DI Onlineのロゴ画像

TOPICS
日薬、薬剤師の業務範囲の拡大を厚労省に要望 ほか
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

日薬、薬剤師の業務範囲の拡大を厚労省に要望
在宅での計数調剤、処方箋の送信手段の合理化など3項目

 厚生労働省のチーム医療推進方策検討ワーキンググループが、6月26日開催され、薬剤師の業務範囲の見直しに関する要望について議論した。

 この要望は、4月に日本薬剤師会がチーム医療推進会議に提出したもので、(1)在宅における薬物療法への適切な関与、(2)在宅患者の調剤を行う際の処方箋送信手段の合理化、(3)一般用医薬品を含めた医薬品の適正使用に対する医師との連携─の3点。

 (1)では、(A)患家で医師の処方箋に基づいて内服薬などの計数調剤を行うこと、(B)調剤した薬剤を患家で交付する際に、残薬状況や患者の状態に応じて、処方医に疑義照会を行い、薬剤の計数変更を行うこと、(C)患者の求めがあれば、処方医の同意を得た上で実技指導を行うこと─を挙げている。実技指導の具体例として、身体へのルートが確保されている場合の注射薬のセットや流量の確認・調整、外用薬の使用方法などを示した。

 (2)については、現在、処方箋は患家から薬局にファクスで送信することが認められているが、ファクスが患家にない場合もある。そこで、携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末から処方箋の画像を薬局に送信することを認めるなど、実態に合わせた合理化を求めている。

 また、(3)は、一般用医薬品を購入するかどうかにかかわらず、患者の相談に応じて受診勧奨するといった業務が、薬剤師法などでは明確に記載されていないため、その明文化を求めたもの。

 これらの要望に対して、医師委員からは「外用薬に関する指導はよいが、注射薬の調整は診療の補助行為に当たるので反対」「処方箋内容を画像データで送信するのは、セキュリティー上の問題をはらんでいる」「一般用医薬品の相談業務は非常に重要なことだが、社会保険の給付対象にすることを求めているのであれば、反対」といった声が上がった。

 次回以降の会合で、法令なども含めて整理し、改めて議論される見通しだ。


TS-1、ビ・シフロールの後発品が収載
6月の薬価追補収載は183成分、過去最多の715品目が告示

 厚生労働省は6月21日、後発医薬品の183成分715品目を薬価追補収載した。品目数としては過去最多。

 このうち、初収載となる後発品は、アゼルニジピン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、タクロリムス水和物、プラミペキソール塩酸塩、ロキソプロフェンナトリウムの5成分(表1)。

表1 新規に薬価追補収載された後発医薬品

画像のタップで拡大表示

 内用薬で収載数が10品目を超え、先発品の薬価の6掛けで算定されたのは、アゼルニジピン、プラミペキソール、フェキソフェナジン塩酸塩の3成分だった。


1~2月の調剤医療費が発表
後発品使用率は29.5%、政府目標の3割の達成は困難

 厚生労働省は6月25日、2013年1月と2月の調剤医療費の動向(調剤メディアス)を発表した。

 それによると、1月の後発医薬品使用率は数量ベースで29.4%、2月は29.5%で、政府目標だった「2013年3月末で使用率3割以上」の達成は難しい状況となっている。都道府県別に見ると、2月は沖縄県が42.3%と最も高く、徳島県が24.8%で最も低かった。

 2月における処方箋1枚当たりの調剤医療費は、全国で8470円と、前年同期と比べて+1.3%だった。都道府県別では石川県(1万788円)が最も高く、最も低いのは佐賀県(7188円)だった。


睡眠薬の適正使用と休薬のガイドラインが発表、漫然とした処方見直しを

 日本睡眠学会は6月13日、「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」を発表した。

 睡眠薬を漫然と処方するのではなく、非薬物療法(睡眠衛生指導、認知行動療法)を活用して、減薬や休薬を目指した治療の在り方を示している。薬物療法は、可能な限り単剤で開始するのが望ましいとし、リズム異常がある不眠症にはメラトニン受容体作動薬を第一選択とした。睡眠薬の効果が不十分な抑うつ症状には、ミアンセリン塩酸塩、トラゾドン塩酸塩、ミルタザピンなどの催眠・鎮静系抗うつ薬を使う価値があるとした。ガイドラインは同学会のウェブサイトで公開されている。


