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特集:
事前の情報収集で退院前に問題を解決
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

Hさん:71歳、男性。妻と2人暮らし。狭心症、胃癌、肺癌。

 2008年の診療報酬改定で新設された、退院時共同指導料。薬剤師が、退院後に訪問薬剤管理指導を担う患者が入院している医療機関に赴き、医療機関の医師や看護師などと共同で患者に服薬指導を行うことを評価した点数だ。残念ながらあまり普及していないが、個人的には、こんないい仕組みを利用しない手はないと感じている。

チームの一員として面会

 Hさん(71歳、男性)は、狭心症や胃癌、肺癌などを患い、長く病院で療養していた患者。ある日、M病院の薬剤師から、「患者が退院して自宅に戻るので担当してもらえないか」と電話があった。数日後の土曜日に、病院で退院時カンファレンスを開催するとのこと。業務を調整し、出席することにした。

 病院で退院前の患者や家族に直接会って話をするのはとても重要だ。患者の顔色や体調、性格などが少しでも見れるだけで、自宅に訪問するときに心掛けるべき点が見えてくる。

写真5 退院時カンファレンスの様子(提供:根本氏)

 また、病院で在宅チームの一員として、患者や家族に会うことで、患者の信頼が得られやすくなる。このときも、病院の薬剤師と一緒にHさんにあいさつし、家族と話ができた。

 退院時カンファレンスには、Hさんの妻と、病院の主治医と看護師、病院薬剤師のほか、Hさんのケアマネジャーと私が参加した。 Hさんは、胃癌の手術で胃を全摘出していたため、皮下埋め込み型ポートを造設し、中心静脈栄養療法を受けていた。また、肺癌で在宅酸素療法も必要だった。

 会議では、Hさんの病状や病院での処方内容、輸液や在宅酸素療法の管理、看護師の訪問頻度など医療面の情報や、家族や自宅の療養環境、介護保険の状況など介護面の情報などを共有した。輸液バッグの交換はHさんの妻が行うことが分かった。

 情報共有する中で、Hさんが自宅に帰るための問題が1つ明らかになった。

 Hさんは、病院で高カロリー輸液のネオパレンに微量元素製剤(商品名ミネリック)を混注した輸液を使っていたのだが、当時、当薬局には無菌調製の設備がなかったのだ。微量元素入りの輸液のキット製剤もまだ発売されていなかった。

 この問題は、病院薬剤師の提案で、週2回、看護師が訪問したときに、ネオパレンにミネリックを混注してもらうことで解決できた(看護師がその場で混合して投与する場合は、無菌調製は必要ない)。

 このように退院前に問題点を見つけて解決することで、在宅への移行がスムーズになるのが、退院時カンファレンスのよいところだ。

 また、退院時カンファレンスで多職種が顔を合わせることで、チームとしての一体感ができ、その後のやり取りが行いやすくなる。Hさんのケースでは、後日、在宅の主治医が医療材料を調達するのが難しいことが分かったので、私が病院の薬剤師に相談し、医療材料は病院から提供してもらうことになった。こんなことができたのも、カンファレンスで面識ができていたからだろう。

 退院時カンファレンスは、病院との関係作りや時間調整が大変かもしれないが、参加すると必ず収穫がある。ぜひ一度参加してみてほしい。(談)

よしの薬局
(茨城県那珂市)

薬剤師数・・・常勤2人、パート1人
主な在宅担当薬剤師・・・2人
処方箋枚数・・・230枚/月
うち在宅の処方箋枚数・・・112枚/月
在宅訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費の算定患者数・・・34人/月
主な訪問時間・・・時間調整して日中に訪問
無菌調剤室の有無・・・あり

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