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OTCセレクトガイド
脱毛・頭皮湿疹
日経DI2013年5月号

2013/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年5月号 No.187

講師 三上 彰貴子
Mikami Akiko
株式会社A.M.C 代表取締役社長
製薬会社勤務後、経営学修士(MBA)を取得。コンサルティング会社勤務を経て2005年より現職。医療分野のコンサルティングなどを行う傍ら、OTC薬に関する寄稿や講師としての活動も行う。薬剤師。

 頭皮のトラブルで多いのが、薄毛や脱毛(抜け毛)、白髪、痒みやフケなどである。これらのうち、本稿では、製品数が多く存在し、購入する患者も多い脱毛、頭皮湿疹の一般用医薬品(OTC薬)を取り上げる。

 脱毛は、その原因から男性型脱毛症、脂漏性脱毛症、円形脱毛症、老人性脱毛症、分娩期脱毛症、内分泌系の疾患による脱毛症、感染による脱毛症、薬剤性脱毛症、そのほか生活習慣による脱毛症に分けられる。生活習慣による脱毛症には、過度なダイエットや脂質異常症、喫煙などによる栄養、血行障害などがある。

 男性型脱毛症は、AGA(androgenetic alopecia)とも呼ばれ、額がM字型に禿げ上がったり、頭頂部から脱毛が見られるのが特徴である。若年性(20~30代)と壮年性(40~50代)に区分されるが、遺伝や男性ホルモンによる影響で髪の成長サイクルの休止期が長くなり薄毛となる。

 脂漏性脱毛症は、汗や皮脂の過剰分泌により、毛穴がつまったり、炎症や感染が起きたりして、頭髪が抜けやすくなるのが原因である。

 円形脱毛症は、ストレスが原因ともいわれるが、原因不明なことが多い。最近は、遺伝子が関係しているとの研究もあり、遺伝子検査で調べることもできる。

 老人性脱毛症は、加齢による毛包の衰えで髪が細く薄くなることを指す。

 分娩期脱毛症は、出産前後のホルモンの変化やストレスが原因で、一時的に生じるものである。一般に、授乳をやめると改善するといわれている。

 感染による脱毛では、頭皮の感染もあるが、梅毒による第2期の症状として脱毛が不均一に起こることもある。そのほか、甲状腺ホルモンの異常で起こる内分泌型や、膠原病性のものもある。

 OTC薬の対象となるのは、壮年性脱毛症や脂漏性脱毛症で、毛母細胞の細胞分裂を促すための血流改善や栄養補給、頭皮を健やかにする成分が使われている。

 一方、頭皮湿疹は髪の生え際に多く見られ、痒みやフケが主な症状である。原因には、乾燥と脂漏性皮膚炎がある。

 乾燥は、洗髪のし過ぎやアトピー性皮膚炎によって起こることが多い。

 一方、脂漏性皮膚炎は、真菌のマラセチアが繁殖して皮膚に炎症を起こした状態を指す。湿ったフケが出やすくなり、痒みで頭皮を強く掻くと、かさぶたができる。皮脂の分泌が増え、菌が繁殖しやすい夏場になることが多い。

 治療には、痒みや赤みなどの炎症を抑えるために、ステロイドや抗真菌薬を配合した外用薬が使われる。

この成分に注目

発毛・育毛成分

 アデノシンは、毛乳頭の発毛因子である線維芽細胞成長因子(FGF7)に直接作用し、発毛を促進するとともに、成長期を延長させて太い毛に育てる。血行促進効果もある。

血管拡張成分

 ミノキシジルは、毛包に直接作用し、スルホニル尿素受容体を活性化させ、ATP感受性Kチャネルを開放する。それにより、毛包組織の血流を改善する。また、毛乳頭細胞の増殖作用、毛母細胞のアポトーシス抑制作用ももたらす。毛の成長を促進する成分には、カルプロニウム塩化物、セファランチン、センブリエキス、酢酸トコフェロール、ニンジンエキス、ニコチン酸アミドもある。

細胞賦活成分

 TCA回路を介し毛包にエネルギーを供給し、毛乳頭細胞を活性化し、毛周期の休止期から成長期への移行を促進する。

 ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアデニン、チクセツニンジン、パントテニールアルコール、パントテニールエチルエーテル、ビオチンなど。

細胞増殖促進成分

 t-フラバノンは、毛母細胞の増殖を抑制する脱毛シグナル(TGFβ)を阻害して毛母細胞の成長を促す。皮膚と毛髪の接着促進作用もある。

核酸系アミン化合物

 サイトプリン(6-ベンジルアミノプリン)は、髪に必要な蛋白質(BMPとエフリン)の生成を促し、成長期毛の発毛促進シグナルを増幅させる。また、TGFβ抑制による毛の成長促進作用を持つ。

殺菌成分

 頭皮を殺菌し、清潔に保つ。ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、オクトピロックスなど。

抗炎症成分

 頭皮の炎症を抑える。プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、グリチルレチン酸、β-グリチルレチン酸など。

栄養成分

 パントテン酸カルシウム、N-アセチル-L-メチオニン、イノシトール、セリン、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンAなど。

製品セレクト

 脱毛や薄毛で悩む男性に薦めたいのがリアップX5(大正製薬)である。

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 発毛・育毛成分のミノキシジルを5%配合しており、1日2回、1回1mLを脱毛部分に塗布する。

 使い方としては、まず、本体を立てた状態でキャップを外し、ノズルの先端部分を頭皮に押し当てて離しながら塗布する。1回押し当てると1mLが出てくるように設計されている。

