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特集:第2章
現状への不安&思い描く将来
日経DI2013年6月号

2013/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年6月号 No.188

 薬局をめぐる環境が大きく変わりつつある今、現場の薬剤師や薬局経営者はどう感じているのか。本誌が実施した調査の結果、将来に不安を感じている薬剤師や経営者が8割に上る実態が明らかになった。

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 「薬剤師あるいは薬局経営の将来について、どのように考えていますか」─。本誌が2013年5月に実施した調査でこう聞いたところ、回答者1220人のうち「非常に不安を感じる」と答えた人が28.9%を占め、「やや不安を感じる」の51.1%を加えると、将来に不安を感じている人が8割に上ることが明らかになった。年代別では30代、40代で不安を抱えている人が多かった。

 所属別で見ると、不安と答えた人(「非常に不安」と「やや不安」の合計)が最も多かったのが医薬品卸業の89.5%で、薬局の81.6%が続いた。製薬企業は76.5%、病院は74.2%だった。

 薬局に所属する人の立場別では、経営者の42.0%が「非常に不安」と答えたのに対し、勤務薬剤師は24.5%にとどまった。経営に関わる人ほど不安感が強かった。

 男女別では、男性(n=630)では「非常に不安」が34.1%、「やや不安」が48.6%だったのに対し、女性(n=532)では「非常に不安」が22.7%、「やや不安」が54.3%で、男性の方がより不安感が強かった。

 このほか地域別に見ると、北海道、山形県、福島県、栃木県、山梨県、岡山県、大分県で「非常に不安」が4割を超えていた。なお都市部では、東京都が30.8%、大阪府が25.0%だった。

 同調査では、現在抱えている不安とともに、2025年頃に調剤薬局をめぐる経営環境、社会環境がどうなっていると予想しているか、そのとき自身はどのような仕事をしていると思うかを、具体的に記述してもらった。

 この記事では、編集部の取材に応じてくれた薬剤師の声や、現場の薬剤師と経営者のホンネを年代別に紹介する。

2025年

社会保障費の急増を抑えるために、OTC薬の利用による自己管理や疾病予防の取り組みが促進されると思う。だから薬局に対するニーズは高まり、薬局薬剤師は増加し、レベルアップが図られると思う。

(東京都、製薬企業勤務、女性)

2025年

医療費抑制のために、自費でサービスを頼まなければならなくなっているかもしれない。お金を払う価値のあるサービスを提供できるかどうかがカギになっていると思う。

(神奈川県、診療所門前・個人経営薬局勤務、女性)

現状

これまで医薬分業は形としては進んできたが、現状で、本当の意味での医薬分業ができているかどうか不安に思う。世間から意味がないと判断されれば、また院内処方に戻ることもあるのではないかと思っている。その意味で、世間からあまり必要とされていない感がある。

(神奈川県、診療所門前・大規模チェーン薬局勤務、女性)

薬剤師は「薬全般の専門家」であるのは当たり前のこととされていますが、これからは医師と同じ目線からの患者へのアプローチが必要とされ、その知識が今後の薬剤師の差別化につながると思われます。現在、「◯◯認定薬剤師」などもありますが、これからは「◯◯専門薬剤師」などの資格も増えて、より薬剤師として研鑽できると思います。

(神奈川県、病院門前・中規模チェーン薬局勤務)

2025年

医療の中心が在宅になっていると考えられるので、在宅の点数が大幅に引き上げられ、在宅メーンの大規模なチェーン薬局や医療拠点ができていると思う。一方で、調剤報酬は下がっていき、調剤だけを行う薬局は減っていくだろう。薬局が薬を渡すところというだけでなく、ヘルパーステーションなどと合体した複合施設になれば、在宅を手掛ける医師を主体として地域に根差した医療ができるのではないか。

(静岡県、医薬品卸勤務、女性)

現状

現在、チェーン薬局に勤務しているが、勤務体系上、他店への異動がないまま管理職になっている。社長は薬剤師ではなく、時勢を見て薬局経営から離れる可能性もあり、薬局が続くか不安。

(愛知県、診療所門前・中規模チェーン薬局薬局長、男性)

