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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A) 顆粒を錠剤に変えたいと希望するメニエール病患者
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

出題と解答 : 後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院薬剤部)

A1

アデホスコーワ顆粒10%にはメニエール病の適応があるが、アデホスコーワ腸溶錠には適応がないので、基本的には変更できない。

A2

浸透圧利尿薬のイソソルビド(商品名イソバイドシロップ70%他)は、長期にわたる連用が必要とされているため、めまい発作が落ち着いても服用を継続するよう指導する。

 メニエール病は、難聴、耳鳴り、耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい発作を繰り返す疾患で、その病態は内耳膜迷路の内リンパ水腫とされる。30代後半から40代前半の女性に多く見られる。

 めまいの症状は一般に、特別の誘因なく発生し、嘔気・嘔吐を伴うことが多く、持続時間は10分程度から数時間程度まで様々である。めまいは、ぐるぐる目が回る感覚の回転性であることが多いが、ふわふわとした感じがする浮動性のめまいを訴える症例もある。また、めまい発作を伴わない聴覚症状のみの非定型例もある。

 メニエール病の治療は、めまいが起こっている発作期はめまいの鎮静化と難聴対策に、発作後の間歇期は発作予防と難聴進行の予防に重点が置かれる。

 発作期には、主に抗めまい薬や制吐薬、抗不安薬などが用いられる。一方、間歇期には内リンパ水腫軽減を目的としてイソソルビド(商品名イソバイドシロップ70%他)などの浸透圧利尿薬や、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(アデホスコーワ他)など内耳循環改善薬を併用することが多い。

 アデノシン三リン酸二ナトリウムはATP製剤である。ATPは、血管の拡張作用を有しており、臓器の血流を改善し、組織代謝を賦活化すると考えられている。国内では、1958年に注射薬として筋・神経疾患に対する適応が認められて以来、循環改善・代謝賦活薬として使用されてきた。64年以降は経口薬も使われている。

 Gさんに処方されているアデホスコーワには、腸溶錠(1錠当たりのATP水和物含有量が20mg、60mgの2規格)と、顆粒(1g中にATP水和物を100mg含有)の2つの剤形が発売されている。どちらの剤形も、頭部外傷後遺症、心不全、調節性眼精疲労、慢性胃炎の適応を持つが、「メニエール病および内耳障害に基づくめまい」の適応を持つのは顆粒だけである。

 これは、用量反応試験において、ATPとして150mg/日群と300mg/日群で比較した結果、300mg/日群の方が有意に症状の改善が見られたことによる。添付文書の用法・用量を見ると、頭部外傷後遺症などは「1回40~60mgを1日3回」となっているが、メニエール病および内耳障害に基づくめまいのみ「1回100mgを1日3回」と多くなっている。

 今回、Gさんは顆粒の味を好きになれないとして腸溶錠への変更を希望しているが、腸溶錠に比べて顆粒の方が有効成分が多く含まれていること、有効成分が多い方がメニエール病の症状を改善すること、腸溶錠にはメニエール病の適応がないことを説明し、顆粒の服用継続を勧める。

 なおアデホスコーワ顆粒も腸溶性であり、かみ砕いて服用すると胃酸で失活することにも留意する。

 また、メニエール病の病態が内リンパ水腫であることから、発作予防のために浸透圧利尿薬であるイソソルビドが多用される。同薬は長期連用が必要とされているため、医師がやめてもよいと判断するまで服用を継続するよう指導する。

 メニエール病の発症には、精神的・肉体的過労、睡眠不足、ストレスが関与するとされている。患者には、睡眠、休息の時間を取り、ストレスの軽減に努めるよう、アドバイスしておきたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Gさんがお調べになられた通り、アデホスコーワには顆粒のほかに錠剤もあります。顆粒も錠剤も、有効成分は同じですが、含まれる量が異なり、顆粒の方が有効成分が多いのです。有効成分の多い方が症状を改善する効果が高いことが分かっているので、メニエール病のお薬としては顆粒が出されます。これまで通り、顆粒のお薬を飲んでいただきたいのですが、いかがでしょうか。

 また、めまい発作を予防するためには、お薬を長期にわたって飲んでいただく必要があります。先生がやめてよいと判断されるまでは飲み続けてください。お忙しいとは思いますが、病気を治すためにも、睡眠の時間を十分取って、気分転換を心掛けてくださいね。

参考文献
『メニエール病診療ガイドライン2011年版』(厚生労働省難治性疾患克服研究事業 前庭機能異常に関する調査研究班[08~10年度]編)

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