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医師が語る 処方箋の裏側
「片頭痛+月経痛」には鎮痛薬より低用量ピル
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

 月経が始まる2~3日前から、悪心や嘔吐を伴う頭痛に襲われるという若林茜さん(仮名、24歳)。月経痛もひどく、一般用医薬品(OTC薬)や近くの婦人科で処方された鎮痛薬も無効。「仕事に支障を来すようになった」と、困り果てて当院を受診した。

 症状と出現時期から、若林さんの頭痛が「月経関連片頭痛」であり、機能性月経困難症を合併していると診断。まず、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)と芍薬甘草湯を2週間分処方し、月経予定日の1週間前から服用するよう指導した。だが1カ月ほど経過しても、効果不十分だった。そこで、機能性月経困難症に保険適用されているノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合製剤(商品名ルナベル配合錠)を処方。すると、翌月から片頭痛は起こらなくなり、月経痛も著明に改善した。

 低用量ピルは、脳卒中のリスクが増すとの報告があるため、「前兆を伴う片頭痛」に対しては投与禁忌である。「前兆」とは、ギザギザの光が見えて目の前が真っ暗になる閃輝暗点のことであり、悪心や嘔吐、光過敏といった「予兆」とは異なる。

 若林さんの片頭痛は前兆のないタイプであり、喫煙や肥満などの血栓症のリスク因子もなかったため、ピルの使用は問題ないと判断した。ほとんどの月経関連片頭痛は、前兆のないタイプといわれている。詳しい機序は不明だが、エストロゲンの変動が月経関連片頭痛の発症に関与していることが示唆されており、一相性ピルは理にかなった治療法といえる。

 なお、速効型のトリプタン製剤は、数日単位で症状が続く月経関連片頭痛の治療にはあまり向かないと考えている。服薬頻度が増え、薬物乱用頭痛を引き起こしかねないからだ。漢方薬やピルが無効の場合は、半減期が最も長いナラトリプタン(アマージ)を選択している。(談)

牧田 和也氏
Makita Kazuya
牧田産婦人科医院(埼玉県新座市)院長。1987年関西医科大学卒。慶應義塾大学産婦人科学教室、東京電力病院(新宿区)などを経て、2008年から現職。05年から慶應大学非常勤講師も兼務。日本産科婦人科学会専門医、日本頭痛学会専門医。医院では分娩を取り扱うほか、更年期医療に力を入れている。

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