2025年

将来、薬剤師という職業が続いているのか疑問に思う。今の調剤中心の薬局の形態もなくなっているのではないか。

(愛知県、診療所門前・大規模チェーン薬局勤務、女性)

2025年

大手による薬局の集約化が進んでいるだろう。本当に求められるサービスのみが選別されるようになる。調剤・配達・服薬指導などもメーンメニューとオプションというような形で細かい料金体系ができる可能性もあると思う。(愛媛県、病院勤務)

2025年

本当に必要とされる薬剤師の質が高くなり、知識や技術のレベルが低い薬剤師は仕事からあぶれているのではないか。

(岡山県、病院門前・大規模チェーン薬局勤務、女性)

現状

大学病院や大病院の薬剤師と、地方の中小病院の薬剤師で、仕事内容に格差がありすぎる。地方の中小病院には実習生もあまり来ない。(京都府、病院勤務、男性)

現状

患者さんにとって、(院内処方の時代と比較して)今のように時間とお金をかけて薬局を利用することは、本当にメリットのあることなのか悩ましい。患者さんから、医療機関から、社会から、必要とされているのだろうか。薬の情報もネットで調べることができる時代に、薬剤師に求められているものは何だろうかと考えてしまう。

(鹿児島県、病院門前・中規模チェーン薬局薬局長、男性)

2025年

今後、薬剤師が飽和する時代になるといわれていて、将来、転職しようとした時に転職先が見つかるか不安です。一方で、日常診療において治療法は多岐にわたるようになっており、医師の処方で理解できないことが増えていくのではないかと感じています。

(愛知県、病院勤務、女性)

現状

薬学部の増加に伴い、薬剤師数が増える中で、単に経験年数を重ねるだけになっていることに不安を感じる。必要とされる専門性をどのように身につけていけばいいのか、キャリアアップの方法が分からない。(広島県、病院勤務、女性)

2025年

高齢者介護施設の調剤に特化した調剤薬局や、在宅専門の調剤薬局ができて、外来調剤専門と在宅調剤専門の二極化が起こるのではないかと思う。

(埼玉県、診療所門前・小規模法人経営薬局管理薬剤師、男性)

私はいわゆるパパママ薬局の娘で、大学卒業後は、個人の薬局で“修業”した後、実家に入ったので、病院薬剤師やMRの経験はなく、他の薬局のことはほとんど分かりません。でも、幼い頃から父や母が地域の人の健康の相談に乗ったり、その人に合うOTC薬を薦めているのを見てきました。私も「何か困ったらあの薬局」と頼られる店にしたいと思います。店格(雰囲気の良い店)、品格(良質かつ安全で顧客ニーズに合った品ぞろえ)、人格(親切で丁寧な対応ができる店員)──がそろった薬局が理想です。自分の目の届く範囲でやりたいので、店舗の拡大は考えていません。今後、調剤報酬は下がり、経営はより厳しくなると思いますが、それほど不安は感じていません。私の祖母は、かつてOTC薬や保険調剤以外に、ベビー用品や手芸用品など時代に合った商品も販売していました。私は今後どうしたいのか、まだ模索している段階ですが、漢方相談は必ずやりたいと思っています。(個人経営薬局勤務、女性)

現状

薬剤師に求められる知識や技術のレベルが、徐々に高く、多方面にわたるようになってきたと思う。しかし現場は、以前のままで何とかやっていこうとする既成概念が抜けていない。そこから脱却しようとしても、パワーとエネルギーが圧倒的に足りない状況に不安を感じる。

(愛知県、病院門前・中規模チェーン薬局薬局長、男性)

現状

薬剤師の業務内容が、患者に理解されないまま現在に至っている。患者が調剤報酬の仕組みを知ってしまったら、必ず「削減しろ」という声が出てくるだろう。薬剤師不要論が起きても仕方がないほど、今までの薬剤師集団は何もしてこなかったと思う。

(青森県、診療所門前・小規模法人経営薬局勤務、男性)

現状

薬剤師としての責任は増えるのに、世間の評価と一致せず、本当に仕事をする甲斐があるのか分からなくなる。必要な仕事の内容を勉強する時間がないのに、必要な仕事が増えていく。