 多量、あるいは頻回に使用しても効果はほとんど変わらないだけでなく、副作用の発現する可能性が高くなるため、販売時には、決められた用法・用量を守るよう指導する。

 毛髪が成長するには時間がかかること、臨床試験で使用効果が分かるまでに4カ月かかったことから、販売時には少なくとも4カ月間、毎日使用するよう伝える。同製品は壮年性脱毛症の原因を取り除くものではなく、使用を中止すると徐々に元に戻るため、継続して使用することが重要である。

 なお、高血圧や低血圧、心臓病や腎機能に障害がある人は、循環器系の副作用が懸念されるため、使用前に医師に相談するよう促す。

 頭皮の血流を改善して育毛し、フケ、痒みを防ぐ製品には、NFカロヤンガッシュ(第一三共ヘルスケア)がある。

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 1回2mLを1日に朝夕2回、清潔にした頭皮に擦り込み、軽くマッサージする。患部の状態に応じて2mLで多い場合は、適宜減量する。

 血管を拡張して発毛を促進させるカルプロニウム塩化物水和物、皮脂量を少なくして脱毛を防ぐカシュウチンキ、毛母細胞を活性化して発毛を促進するチクセツニンジンチンキのほか、殺菌作用があり、フケや痒みに効くヒノキチオール、パントテン酸の誘導体で頭皮の栄養成分であるパントテニオールエチルエーテルを配合している。 一方、頭皮湿疹の患者に薦めたいのが、メンソレータムメディクイックH(ロート製薬)である。

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 抗炎症成分プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、鎮痒成分のクロタミトン、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールなどを配合している。

 スプレー剤なので、手を汚さずに患部に直接塗布でき、べたつかない。

 1日数回、適量を患部に塗布するが、一度に大量に塗っても効果が上がるものではないため、少量ずつこまめに塗るよう指導する。症状が治まってきたら、使用回数を徐々に減らすように伝える。

こんな製品も

 女性で、前頭部から頭頂部にかけて毛髪が減少し、分け目が目立つようになった患者にお薦めなのが、ミノキシジルが1%配合された、第1類医薬品の(a)リアップリジェンヌ(大正製薬)である。ミノキシジル5%のリアップX5は、女性に対する安全性が確立されていないため、女性には同製品を薦める。メーカーによると、1回1mLを1日2回、6カ月間毎日使うのが効果的だという。

 栄養成分のパントテニールエチルエーテル、痒みやフケの原因になる皮脂の酸化を防ぐトコフェロール酢酸エステルなども配合している。

 脱毛に対する製品には、医薬部外品もある。医薬品に比べて経済的であり、予防のため、若年のうちから毎日使いたいという患者にはお薦めである。

 中でも、毛根に直接作用して、毛を太くすることに着目したのが、「サクセス」ブランドの(b)花王バイタルチャージ薬用育毛剤(花王)である。細胞増殖促進成分のt-フラバンを配合しており、適量(2ml程度)を頭皮に付けてマッサージする。薬液が垂れにくく、頭皮にしっかり付着するのが特徴である。

 (c)S-AXエッセンス(資生堂)は、「薬用アデノゲン」とパッケージでうたっているように、毛乳頭でFGF7を作り出し、血行を促進するアデノシンを配合している。

 (d)モウガ育毛剤C-a(バスクリン)は、生薬成分のホコウエイ根(モウコタンポポの根)エキスを配合している。毛包を構成する蛋白質の発現を増加させ、発毛を促進しながら、毛髪を強くする。このほか、血行促進作用や育毛作用のあるセンブリ、ニンジン、ボタンピエキス、ショウキョウチンキも配合している。使い方としては、1日1回約10プッシュを頭皮にスプレーする。

 薄毛、脱毛に対しては、医薬品や医薬部外品を使用するだけでなく、洗髪時の頭皮マッサージも薦めたい。

 (e)サクセスVペアもみマッサージ(花王)は、洗髪の際、両手にはめてマッサージをする器具である。手の動きに合わせて頭皮にピタッとフィットする。

 一方、頭皮湿疹の患者で、軟膏やクリームを好む患者には、(f)ラブトッピ(ゼリア新薬)を薦めるとよい。資生堂と技術開発した剤形で、パウダークリームのようなさらさらした塗り心地である。ステロイドは配合されていないが、ジフェンヒドラミン、グリチルリチン酸二カリウム、ビタミンE酢酸エステル、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、酸化亜鉛を配合している。

 1日数回、適量を患部に塗布する。強く擦り込まず、指先で軽く塗布する。

 また、頭皮湿疹の患者には、抗真菌成分のミコナゾール塩酸塩と抗酸化・抗菌成分のオクトピロックスを配合した(g)コラージュフルフルネクストシャンプー(持田ヘルスケア)も併せて薦めるとよい。頭皮が乾燥しやすい人向けと、頭皮が脂っぽい人向けの2タイプがある。

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患者へのアドバイス

受診勧奨

 OTC薬の適応範囲外の先天性の無毛症や脱毛症、円形脱毛症、感染症による脱毛、薬剤性脱毛症では、皮膚科の受診を勧める。

 また、代謝異常や内分泌異常、膠原病など全身性疾患に随伴する脱毛症の場合は、内科または皮膚科の受診を勧める。

副作用

 いずれの製品も塗布した部分の痒みが強くなったり、赤くただれた場合には、接触皮膚炎の可能性があるため、使用を中止し、皮膚科を受診する。

その他

 健康な毛髪の生成には、十分な血流や栄養、頭皮の清潔さなどが必要である。生活のバランスが崩れると、これらが妨げられ、薄毛に至る。

 特に過度なダイエットや喫煙、飲酒、ストレスは、毛包の血流減少や栄養不足を招くので、販売時にはこうした点も指導することが重要である。

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