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特集:患者情報の取り扱い、再チェック!
設備編 パーティションや個室完備で周りに見せない、聞かせない
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

 薬局内で患者の個人情報やプライバシーが漏れないようにするためには、薬局内の構造や設備も工夫したい。

 声の大きさやトーンに気を付けていても、カウンターでの服薬指導の内容が待合にいる他の患者に聞こえてしまうことがある。それを防ぐために、そうごう薬局天神センタービル5階店(福岡市中央区)では、1年ほど前に「スピーチプライバシーシステム」(製造販売:ヤマハ)を導入した(写真5)。

写真5 会話を周りに聞こえにくくする工夫

同店では、ヤマハの「スピーチプライバシーシステム VSP-1」(メーカー希望小売価格10万5000円[税込み])を導入。この装置から流れる音によってカウンターでの話し声がマスキングされて、待合にいる人たちは会話の内容が聞き取れなくなる。

 これは、大きな音で会話をかき消すのではなく、特殊な合成音で会話の内容を包み隠す。声は聞こえるが、言葉が不明瞭になり内容が聞き取れない状態となる。カウンターの足元に置かれたスピーカーからは、せせらぎなどの音が出ているようにしか聞こえない。

 同店薬局長の中村信三氏は「導入する少し前に、ある患者さんから『あんなに大きな声で話をしたら、他の人に聞こえてしまうじゃないか』とお叱りの電話をもらった」と打ち明ける。同店では、それまでもプライバシーには配慮してきたが、指摘を受けて声の大きさなどに気を配るよう、改めてスタッフ全員に徹底したという。

 同店は、ビジネス街のビル内にあり、同じフロアには婦人科や皮膚科、内科などの診療所がある。プライバシーを気にする患者が多いことから、その後、同システムを導入したが、中村氏は「これまでデリケートな話題は、ぼそぼそと話していたが、はっきり話すことができるようになり、薬や疾患に関する説明がしやすくなった」とメリットを語る。

 患者からも、「他の患者さんに話が聞こえなくていいね」と言われることが多いという。ただし、これさえあれば会話内容が全く漏れないわけではないため、声の大きさなどには引き続き注意を払っているという。

 同店では、待合のソファをカウンターとは別の方に向いて座るように配置し、カウンターに目が向かない位置にテレビを設置するなど、薬局内のレイアウトにも工夫している(下図面)。カウンターに向かって座っていると、薬剤師が発する声が聞こえやすいからだ。また、薬を交付する際には患者を氏名ではなく番号で呼び出している。

(1)ソファは、カウンターとは別の方向に向いて座るように配置。カウンターで話している人や会話内容に意識が向かないようにしている。(2)デリケートな話をするときは、待合のソファから最も遠い6番のカウンターを使用することもあるという。(3)氏名ではなく番号で呼び出し、個人情報保護に努めている。ただし、患者の取り間違いがないよう、カウンターではしっかり氏名を確認する。

全ての患者に個室で渡す

 最近は、カウンターにパーティションを設ける薬局が多い。写真7の「カウンターに+αの工夫」のように、頭の上まで隠れるパーティションを設置したり、カウンターを段状にずらすなどで、他の患者に話が聞こえにくくする工夫もできる。

 ただし、パーティションがあっても完全にプライバシーが保てるわけではない。そこで、国立病院機構大阪南医療センターの門前にあるつぼみ薬局(大阪府河内長野市)では、服薬指導のための小部屋を設けている(写真6)。病院、調剤薬局、ドラッグストアでの勤務経験がある同薬局代表の澤田清信氏は、「病棟に比べて、薬局では話をしてくれる患者さんが少ない。それはじっくり話ができる環境が薬局にないからではないか」と考えたという。そこで、2012年5月に同薬局を開局する際、「プライバシーを守る」をコンセプトに服薬指導用の部屋を造った。

写真6 カウンターを設けずに個室を設置

受付の左右にある小部屋で、全ての患者に薬を渡している。引き戸を閉めると完全な個室となる。

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 最初は癌患者など、より配慮が必要な患者だけを部屋に案内して、それ以外の患者はカウンターで服薬指導しようと考えていたが、「部屋に呼ばれるのは特別な疾患だと周りが感じると、かえって嫌な思いをさせてしまうのではないかと考え、思い切って全員に部屋で薬を渡すようにした」と澤田氏は言う。

 部屋の入り口は引き戸で、閉めると完全な個室となる。個室だと緊張したり嫌がる患者がいるので普段は開けておき、じっくり話をする場合やデリケートな話に及んだときには、「閉めましょうか」と患者に確認して戸を閉める。

 患者の中には、「以前に通っていた他の薬局は、あまりゆっくり話せなかったので、この薬局ができて良かった」と話す人も少なくないという。

写真7 カウンターに+αの工夫

パーティションは、座った患者の頭の上までの高さで、個室のような空間となっている。緑色を基調としたすりガラスで、圧迫感がない。

カウンターを、直線に配置するのではなく、段状にずらした構造(雁行)にした。隣の患者との距離が遠くなる分、会話が聞こえにくい。

カウンターの奥行きが狭めで、薬剤師と患者との距離が近いので、小さな声で会話ができ、待合に内容が聞こえにくい。

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