(兵庫県、病院門前・個人経営薬局管理薬剤師、女性)

2025年

病気の予防がより重要視されるようになるだろう。薬を使わない処方提案などの取り組みが評価され、技術料として算定され始めるかもしれない。

(大阪府、病院勤務、男性)

現在、薬局は地域医療計画の中で医療提供施設に位置付けられており、その地域にどれだけ貢献できるかが問われている。だから、窓口業務での服薬支援を介した「地域住民のQOL向上」を実践していくことが一番大事。処方解析に基づく適切な服薬支援や、コンプライアンスの向上といった窓口業務をおろそかにして、在宅医療などを通じた地域密着型のヘルスケアができるとは思えない。今、薬剤師に対して逆風が強いのは、これまですべきことをやってこなかったから。基本に立ち返って、窓口業務の不足を補うことが、10年先も生き残っている薬剤師の基本的な条件だと思う。

(クオール株式会社[東京都港区]九州事業部事業部長 堀淵浩二氏)

現状

地方に異動して感じますが、薬剤師免許があるだけで安心し、日々の勉強を怠り、知識・技能レベルが驚くほど低い人が多いです(私の方が年下なので、注意もできません)。こんな状態では、「薬剤師は錠剤を数えるだけなのに高給を取っている。機械化が進めば要らなくなる職業」と言われても仕方ないと思います。

(山梨県、病院勤務、女性)

調剤薬局のパート勤務、7年目です。経営者は薬剤師不足を事務員で補うことで満足しているようです。薬剤師だけでなく事務員も入れ替わりが激しいので、仕事全体のレベルが上がらないどころか、下がっています。患者さんに安全にお薬を渡すという基本的なことすらできていないように感じます。個人経営の薬局には若い人材がなかなか入らず、社員が高齢化していきます。一方で高齢の患者さんが増加しており、いずれは“老々介護”という言葉と同じように、“老々調剤”という状況になるかもしれません。

(広島県、病院門前・個人経営薬局勤務、女性)

日本プライマリ・ケア連合学会が認定する「プライマリ・ケア認定薬剤師」の資格を取得しました。まだ日本で十数人しかいないこの資格を取得したのは、当薬局のような北海道の僻地で地域に貢献するために役立つと考えたからです。薬局の薬剤師は、目の前の調剤業務を効率的に済ますことにとらわれがちで、自分のために仕事をするようになってしまう。そうではなく、もう1歩進んだ薬剤師業務を実践するには、こうした取得の資格も活動の幅を広げることにつながると思っています。

(寿都そよかぜ薬局、株式会社ミレニアムファーマ[北海道寿都町]代表取締役 田村英俊氏)

独立開業して21年間で4店舗を開設した。次の20年間は、地域の先頭を走りきれる薬局(多くの薬剤師がここで勤務したいと思い、多くの患者さんがここで薬をもらいたいと思う薬局)を出店し、軌道に乗せ、自分の薬剤師としてのキャリアの締めくくりにしたいと考えている。

(埼玉県、診療所門前・個人経営薬局経営者、男性)

2025年

今後、経営が成り立たなくなったら転職するしかない。仕事量は増え続け、報酬は減り続ける。今より安い給料で働いてくれる有能な薬剤師を確保できなければ、薬局はやっていけない。

(鹿児島県、病院門前・小規模法人経営薬局経営者、男性)

将来に不安を抱える薬剤師が多いと聞きますが、それは目的意識がないからだと思います。私は地元の患者さんを元気にしたいという思いから、20代の頃から積極的に在宅医療に関わってきたし、目標がはっきりしていました。今の若手にも、患者の課題を発見して、自身が持つスキルをどう生かすかをテーマに指導するよう心掛けています。こうした課題発見と解決方法の提案ができる能力は、大手薬局チェーンのエリアマネジャーになる際にも必ず求められます。

(株式会社ぼうしや薬局[兵庫県姫路市]執行役員 安田幸一氏)

