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特集:
訪問看護師と連携し認知症患者の薬を管理
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

Sさん:75歳、男性。糖尿病、前立腺癌、認知症。処方薬はインスリン、降圧薬など。ADLは良好。

 Sさん(75歳、男性)は、糖尿病で長年T病院に通院し、同院近くの当社の薬局に通っていた患者だ。ある時期から「薬剤師が壊れたインスリンを渡した」と言ってくるようになったため、薬剤師が自宅を訪問したところ、カートリッジを交換せずに使用していたことが判明。認知機能が低下して薬の管理が難しくなっていたことから、T病院の地域医療連携室に相談し、同院の医師から訪問服薬指導の指示をもらい、Sさん宅に近い薬局に勤務していた私が担当することになった。

 Sさんの処方は、レベミル(インスリン デテミル)の自己注射(朝食前に27単位)、グリミクロン(グリクラジド)やニトロダームTTS(ニトログリセリン)など。体調のすぐれない妻と息子夫婦が同居していたが、Sさんの服薬サポートができる状況にはなかった。

 そこでまず、本人が間違えずに薬を使えるように、インスリンのデバイスに投与単位数を記載した紙を貼付し、ニトロダームTTSに貼付する日付を記載。他の薬は、一包化してお薬ボックスにセットした。お薬ボックスを見たSさんは、「これはいいね」と喜んでくれた。しかし翌週、訪問した看護師から、お薬ボックスの薬は手つかずのままで、以前から使っていた箱から薬を取り出して飲んでいたと報告を受けた。認知症の患者には、新しい方法は受け入れにくいと痛感させられた。

 次に、服薬回数に着目。訪問看護師と相談して、グリミクロンだけが1日2回服用だったため回数を減らすよう処方医に提案。全ての薬を朝1回にすることができた。しかしその後、Sさんの認知機能はさらに低下し、朝1回の薬さえ管理できなくなった。家族の負担を最小限にするために、週2回(火、金)の訪問看護と週3回(水、木、土)のデイサービスで服薬させるようにして、月曜と日曜のみ家族が担当するようにし、薬は3カ所に届けた。

 確実に薬が投与できるようになったことで、GLP-1アナログ製剤であるビクトーザ(リラグルチド)が追加投与になるなど、より良い血糖コントロールができそうな兆しが見え始めた頃、Sさんに膀胱癌が見つかった。入院して手術を受けたが自宅には戻れず、訪問指導は終了となった。

 訪問看護師と密に連絡を取りながら、認知症患者のコンプライアンスの向上に貢献できた一例だ。(談)

ひかり薬局西多賀(当時)
(仙台市太白区)

薬剤師数・・・2人
在宅担当薬剤師・・・1人
処方箋枚数・・・700~800枚/月
無菌調剤室の有無・・・ひかり薬局西多賀にはなし、社内の他の店舗にあり
※千葉氏は現在、ひかり薬局上杉二丁目(仙台市青葉区)に薬局長として勤務。

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