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DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)風疹にかかりやすい年代は
日経DI2013年8月号

2013/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年8月号 No.190

出題と解答 鈴木 光
(株式会社南山堂[東京都港区])

A1

(2)1978年度生まれ(35歳)の男性

A2

(1)風疹にかかったことがあるという記憶(風疹の既往歴)

 風疹は、風疹ウイルスの飛沫感染によって起こされる発熱や発疹、リンパ節腫脹(耳介後部、後頭部、頸部など)を特徴とするウイルス性疾患である。小児では3~4日で症状が軽快するが、成人では小児に比べ、罹患期間が長期化しやすく、関節炎を伴うことがある。

 治療は対症療法のみで、発熱や関節炎に解熱鎮痛薬が処方される。風疹の流行に伴う最大の問題は、風疹ウイルスへの抗体を持たない妊娠20週ごろまでの妊婦が感染すると、出生児に先天性心疾患や難聴、白内障などの障害を生じる先天性風疹症候群が出現し得ることである。これを防ぐには男女ともワクチンを接種し、風疹の流行拡大を抑制することが重要である。特に女性は、妊娠前に風疹の抗体価を調べ、確実に免疫を獲得しておかなければならない。

 風疹は従来、乳幼児や学童の罹患率が高い疾患だったが、近年、わが国では20歳以上で発症する人数が急増している。特に2013年は風疹患者数が急増しており、1月から7月17日までの累計報告数は1万2832人に上り、12年の年間累積報告数の5倍を超えている。報告された罹患者の9割が成人であり、男性は女性の3.3倍である。また、年代別に見ると、男性は20~40代(30代が最多)、女性は20代が多い。

 20~40代男性と20代女性に多いという今回の流行の特徴は、わが国がこれまでたどってきた予防接種制度の経緯で説明できる。患者数が多い年代は、中学生の女子だけが定期接種(集団接種)の対象であった年代(1962年4月2日~79年4月1日生まれ)や、風疹ワクチンが男女共に医療機関での個別接種になり接種率が激減した年代(79年4月2日~87年10月1日生まれ)と重なる。つまり、この年代は風疹の予防接種を1回も受けていない人が大勢いるのである。なお、現在は麻疹・風疹(MR)混合ワクチンが定期接種に導入され、男女とも1歳と小学校入学前1年間に計2回接種することになっている。

 現状で風疹から妊婦を守るためには、風疹の抗体価が十分でない年代の人が、積極的に予防接種を受けることが望ましい。妊婦と同居する夫や子どもなどと、10代後半~40代の女性(特に妊娠希望者)には強く接種が勧められる。なお、風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊婦は接種を受けることができない。

 ちなみに、風疹は予防接種を受けていたり、一度感染していれば再度罹患する可能性は低い。Aさんがかつて母親から聞いた「風疹にかかった」という話は、風疹の免疫があると判断する材料にはなりにくい。幼児期には風疹に似た疾患が多く、鑑別診断を受けていない限り風疹に罹患したとは確定できないからである。風疹の免疫があるかどうかの判断には、風疹抗体価の確認とワクチン接種の記録が参考になる。

 なお、発疹が出てから5日間は感染性があるため、症状が消失してもやむを得ず外出する際には、マスクを着用し、できるだけ人混みを避けるよう指導したい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 風疹の疑いがあると言われたのですね。今日は熱を下げたり、関節の痛みを和らげるロキソニンというお薬が出ています。

 風疹はおっしゃる通り、一度かかったり、予防接種を受けていたらもう一度かかることは珍しいといわれています。風疹に一度かかったということですが、風疹に似た病気は多いため間違いやすく、診察時に血液検査で確認することもまれなため、「風疹にかかった記憶」は風疹にかかったことの確証にはなりません。

 ちょうどAさんの年代の男性は子どもの頃、風疹ワクチンを受けた人が少なかったため、大人になってから感染する方が多くいらっしゃいます。可能でしたら自宅で安静にして、やむを得ず外出しなければならない際にはマスクを着用し、人混みを避けてください。

参考文献
1)小児科 2012;53(9):1151-63.
2)Derma. 2010;164:89-95.
3)風しん患者数等の速報値(国立感染症研究所)http://www.nih.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/

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