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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)ネオーラル服用患者へのスタチンの処方
日経DI2013年5月号

2013/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年5月号 No.187

出題と解答 : 笹川 大介
(はらだ薬局[鹿児島県薩摩川内市])

A1

(3)ローコール(一般名フルバスタチンナトリウム)

 間質性肺炎は、肺胞を取り囲んでいる間質と呼ばれる組織が炎症を起こし、線維化することで、呼吸をしてもガス交換が行いにくくなる病気である。原因は、膠原病(自己免疫疾患)、ほこりやカビなどの慢性的な吸入、薬剤の服用、ウイルス感染など様々で、原因が特定できないことも少なくない。

 治療にはステロイドや免疫抑制剤が用いられることが多い。Nさんにもプレドニゾロン(商品名プレドニン他)と免疫抑制剤のシクロスポリン(ネオーラル他)が処方されている。シクロスポリンは、臓器移植による拒絶反応の抑制やベーチェット病、尋常性乾癬などに用いられるほか、間質性肺炎に対してもよく適応外処方される。

 今回、医師より、NさんのLDLコレステロール(LDL-C)値が高いため、スタチンを処方したいと相談があった。しかし、シクロスポリンの添付文書では、ピタバスタチンカルシウム(リバロ)やロスバスタチンカルシウム(クレストール)は併用禁忌になっている。これらとシクロスポリンを併用すると、スタチンの血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加したり、横紋筋融解症などの重篤な副作用が発現する恐れがあるためである。

 また、同添付文書では、その他のスタチンに関しても、両者の併用によりスタチンの血中濃度が上昇し、筋肉痛やクレアチンキナーゼの上昇、血中・尿中ミオグロビンの上昇などを特徴とした急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症が起こりやすいため、併用注意としている。

 原因は、スタチンには肝臓の薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)で代謝されるものが多く、ネオーラルもCYP3A4で代謝を受けるためと考えられる。加えて、肝細胞の薬物トランスポーター(OATP:organic anion transporting polypeptide)を阻害するというシクロスポリンの作用が副作用に関与している可能性も指摘されている。

 医師にこのような相談を受けた場合、イコサペント酸エチル(エパデール他)など、スタチン以外の脂質異常症治療薬を提案する選択肢もあるが、スタチンと比較すると、これらの薬剤のLDL-C低下作用はそれほど強くない。そのため、スタチンの中でも、比較的安全なものを選んで薦めるのがよいと考えられる。

 スタチンとシクロスポリンの併用に関しては、ALERT Extension試験の結果が参考になる。同試験は、腎移植患者におけるスタチン療法による心血管疾患の予防効果を検討したもので、フルバスタチンナトリウム(ローコール)が、腎移植患者の心血管イベントの発症を有意(プラセボ比21%)に減少させることを証明した。この試験ではフルバスタチンナトリウムとシクロスポリンを併用したが、臨床上有意な相互作用を示さず、これら2剤による副作用は報告されなかった。

 この知見から、シクロスポリン投与中にLDL-C高値を示し、スタチンを使用しなければならない場合には、フルバスタチンナトリウムの投与を勧めるのが比較的安全と考えられる。

 ただし、フルバスタチンナトリウムの添付文書では、シクロスポリンは併用注意とされているため、副作用のモニタリングを念入りに行うよう医師に伝える必要がある。薬局でも、患者に対し、筋肉痛や脱力感、ミオグロビン尿による赤褐色の尿などの横紋筋融解症の初期症状などを伝えておくことが重大な副作用の回避につながると考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 ネオーラルと併用しても比較的安全なスタチンとしては、ローコールが挙げられます。添付文書では、併用注意となっていますが、同薬とシクロスポリンを併用した臨床試験で、臨床上有意な相互作用を認めず、これら2剤による副作用が報告されなかったという知見があるからです。

 ただ、副作用が出るリスクは否定できませんので、経過に十分な注意が必要です。服用方法や副作用については、薬局でもしっかり説明させていただきます。

 ローコールには10mg、20mg、30mgの規格があります。また、後発医薬品もありますので、処方の際の参考にしていただければと思います。

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