東大阪市が生活保護受給者に“かかりつけ薬局制”を導入

 大阪府東大阪市は6月12日、生活保護受給者に対して、調剤を受ける際は特定の薬局を利用する仕組みを導入することを発表した。

 8月をめどに受給者全員から、調剤を希望する薬局1軒を聞き取り、可能な限りその薬局が調剤するように促す。

 東大阪市によると、市内の受給世帯は1万4444世帯、2万1173人で、保護率は44.17‰に上る。医療扶助費は生活保護費約385億円の4割強を占めており、“かかりつけ薬局制”を導入して、重複投薬を防ぐとともに、後発品の使用を促進するなど医療扶助費の適正化につなげたいとしている。


アリセプトのドライシロップが発売、用時懸濁で飲ませやすく

 エーザイは6月26日、アルツハイマー型認知症治療薬のアリセプト(一般名ドネペジル塩酸塩)の新しい剤形となるアリセプトドライシロップ1%を発売した。

 アリセプトの剤形には、これまで錠、口腔内崩壊錠、細粒、ゼリーがあったが、これらが服用困難な患者にも、ドライシロップは用時懸濁して服用させやすい。細粒と比べて成分量当たりの嵩(かさ)が半量になっているのも特徴だ。

 ゼリーははちみつレモン味だが、ドライシロップの風味は特になく、甘味剤が配合されている。製剤の色は淡黄色。薬価は1%1gで636.00円。0.3g、0.5g、1gの分包製剤、100gのボトル製剤がある。


記者の眼
薬ネット販売「原則解禁」で広がる波紋
現行のリスク区分や対面販売の体制にも影響する可能性

 政府は6月14日、一般用医薬品(OTC薬)のインターネット販売の原則解禁を盛り込んだ成長戦略を決めた。だが、消費者の安全を確保するための肝心のルールは白紙のままだ。

 2月に始まった厚生労働省の「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」は、慎重派と推進派の水掛け論に終始した。

 慎重派は当初、全ての第1類・指定第2類医薬品のネット販売禁止を主張していたが、「ネット販売によって副作用リスクが増加する根拠はない」という推進派の猛攻を受け、譲歩を強いられる形となった。ただし、「副作用や乱用のリスクが高い一部の品目については、薬剤師が五感を使って情報収集を行い、販売の適否や受診勧奨の必要性を判断することが重要」という主張は貫いた。

 一方の推進派は、ネットの特性として、リアルタイムで双方向性のあるやり取りが難しく、消費者の自己申告に頼る面が大きいことを指摘されると、対面販売においても情報収集が十分に行われていない実態をやり玉に挙げた。さらには、「それほどリスクが高ければ、処方薬に戻すべきだ」と応戦。あくまで全面解禁を主張した。

 11回にわたる会合は、次第に泥仕合の様相を呈し、6月13日、双方の意見を併記した報告書をまとめて幕引きとなった。

 だが、政治判断により「原則解禁」の方向性が示された今、推進派と慎重派の両者が知恵を出し合い、一刻も早くルールを作ることが望まれる。

 厚労省によると、2月末時点でネット販売を行っている薬局・薬店は、第1類医薬品は17店舗、経過措置対象以外の第2類医薬品は148店舗に上った。中には、リスク区分の表示が不明確だったり、医薬品の適正広告基準に抵触しかねない販売ウェブサイトも散見される。これでは、ネットで購入したOTC薬の誤用や乱用による健康被害を完全には防ぎ得ない。

 日本チェーンドラッグストア協会は6月14日、会員へのネット販売の自粛要請を解除した。業態や規模を問わず、これまで対面販売のみを行ってきた薬局・薬店が「対面もネットも」へとかじを切り始める日は遠くない。それを見込んで指針を用意しておくことは、これまでOTC薬に携わってきた全ての業界団体の責務だ。

 ルール作りに当たっては、OTC薬によって消費者が被り得る健康被害の原因を「副作用」「乱用」などに大別し、消費者の安全を確保するための最低条件や責任の所在を明確にしていく方法が考えられる。販売事業者の認証制度も必須だ。

