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医師が語る 処方箋の裏側
糖尿病の患者にコレバインを追加した理由
日経DI2013年5月号

2013/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年5月号 No.187

 「先生、糖尿病の悪化が心配とおっしゃるのに、どうしてコレステロールを下げる薬を追加するのですか」

 2型糖尿病と脂質異常症の治療で当院に通院していた鈴木和男さん(仮名、47歳)は、私が新しく追加した薬の内容を聞いて不思議そうに尋ねた。

 鈴木さんはこれまでメトホルミン塩酸塩(商品名メトグルコ)とプラバスタチンナトリウム(メバロチン)を服用しており、LDLコレステロール(LDL-C)値は138mg/dLで比較的安定していたが、HbA1c値が8.1%と、最近やや上昇傾向にあった。

 そこで私が追加した薬が、コレスチミド(コレバインミニ83%)である。同薬はコレステロールから作られる胆汁酸を吸着して糞便中に排泄、または食事中のコレステロールを直接吸着する作用により、血中コレステロール値を低下させる。

 もっとも、LDL-C低下作用はスタチンには及ばない。しかし、同薬にはHbA1c低下作用が認められており、近年見直されつつある。私が使用した範囲でも、HbA1c値を1ポイント近く低下させる実感だ。米国ではコレスチミドの同系薬であるColesevelam(国内未承認)が糖尿病治療薬としての適応を取得している。

 コレスチミドがHbA1c値を低下させるメカニズムは、詳しくは判明していない。糖代謝やエネルギー代謝を活性化させたり、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)の分泌を増加させるなどの作用が実験的に報告されている。鈴木さんのHbA1c値は3カ月後に7.2%まで下がり、LDL-Cも120mg/dLに低下した。

 同薬は多めの水で服用する必要がある。副作用として便秘が起こりやすく、その点で女性にはやや処方しにくい。他の薬剤を吸着する作用もあるので、その作用が減弱していないか、各種の検査でモニタリングすることが重要だ。(談)

小田 清氏
Oda Kiyoshi
小田内科クリニック(広島市安佐北区)院長。1986年広島大学医学部卒業。中国労災病院(広島県呉市)代謝内分泌科部長、広島市立安佐市民病院内科部長などを経て、2010年から現職。肝機能や腎機能、甲状腺ホルモン値の検査を院内で行える体制を整備している。

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