいので、グラシン紙を希望する患者もいる」(下平氏)。そこで、同薬局では、セロポリとグラシン紙どちらでも分包できるようにしている。

ブン吉 セロポリは高いんですよね。前の薬局長が、「またセロポリの値段が上がった」ってブツブツ言ってたのを思い出しました。

はま子 そうね。私が若かった頃はもっと安かったわよー(しみじみ)。

ブン吉 ところではま子先輩、一包化にかかるコストと点数が見合っているのか、ボクは前から気になっていたのですよ。あ、その前に、どんなときに一包化加算が取れるのか、ボク、ちゃんと答えられないかも……。

はま子 あら、もう5年目なのに! しょうがないわね。じゃあ、次は調剤報酬についておさらいしましょうか。

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