 場合によっては、リスクに基づくOTC薬の分類体系や対面販売の体制なども、大幅に見直されることになるだろう。例えば、一部の品目についてネット販売を禁止する場合、対面販売においても本人確認を義務付けたり、代理購入を禁止したりするかどうか、検討する必要が生じる。

 ネット販売との辻つまを合わせるために対面販売の規制が強化されれば、調剤に重きを置く薬局が、OTC薬から軒並み手を引く可能性も懸念される。日本薬剤師会は、外出困難な患者への対応策として、第1・2類医薬品の薬剤師による配達や訪問販売も認めるべきだと主張する。

揺らぐOTCと薬剤師の意義

 2009年6月の改正薬事法の施行から丸4年。OTC薬の適正使用や普及啓発に関して、厚労省や業界団体の努力不足もさることながら、現場の薬剤師も無関心を装ってばかりはいられない。

 薬剤師に義務付けられた第1類医薬品販売時の文書による情報提供の実施率は低迷。また、OTC薬の副作用による死亡例は、報告されているだけでも07~11年の5年間で24例に上る。この状況下では、「説明を受ければ安心して使えます」という日薬の掛け声もむなしく響く。

 成長戦略には、「OTC薬に関する助言や健康相談を行うなど、セルフメディケーション推進のために、地域に密着した健康情報の拠点として薬局・薬剤師の活用を促進する」ことも盛り込まれた。薬剤師の真価が問われるのはこれからだ。

 もっとも、セルフメディケーションにおけるOTC薬の位置付けも危ぶまれる。「スイッチ直後の経過期間に問題が発生した場合は、医療用に戻すことも必要」。ネット販売論争の渦中で、日本医師会は薬剤師による情報提供や受診勧奨の有用性を認めつつも、スイッチOTC薬の拡大に対するけん制を強めている。

 厚労省は今後、スイッチ直後品目と劇薬指定品目に相当する25品目の取り扱いと、ネット販売のルールについて、それぞれ専門家による検討の場を設け、秋までに結論を出す見通し。ネット販売論争の正念場は続く。(内海 真希)


新薬DIピックアップ
レグテクト錠333mg《2013年5月27日発売》
アルコール依存症の飲酒欲求を抑える日本初の断酒補助剤

 5月27日、アルコール依存症患者の飲酒欲求を抑える日本初の断酒補助剤レグテクト錠333mg(一般名アカンプロサートカルシウム)が発売された。

 アカンプロサートカルシウムはアセチルホモタウリンのカルシウム塩で、中枢神経系に作用し、アルコール依存で亢進したグルタミン酸作動性神経活動を抑制することで、アルコール依存症患者の飲酒欲求を抑えると考えられている。

 効能・効果は「アルコール依存症患者における断酒維持の補助」だ。アルコール依存症治療の中心は、患者の断酒しようという意志を持続するための心理社会的治療であることから、レグテクトは心理社会的治療と併用する必要がある。

 また、アルコール依存症の診断は国際疾病分類などの適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ使用するよう明記されている。なお、離脱症状が見られる患者では、離脱症状に対する治療を終了してから使用する。高度の腎障害のある患者は、排泄遅延により高い血中濃度が持続する恐れがあるため、禁忌である。

 用法・用量は、1回2錠(666mg)を1日3回。薬価は1錠当たり50.10円なので、1日約300円になる。レグテクトの吸収は食事の影響を受けやすく、空腹時に投与すると、食後投与と比較して血中濃度が上昇する恐れがあるため、食後に服用するよう指導する。投与期間は原則として24週間で、治療上の有益性が認められる場合にのみ投与期間を延長できるが、漫然と投与しないようにする。

 アルコール依存症患者を対象とした国内臨床試験において、安全性評価対象症例199例中37例(18.6%)に副作用が認められた。主な副作用は下痢28例(14.1%)、傾眠、腹部膨満、嘔吐 各2例(1.0%)であった。重大な副作用としてはアナフィラキシー、血管浮腫が報告されている。上部消化管障害を軽減するため、腸溶性フィルムコーティング錠になっている。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