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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)アルコール依存症の新薬の飲み方
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

出題と解答 :東風平 秀博
(田辺薬局[東京都中央区])

A1

空腹時の服用は血中濃度が過度に上昇する恐れがあるため。

A1

腸溶性コーティングフィルム錠なので、分割や粉砕をしてはならない。

 アルコール依存症は、大量の飲酒を長期間続けることによって、次第にアルコールを摂取しないではいられなくなってしまう状態のことを指す。病状が進行すると、飲酒していないときに手の震えや多量の発汗、頻脈などの離脱症状(禁断症状)が表れる。アルコール依存症を発症するまでの期間は、男性では習慣的な飲酒を始めて20~30年、女性ではその半分程度だといわれている。

 わが国では80万人以上のアルコール依存症患者が存在するとみられ、男女比では圧倒的に男性の方が多い。しかし、近年では女性でも依存症が増えていることが問題視されている。

 アルコールの大量摂取を繰り返すと、興奮性のグルタミン酸作動性神経伝達活動が抑制され、一方で抑制性のγアミノ酪酸(GABA)作動性神経伝達活動が亢進した状態が続く。ところが飲酒をやめると、それまでアルコールによって亢進していたGABA作動性神経伝達活動が減弱してしまい、グルタミン酸作動性神経伝達活動が優勢となる結果、震えなどの離脱症状が表れる。この離脱症状を抑えるために、再び飲酒したくなるというメカニズムで依存が形成される。

 前回から処方が開始されたアカンプロサートカルシウム(商品名レグテクト)は、断酒時に相対的に優位となるグルタミン酸作動性神経の活動を抑制する。そのため、依存症患者の飲酒欲求を抑えることができると考えられている。ただし、本剤の効能はあくまでも「アルコール依存症治療の補助」である。患者本人に断酒の意志があり、離脱症状に対する治療の後、医師のカウンセリングや自助グループへの参加など、心理社会的治療と併用する場合に、断酒維持効果を高める作用があることを認識しておきたい。

 ちなみに、シアナマイド(シアナミド)や1カ月前までCさんに処方されていたジスルフィラム(ノックビン)は、アルコール代謝の過程において肝臓中のアセトアルデヒド分解酵素を阻害し、血中アセトアルデヒドの濃度を上昇させる。これらを服用中に飲酒すると、体内にアセトアルデヒドが蓄積し悪酔いの状態になる。そのため、これらは抗酒薬あるいは嫌酒薬と呼ばれている。アカンプロサートにジスルフィラムやシアナマイドを併用することも可能である。

 なお、アカンプロサートを空腹時に服用すると、血中濃度が過度に上昇する(絶食下では食後投与と比較して最高血中濃度〔Cmax〕で約3倍、血中濃度曲線下面積〔AUC〕で約2倍上昇)恐れがあるため、食後に服用する。飲み忘れた場合でも2回分を一度に服用してはならない。気づいた時点でその分を服用すればよいとされているが、次のタイミングが近い場合には、1回分を飛ばして次回から服用時にそのときの分を服用する。

 また、Cさんはレグテクトの錠剤が大きいことを指摘している(直径10.3mm、厚さ6.4mm)が、錠剤の分割や粉砕をしてはならない。レグテクトは治験にて胃腸障害がプラセボに比べて高頻度で起こることが確認されたため、腸溶性のフィルムコーティング錠として開発されているからである。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 食事を取り損ねるとお薬も飲み忘れてしまうのですね。レグテクトは空腹でお飲みになると、効き過ぎてしまう恐れがあります。

 もし飲み忘れに気づいたら、そのときに、何か召し上がってから忘れた分を飲んでください。次の食事が近い場合は、忘れた分の回は飛ばして次の食後からお飲みください。ただし、決まった時間に食事を取って生活のリズムを整えることも治療にはとても大切なので心掛けてくださいね。

 それから、錠剤が大きくて飲みにくいようですが、このお薬は腸で溶ける加工がされているので、割ったり砕いたりしてはいけません。1錠ずつ飲んでみて、それでもつらいようでしたらご相談ください。

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