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薬局なんでも相談室1
相談室1:復職する女性薬剤師をどう迎えるか
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

 私は30年以上にわたって薬局の経営コンサルティングに携わってきました。これまで全国1000店舗以上の現場に赴き、薬局のサポートをしています。

 経営の規模にかかわらず、これから薬局が生き残っていくためには、「薬局経営を本業にする良い会社」を目指すべきだと思います。ここで言う「良い会社」とは、経営者が薬剤師をはじめとする社員を大切にし、社員とその家族の生活のことを真剣に考えている会社です。恐らくご相談者も、薬剤師に長く定着してもらうことをお考えなのだと思います。

 出産のために職場を離れ、育児のために働き方を変えなければならない当事者は、様々な犠牲を強いられることになります。そこで、育児支援の一環として復職制度を作る必要があります。その際は、公平性と透明性を大切にして、該当者(対象者)や労働時間、賃金、評価方法など、復職に際して周囲とトラブルにならないよう配慮しなければなりません。育児・介護休業法や男女雇用機会均等法など、関連する法律についても理解しておく必要があるでしょう。出来上がった復職制度は、該当者だけでなく社員全員に知らせましょう。

 労働条件については、同業他社を絶えずチェックし、必要に応じて見直すようにしましょう。ただし、「他の薬局より高い給与を出して、社員を何が何でもつなぎ留める」という身の丈に合わない発想は捨てて、「良い会社として企業を継続させるために、支払える精一杯の給与を支払う」というスタンスが大切です。

技術面と精神面で支える

 産前産後休業(産休)や育児休業(育休)の期間、現場から離れていたブランクは、当事者にとって大きな不安となるはずです。そのため、復職する女性薬剤師の再教育が非常に重要です。私は、2つのステップを設けて再教育を施すことを勧めています。

 まず、調剤の基礎的な実務をこなせるようになるために、比較的処方がシンプルな皮膚科や眼科などの門前薬局に配属します。休業に入る前の感覚を取り戻し、調剤業務に自信を持てるようになってきたら、他の薬剤師と同じローテーションに戻します。

 次のステップとして、リスクマネジメントについての再教育を行います。調剤・疑義照会・服薬指導、それぞれにおけるリスクマネジメントについて学び、インシデントを予防できる能力を付加します。

 社員のメンタル面のケアも忘れてはいけません。職場復帰の時期が近づくにつれ、ご相談の女性薬剤師も不安を募らせることでしょう。私はその不安を和らげるために、大手チェーンではエリアマネジャー、中小企業では経営者もしくは経営者夫人など、薬剤師本人の人となりが分かっている人から、薬剤師やその家族に向けて「会社からの温かな歓迎の手紙」を送ることを勧めています。復職前は不安を払拭する内容を、復職後はねぎらいの言葉をつづり、復職する女性薬剤師の仕事と家族の両方を応援したい旨を伝えるとよいでしょう。

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