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OTCトレンドウォッチ
ムヒHD
日経DI2013年8月号

2013/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年8月号 No.190

西村 友佳
Yuka Nishimura
株式会社池田模範堂 市場開発室
2008年4月入社。同社研究所マーケティンググループに所属し、ムヒHDなどの商品開発に携わる。12年4月から現在の市場開発室に配属。

聞き手 三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、一般用医薬品に関する寄稿や講師の活動も行う。

 本稿では、頭皮湿疹の外用薬であるムヒHDについて、同製品の企画から開発まで携わった池田模範堂市場開発室の西村友佳氏に、開発の経緯や容器、成分の特徴を聞いた。

─なぜ頭皮の痒みをターゲットにした一般用医薬品(OTC薬)を開発されたのでしょうか。

西村 一般の20~50歳代の男女を対象にマーケティング調査を実施したところ、実は頭皮の痒みに困っている人が多いことが分かりました。

 頭皮の痒みは、皮脂の多い男性に多いと思われがちですが、調査の結果では男女差は見られませんでした。幅広い年代で患者さんがいることも分かりました。女性の場合、ヘアカラーリングや妊娠をきっかけに発症することがあるようです。

 このように患者が多くて、OTC薬のニーズがあるにもかかわらず、開発を始めた5年ほど前は頭皮湿疹に特化した製品はなかったため、商品化しようと考えたのです。

─頭皮湿疹の患者は、夏場に多いのでしょうか。

西村 弊社の調査によると、汗を多くかき、皮脂の分泌が多い夏はもちろんですが、冬場に乾燥して痒みを訴える方もいて、通年で患者がいることが分かりました。

 実際、本製品は2012年4月に発売しましたが、これまでの販売実績では、季節を問わず売れています。

薬液の出る量を調節できる

─容器が特徴的で、先端が細くなっていて、頭皮の患部に直接塗ることができますね。

西村 この容器は“ピンポイント容器”と呼ばれるもので、水虫の治療薬などに採用されています。弊社の製品としては今回初めて採用しました。

 一般に、頭皮湿疹に用いられる外用薬の容器にはチューブとボトルがあります。ボトルには先端がスポンジになっているものがありますが、いずれも薬剤が頭髪に付着してしまいます。

 手を汚さずに塗布できる剤形には、スプレーがありますが、後頭部などの頭皮は患者さん自身が見ることが難しく、患部を目がけて狙った通りに塗布するのが難しいという問題がありました。

 そこで、頭髪に付きにくく、患部にしっかり塗れる、ピンポイント容器にたどり着きました。

 弊社が採用したピンポイント容器は、薬液の出る量を調節できるよう工夫されています。先端を患部に「トン、トン」と軽く押し当てると、少量出ますが、多めに出したいときは、先端をゆっくり押し当てると、じわっと出てきます。ワンプッシュで出る量が決まっているので、出過ぎる心配はありません。

 また、開封時に漏れたりしないのも特徴です。こうした容器は持ち運んだりしていると、容器内の圧力が高まって、開封時に液が大量に出ることがあります。また、頭皮に塗布する性質上、薬液が多く出て、液が垂れて目に入らないようにする必要があります。そうしたことが起きないように、開封時に内圧を逃がすような構造になっています。

─薬液が逆流するなど、衛生面で問題はないのでしょうか。開封後はいつまで使えるのか、患者から尋ねられることがあるのですが。

西村 開発時の検討では、一度出た薬液の逆流は見られませんでした。また、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールや添加剤としてエタノールなどを配合しているため、衛生的にも心配ありません。

 使用期限内なら開封後の2シーズン(1年3カ月)を目安に使えます。つまり、今年の夏に開封したものは、来年の夏いっぱいまで使えるというわけです。

─この製品の成分の特徴は。

西村 有効性分として、頭皮湿疹の痒みの元である炎症を抑えるため、アンテドラッグのプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)を採用しました。安全に速やかに効かせて、長引かせないメリットがあります。

 また、痒みを抑える抗ヒスタミン成分として、ジフェンヒドラミン塩酸塩を配合しています。

皮膚修復成分は独自の処方

西村 さらに、この製品の独自の処方として、荒れた皮膚組織を修復する成分であるアラントインやパンテノールを配合しています。これらは、あかぎれに対する外用薬のヒビケアにも入っており、湿疹で荒れた皮膚を速やかに改善する作用があります。

 なお、液体ムヒS2aと同じように、l-メントールを3.5%配合しているため、塗った後の爽快感も特徴です。

 薬液に高分子化合物を配合して、液垂れしにくいが、べたべたしない適度な粘度に調整しました。

─どのような患者にお薦めするとよいでしょうか。

西村 パッケージに「シャンプーしても治まらない方に」と赤字で目立つように表示しました。というのも、頭皮湿疹の患者さんは、まず、シャンプーが原因と考えて、別のものに変えるケースが多いようです。それでも治まらないような方に薦めていただければと思います。

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頭皮湿疹とOTC薬 /三上彰貴子の一言メモ

 頭皮湿疹は、頭髪で覆われた部分や髪の生え際に、痒みを伴う発疹ができた状態をいう。ひどい痒みのため、掻き壊してかさぶたができることもある。
 発症原因として、シャンプーやリンス、育毛剤など頭皮に直接触れる成分による場合のほか、食生活の乱れや睡眠不足、ストレスなどにより、皮脂の分泌がコントロールできずに、炎症を起こすと考えられている。
 頭皮湿疹用のOTC薬には、ムヒHDのほか、スプレータイプのメンソレータムメディクイックH(ロート製薬)がある。
 ともに、抗炎症成分のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルやイソプロピルメチルフェノール、l-メントールを配合。メディクイックHには痒みを抑えるクロタミトンが配合されている。
 いずれも1日数回適量を患部に塗布する。5~6日使用しても効果が見られない場合は、頭部白癬などの恐れがあるため、使用を中止し受診を勧める。生後6カ月から使用できる。
 患部が広範囲の場合、水痘や水虫、たむし、傷や化膿している部位には使用しない。また、眼の周囲、口などの粘膜にも使用しないよう、販売時に伝える。

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