DI Onlineのロゴ画像

特集:
簡易懸濁法を提案、ケア省力化に貢献
日経DI2013年7月号

2013/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年7月号 No.189

Kさん:82歳、男性。特別養護老人ホームに入居。脳梗塞後後遺症による片麻痺。胃瘻造設。

 5年ほど前、特別養護老人ホームの入居者の処方箋を応需していたときのこと。ある日、ホームの看護師から胃瘻を造設したKさん(82歳、男性)について、「いつも酸化マグネシウムがチューブに詰まって大変。何とかならないか」と相談を受けた。

 ホームのある地域には、胃瘻による経腸栄養法や中心静脈栄養法(IVH)の患者を受け入れる高齢者施設が多くはなく、そのホームには胃瘻の患者が多く入居していた。酸化マグネシウムが投与されている患者も少なくなかったが、他の患者は何とか対処できていたようだ。しかし、Kさんが使っていた胃瘻カテーテルは、ボタンタイプのもので内径が狭かった。毎回、薬を投与するのに労力していたようで、困り果てて相談してきたのだ。

 簡易懸濁法で何とかなるのではないか─。折よく、研修会で簡易懸濁法について習っていた私は、早速、医師に、酸化マグネシウムの散剤から錠剤であるマグミットに変更してもらうように依頼し、ホームの看護師に簡易懸濁法を紹介した。

手間が省け全量を確実に投与

 簡易懸濁法とは、錠剤を粉砕したりカプセルを開封することなく、そのまま温湯(55℃)に入れて崩壊、懸濁させた後、経管投与する方法だ。

 粉砕した錠剤や散剤を水に溶かすよりも、迅速に確実に懸濁でき、薬がチューブを詰まらせることが少ない。手順は、シリンジにお湯を注入し、そこに薬剤を入れて10分待つだけ。ホームの給湯器は、設定温度を高めにすれば、ちょうど懸濁するのに適切な湯温の55℃になるため、簡単にできるのもメリットだ。

 それまでKさんには、水と粉砕した薬をシリンジに入れ、何度も振って懸濁させ、勢いよく押し出すことで、苦労して細いチューブから投与していたようだ。それが、簡易懸濁法を試してみたところ、薬が詰まることなくスムーズに注入できるようになった。スタッフからは「手間が大幅に減った」と非常に喜ばれた。

 このケースをきっかけに、ホームの看護師と話をして、他の薬も可能なものは簡易懸濁法を取り入れるようにした。Kさんの場合は、ラシックス(フロセミド)やノルバスク(アムロジピンベシル酸塩)、バファリン配合錠A81(アスピリン・ダイアルミネート配合)も簡易懸濁法でうまくいった。これまでは、いずれも粉砕しており、特にラシックスは水に溶かそうとすると、細かい粉が浮いてうまく懸濁できずに苦労していたという。きちんと懸濁できなかったため、これまで全量の薬を投与できていなかった可能性もある。簡易懸濁法なら、全量をしっかり胃内に入れることができ、投与するスタッフや粉砕していた薬剤師の労力も減る。

 全ての薬が簡易懸濁できるわけではないので、一剤ずつ調べる必要があるが、簡易懸濁法の知識は、在宅医療に関わる薬剤師にとって重要といえるだろう。なお、簡易懸濁法については、『内服薬 経管投与ハンドブック 第2版』(じほう、2006年)といった書籍が参考になる。(談)

ファーマライズ薬局大町店
(福島市)(当時)

薬剤師数・・・2人
在宅担当薬剤師・・・2人
処方箋枚数・・・1000枚/月
在宅患者数・・・100人程度
(施設80人、グループホーム10人程度)
無菌調剤室の有無・・・同店にはなし、社内の他の店舗にクリーンベンチあり
※山崎氏は、現在、ファーマライズホールディングス東北エリア長として勤務。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