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医師が語る 処方箋の裏側
難治性白斑には免疫抑制剤と活性型ビタミンD3を併用
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

 両方の目頭から鼻の横にかけての尋常性白斑(以下、白斑)のため、来院した石井隼人ちゃん(仮名、当時9歳)。

 3歳ぐらいから皮膚が脱色していき、この1年は近所の皮膚科診療所に通院してステロイドの軟膏を処方されていた。しかし、一向に改善しないため、当院を受診した。

 白斑は、皮膚の色素が失われる疾患。外用薬や紫外線照射などによる対症療法が行われるが、治療に難渋することが多い。

 発症原因として、多くは自己免疫が関与しているとされる。皮膚の色調はメラニンによるものだが、このメラニンを生成する皮膚の基底層にあるメラノサイトが破壊されてしまうため、メラニンを生成できなくなり、皮膚が脱色していく。

 そのため、外用療法には免疫系の活動を調整するための免疫抑制剤が使われる。また、メラニンの生合成を促進する活性型ビタミンD3も、適応外だが有効と報告されている。隼人ちゃんには前医から免疫抑制剤として外用ステロイドが処方されていたが、効果があまり見られなかったのは、発症から何年も経過していたためと思われた。

 そこで、私は、より免疫抑制作用の強いプロトピック(一般名タクロリムス水和物)と、活性型ビタミンD3製剤のボンアルファハイ(タカルシトール水和物)を処方した。プロトピックを隔日投与としたのは、眼に近い部位に塗るため、塗布回数を減らして影響を抑えたいと考えたからだ。

 塗布する順番も大切である。ボンアルファハイのローション剤は、軟膏の後に塗るとはじかれてしまうため、先に塗るよう指導した。

 こうした外用療法のほか、紫外線照射も行い、当院初診から3年後の現在、顔の白斑は半分にまで縮小した。

 実は最近、隼人ちゃんは右膝にも白斑が現れた。白斑はこのように突如、異なる部位に出現するが、初期のため、外用ステロイドのロコイド(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)の塗布で、拡大を防げている。(談)

安木 良博氏
Yasuki Yoshihiro
東京都立大塚病院(東京都豊島区)皮膚科部長。1977年昭和大学医学部卒業。同大皮膚科学教室助手などを経て、2002年から現職。専門は皮膚腫瘍、爪疾患だが、尋常性白斑の患者も数多く診療している。

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