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夏場の薬の保管方法
夏場の薬の保管方法
日経DI2013年8月号

2013/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年8月号 No.190

監修 堀 美智子氏
(株式会社エス・アイ・シー[東京都八王子市]取締役)

 この夏も全国各地で猛暑日(最高気温が35℃以上)を記録している。このように暑い日が続くと、患者やその家族から、薬の保管方法について相談を受ける機会が増えるのではないだろうか。薬は、直射日光、高温、多湿を避けて保管するのが基本だ。多くの薬剤は室温(1~30℃)保存とされている。そのため、気温が30℃を超えたら冷蔵庫で保管しなければならない、と考える患者は少なくない。

 しかし、室温保存とされる薬剤でも、一般に、加速試験(高温[40℃]、高湿度[75%相対湿度]で6カ月以上保存する試験)で安定性が確認されている。患者には、室温保存の薬ではあるが、より高温・多湿の条件下での安定性が認められており、夏場も室内で保存することは問題ないことを伝えるとよいだろう。

 ただし、自動車内など、さらに温度が高くなる環境下に長時間置くことは避けるように指導する必要がある。

 また、薬剤の安定性は、PTPシートなど製品として包装された状態で試験されたものであり、一包化など製品包装から出した状態の薬剤には当てはまらないことにも注意が必要である。特に、紫外線は紙を通過するため、薬袋に入った状態でも日光を避けるよう、患者に伝えておく。

 お薬カレンダーを使用する際など、時間帯によって日光が薬剤に当たることがあるので、配慮が必要だ。

 多湿を避けるべき薬剤を交付する際には、薬局で不用になった除湿剤を提供して、密閉容器や缶などに保管するように伝えるとよい。

 このほか、遮光保存の目薬を薬局で交付する際、遮光袋に入れず、添えた状態で交付すると、患者が遮光袋に入れずに保管することがあるので、薬局では遮光袋に入れた状態で交付すべきだろう。

坐薬の冷蔵庫内での置き方

 油脂性基剤を用いて体温で溶けるように設計された坐薬などは、保管温度が30℃を超えると軟化し、さらに温度が上がると溶解し液状になる。

 液状になっても薬効には大きな影響はないとされるが、包装内に空間ができるため、再固化する際に変形しないよう注意が必要だ。

 薬局から自宅まで持ち歩く間に軟化、溶解する可能性も考えて、帰宅後に冷蔵庫で保管する際には、置き方に注意するよう患者にアドバイスしておくとよいだろう。具体的には、必ず、先端部(先の細い方)が下になるように保管する。横向きに置いて再固化させると中央部がへこみ、挿入の際に折れやすくなってしまう。また逆向き(先端部が上)にすると先端部が欠けた形になり、挿入しづらくなる。

 なお、冷蔵庫に保管された坐薬を、食品の固形油と誤って使用した事例が報告されている。冷蔵庫に保管する際は、薬であることが家族に分かるようにしておくよう、注意しておきたい。

目薬と湿布薬は別々に保管

 夏に限ったことではないが、家庭での薬剤の保管方法で注意してほしいのは、メントールなど揮発性成分を含む湿布薬を、目薬と一緒に保管しないことだ。揮発性成分が薬液に溶け込み、「使っているうちに、目薬がスースーするようになった」と訴えるケースを経験したことがある。

 一般に、家庭の救急箱やお薬ケースには、様々な薬剤や医療材料が保管されている。処方薬の保管方法のみならず、一般用医薬品(OTC薬)を含め、どのように保管しているかを確認する必要があるだろう。

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