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特集:
摂取カリウム量を計算 月4万円減に成功
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

Oさん:65歳、男性。妻と2人暮らし。脳梗塞後遺症で経鼻胃管による食事摂取。糖尿病性腎症で腹膜透析。

 脳梗塞で入院していたOさん(65歳、男性)は、糖尿病性腎症のため入院中に腹膜透析の手術を受けて、自宅に戻ってきた。経口摂取はほとんどできず、経鼻チューブから経腸栄養食品であるリーナレンPro3.5(当時)を取っていた。

 服用薬は、降圧薬や利尿薬、塩化カリウムなど。腹膜透析の患者に塩化カリウムが処方されていることに疑問を感じて医師に聞くと、「透析治療を受けている患者は通常、高カリウムになりがちだが、Oさんはずっとカリウム値が低い。原因は不明だが、時々そういう患者がいる」とのことだった。

 Oさんの在宅療養は順調だった。ただ私は、毎月末、薬局からOさんに出す請求書が非常に気になっていた。リーナレンは食品であり保険が適用されず、全額自己負担となることから、費用が毎月5万円以上にもなっていたからだ。

 経腸栄養剤は、ラコールやエンシュアなど保険適応がある医薬品と、リーナレンなどの食品に分けられる。食品には、微量元素や蛋白質の含有量が少ないものや低GI栄養機能食品など多様な製品が販売されている。しかし、医薬品は種類が限られており、Oさんのように腹膜透析の患者が使う低カリウムの経腸栄養剤はない。そのため、Oさんは入院中から、食品であるリーナレンPro3.5を使っていたのだ。

 ところがOさんには塩化カリウムが処方されている。請求書を書きながら、ふとそのことを思い出した私は、「塩化カリウムを投与するぐらいなら、医薬品の経腸栄養剤でもいいのではないか」と考えた。そこで、まずOさんの摂取カリウム量を計算してみた。添付文書などで含有K量を調べたところ、処方されている塩化カリウム1500mg/日に含まれるKと、リーナレンPro3.5に含まれるKを合わせると、32.4mEqを1日に摂取していることが分かった。

「Eq」は電解質の量を示す単位で、1Eqは1原子量/原子価で表される。Kは分子量が39であることから、39mg=1mEqとなる。Oさんの1日摂取カロリーはリーナレンPro3.5が8本で1600kcal。カロリー量を維持したまま、医薬品の経腸栄養剤であるエンシュア・Hを使って、K量を32.4mEq程度にするには……。

 計算した結果、リーナレンPro3.5を4本、エンシュア・Hを2本で、カロリー量を維持しながら、これまでと同じK量に抑えられることが分かった。食事にかかる費用は2万円ほど削減でき、塩化カリウムを投与する必要もない。

 計算した内容とともに腎臓内科の医師に伝えたところ、「目からうろこだ。食事のことまでは見ていなかった」と、さっそく処方が変更となった。その後、少しずつエンシュア・Hを増やし、最終的にはエンシュア・Hが4本のみに。約4万円も食費を軽減することができ、奥さんは大変喜んでくださった。食事や患者の経済的負担に目を向けることも、薬剤師が在宅医療に関わる上で大切だと改めて感じた。(談)

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アクア薬局
(長崎県長崎市)

薬剤師数・・・4人
在宅担当薬剤師・・・1人
在宅患者数・・・30~40人
在宅処方箋の発行医療機関・・・10カ所
主な訪問時間・・・基本は開局時間内だが休日、夜間も対応
無菌調剤室の有無・・・なし

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