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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A) 喘息治療薬でドーピング違反になるか
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(1)

A2

(3)、(4)

 競技能力を向上させることを目的とした薬物の使用をドーピングと呼ぶ。これはフェアプレー精神に欠けた行為であるだけでなく、選手に健康被害が出ることもあり、スポーツ界で大きな問題となっている。

 オリンピックなどの国際競技大会だけでなく、最近ではインターハイなど、国内での高校生のスポーツ大会でも一部の競技でドーピング検査が実施されるようになった。医薬品もその対象となっており、不注意によってそれらを摂取した場合であっても制裁を受けることになる。そうした「うっかりドーピング」を防ぐために、競技大会に出場する選手に対して、適切な服薬指導ができるようにしておきたい。

 ドーピングに該当する薬物の禁止規定は、世界ドーピング防止機構(World Anti-Doping Agency:WADA)が定めており、禁止薬物のリストである「禁止表国際基準」は毎年10月に更新され、翌年1月から12月まで適用となる。日本では日本ドーピング防止機構(JAPAN Anti-Doping Agency:JADA)が、検査やアンチ・ドーピング活動を担い、禁止表の日本語版を公表している。

 禁止表には、糖質コルチコイド(ステロイド)、赤血球新生刺激物質(エリスロポエチンなど)、β2刺激薬、抗エストロゲン薬、ドーピング隠蔽薬としての利尿薬、5α還元酵素阻害薬、興奮薬など多くの薬剤がリストアップされている。

 なお、ドーピングでよく耳にするステロイドは、経口使用、静脈内使用、筋肉内使用または経直腸使用が禁止されており、吸入使用は禁止されていない。

 今回の高校生が使用しているブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤(商品名シムビコートタービュヘイラー)は、長時間作用型β2刺激薬とステロイドの合剤である。β2刺激薬は光学異性体を含め、全て禁止薬物とされている。ただし例外規定があり、β2刺激薬のうちサルブタモール硫酸塩(24時間で最大1600μg。ベネトリンなど)、ホルモテロール(24時間で最大54μg。アトックなど)およびサルメテロールキシナホ酸塩(最大量の規定なし。セレベントなど)は、「製造販売会社によって推奨される治療法に従って吸入使用される場合は除く」と決められている。

 本薬剤におけるホルモテロールの1回吸入量は4.5μgである。従って、1日当たり12回まで吸入しても、ドーピング違反とはならない。なお、ホルモテロールは2012年までは1日最大量が36μg(8吸入)と規定されていたが、禁止表の改訂によって、13年から12吸入(54μg)に緩和された。これは、12年にシムビコートの最高用量が喘息治療の頓用吸入の適応追加を受け、最大1日12吸入とされたことを受けたものである。

 喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬には、ドーピング禁止薬物を含有する薬剤が多い。クレンブテロール(スピロペント)は蛋白同化作用もあり禁止薬物となっている。ブロカテロール(メプチン)は錠剤・吸入剤ともに禁止である。また、ホルモテロールも尿中で40ng/mLを超える場合は、治療を意図した使用とは見なされない。

 抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬は特に禁止薬物とはなっていない。しかし、花粉症などでよく使用されるベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(セレスタミン)は注意を要する。ステロイドのベタメタゾンを含有する経口薬なので禁止薬物に該当する。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 病気の治療や健康維持のために使う薬も、ドーピング違反になることがあります。たとえ競技能力を向上させる目的ではなかったとしても、選手資格や競技成績が取り消されることもあります。

 禁止薬物の基準は国際的に決められています。あなたが使っているシムビコートタービュヘイラーには、気管支拡張作用を持つβ2刺激薬という物質が含まれていて、これは禁止薬物に該当します。

 ただし、喘息の治療のために使う場合は、1日12吸入まで使えると決められていますので、それを超えない範囲で使用すれば大丈夫です。シングレア錠は飲んでも問題ないですよ。

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