2025年

調剤専門薬局(あえて「調剤薬局」と呼ばない)は成り立たないようになっているだろう。大病院の門前薬局もメリットがなくなり、各病院当たり1~2軒の適正数に減る。そうした状況下で変身し生き残った薬局こそ「理想の薬局」である。大病院の門前薬局は、病院に入り込んで通院患者、入院患者の在宅への移行に積極的に関わるだけでなく、地域のかかりつけ薬局とも連携する必要がある。

(京都府、製薬企業勤務、男性)

現状

期待されていること、求められていること、実際の業務、業務に対する対価、個人の意識の持ち方などが、とてもちぐはぐな感じがする。薬剤師って何なのか、よく分からなくなってきた。

(東京都、診療所門前・個人経営薬局勤務、女性)

2025年

超高齢化社会では、受付から、受診、投薬、会計が一度で済むシステムが最適だと思う。院外処方のメリットである複数受診に伴う薬の相互作用などのチェックは、電子化によって解決できると思う。

(大阪府、診療所門前・中規模チェーン薬局管理薬剤師)

当薬局のポリシーは「親身な相談」で、患者さんにじっくりと説明を聞いてもらえるよう、10人以上の薬剤師が働き、時間をかけて詳細な服薬指導を実践しています。最近は処方箋なしの相談も増えていて、セルフメディケーションを支援するかかりつけ薬局として運営するために、OTC薬はもちろん、薬局製剤も製造販売しています。また、在宅訪問することで、患者さんが薬を正しく服用できるようになり、その結果として血液データや症状の改善に貢献できることは薬剤師としての大きな喜びです。公民館などで高齢者に講演することも多いですが、そのときの参加者の反響もとても励みになります。学生実習で、指導した学生たちから「この道を選んで良かった」と言われることも……。薬剤師冥利に尽きます。薬剤師としてやるべきことは山ほどあり、10年後、15年後も、もちろん薬剤師として社会に関わっていると思います。薬剤師という仕事が大好きですから。

(まい薬局富士見店[埼玉県富士見市]店長 平野道夫氏)

現在、病院薬剤師は、国の方針である病棟常駐によるチーム医療の推進に邁進している。一方、薬局薬剤師は、同じく国の方針である在宅医療に対し、あまりに消極的である。やらずぼったくりの服薬指導も同様である。このままでは、在宅は他職種に、服薬指導は大手薬局の登録販売員が担い、薬局薬剤師は調剤室で調剤だけすることになるだろう。そんな将来が予想されるのに、薬剤師にはあまりに危機感がない。できない理由ばかり探している。「天は自ら助くる者を助く」である。

(香川県、病院勤務、男性)

現状

薬剤師に医療職としての自覚、医療人としてのマインドが不足していると思う。薬学部は、医療人としての薬剤師を育てる教育ができていない。営利目的、効率重視の企業方針の中で、「なりたい薬剤師」への研修受講にブレーキが掛けられている。企業の中には、給与の高い薬剤師を雇わなければならない第1類医薬品の取り扱いをやめ、登録販売者だけで販売可能な第2類、第3類医薬品だけを扱うということを平気で行うところもある。これでは医療職の仲間として認めてもらえず、患者、他の職種からの尊敬も得られない。そんな薬剤師には未来はない。

(埼玉県、大学・教育・研究機関勤務、男性)

2025年

今の時代、10年以上も先のことを予測するのは困難です。国の経済、政権政党の考え方一つで一変しますから。でも、現実に存在する団塊高齢者は、必ず薬剤師を必要とします。ネット環境の整備によって「知識としての情報の取得」は今より格段に容易になるでしょうけれど、その知識を現実の生活や健康に落とし込むことは、今でも薬剤師の仕事ですし、10年後も多分変わらないと思います。ただし、薬剤師が患者さんの心の状態や生活の背景にも迫ることができる能力を持つことが必要です。もし私が生きていれば、たとえ調剤ができなくても(その時代には調剤という行為はロボットがしているでしょうから)、患者さんとお話をしていることでしょう。薬サロンの主になっているかもしれません。楽しい夢です。

(滋賀県、個人経営薬局経営者、女性)

薬剤師の社会的地位が中途半端で、どうなるか将来が不安です。

(神奈川県、病院勤務、男性)

2025年

規制緩和によって薬局は必ずしも調剤室を持たなくてもよくなり、カウンターと薬剤師がいるだけの薬局ができるだろう。そうなるとコンビニ業界が一斉に調剤業務に進出してくると思う。

(大阪府、病院勤務、男性)

現状

薬局の必要性について、薬剤師と一般の人の考え方が大きく乖離していると思う。自分自身も、もっと世間にアピールするよう心掛けなければと思うが、後に続く若い薬剤師にはもっと表に出てほしい。

(鳥取県、診療所門前・個人経営薬局経営者、男性)

2025年

「後継者に仕事を任せ、悠々自適の生活を送っている」という予定だったが、今後、どうなるかは分からない……。

(千葉県、診療所門前・小規模法人経営薬局経営者、男性)

私が薬局を大手に売却した理由

元・富岡調剤薬局 代表取締役 伊丹 孝氏

─昨年、薬局の経営権を大手企業に譲渡されたそうですが。

 私が36年前に創業した「富岡調剤薬局」は、店舗数は7店舗、社員数40人の会社でした。3つの公立病院と4つの診療所の門前にそれぞれ店舗がありました。この会社の経営権を、昨年4月、薬局チェーンを傘下に持つメディカルシステムネットワークに譲渡しました。

 会社の経営自体はすごく順調でしたよ。年商11億円で粗利益が4億円ほどありましたから。サラリーマンでは手が届かないほどの年収も得ていましたが、そろそろ潮時かな、と。

 今、大手調剤チェーンの買収意欲はかなり旺盛で、バブルの様相を呈しています。しかし、これから調剤報酬がどんどん下がっていきますし、消費税が8%に引き上げられたら収益力も鈍る。買い手も慎重になって、売値も加速度的に下がっていくでしょう。私は今年63歳になりますが、自分の息子は会社を継ぐ気がなかったですし、社員のことを考えると、今のうちに大手に売却するのが一番いいと考えて決断しました。

─経営を続ける上で、限界を感じておられたのですか。

 最大の問題は人材不足です。若い薬剤師は大手志向で、わざわざ大学を出たのに、うちのような小さい会社になんか入ってくれません。私の姪っ子だって来てくれないんだから。

 そこで薬剤師を中途採用しましたが、そういう人はミスが多くて困りました。自分が病院へ謝りに行ったことも何度もあります。投薬ミスで訴訟を起こされないかと、心配の種が尽きなかった。人材を安定的に確保して事業を継続していくことに難しさを感じていたのです。人材がいなければ、行政が薬局に求めている在宅医療なども手掛けることができませんし、シフトがぎりぎりで研修すらできません。

 結局、規模が小さい薬局はこれから生き残れなくなります。私にも旧知の薬局経営者がいて、その多くが町の商店街などで薬局を経営していましたが、ドラッグストアや大手薬局チェーンの攻勢に遭って、みんな店をたたんでしまいました。

経営権の譲渡交渉が成立し、メディカルシステムネットワークの関係者と握手を交わす伊丹氏。

─今の事業環境は長く続かない、と。

 薬局は今後、集約化・大規模化が進むと思います。特に今、コンビニエンスストアがこの業界を虎視眈々と狙っていますよ。消費者の利便性や流通合理化で世界一を誇る日本のコンビニ業界が手を出し始めたら、既存の薬局なんてひとたまりもない。

 私は運良く時代の流れに乗って、効率のいい経営ができました。私の能力でここまでもうけられたのは、この業界だったからでしょうね。自分が言うのも何ですが、薬局は医療保険制度の下で暴利を貪ってきたと思います。それがたたかれる状況になってきた。個人経営の店で、誰もが、これだけもうけられた時代は終わります。

 今後、事業環境が悪くなると、薬局の売却も簡単にできなくなります。それでも地域の薬局として細々と経営できるかもしれませんが、社員に苦労をかけ、心労を重ねて耐え忍ぶ経営など、私はしたくありませんでした。うちの元社員も上場企業の一員になり、待遇も良くなって生き生きと働いているようです。決断して良かったですよ。

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