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特集:患者情報の取り扱い、再チェック!
プロローグ 患者情報の管理を今、徹底すべき理由
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

個人情報保護の観点から、情報を使用する目的や管理方法を明示しておくことが求められている。

 「患者情報の取り扱いは、業務に慣れてくるとルーズになりがち。管理の体制などを、薬局全体で再点検してほしい」。こう話すのは、医療情報のセキュリティーなどに詳しい東京大学大学院情報学環准教授の山本隆一氏だ。

「患者情報の取り扱いは、慣れてくるとルーズになりがちなので、いま一度、薬局全体で見直してほしい」と話す東京大学大学院の山本隆一氏。

 そもそも、薬剤師には守秘義務がある。加えて、薬局は表1に挙げたガイドラインの遵守が求められている。これらは、今始まったことではないが、以前に比べ薬局で取り扱う患者情報は確実に増えており、取り扱いにもより注意が必要になっている。

表1 患者情報を管理する上で、薬局が遵守を求められているガイドライン

「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」

「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)に基づき、医療および介護事業関係者が、個人情報を取り扱う際に求められる対応などがまとめられている。現場で想定される疑問をまとめたQ&A(事例集)も併せて目を通しておきたい。厚生労働省が2004年に通知、06、10 年に改正。

⇒詳細はこちら(厚生労働省のサイトから)

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」

個人情報を含む薬歴などを、電子的に管理する上で求められる対応がまとめられている。全10章のうち、1~6章は全ての薬局が読んでおくべき内容。厚労省が05 年に作成、これまでに4回改定。iPadなどの新たなタブレット型多機能端末での管理などに関して、近く検討が始まる。

⇒詳細はこちら(厚生労働省のサイトから)

 例えば、訪問服薬指導のため患家に行く薬剤師が増え、患者の生活環境をより詳細に知り得るようになってきた。

 また、訪問の際には薬歴などのデータを薬局外に持ち出すことも多く、置き忘れや盗難による情報漏洩のリスクが高まる。

 薬局内について見ると、電子薬歴化によって紙の薬歴よりも大量のデータを取り扱うことが可能となり、異なる店舗での情報共有もできるようになった。

 昨年、大手の薬局チェーンが患者情報を記録したUSBメモリーを紛失したと公表した。レセコンの切り替えを行った業者が、USBを誤って廃棄したためというが、大量のデータを扱う昨今、どの薬局でも起きる可能性がある。

 また、服薬指導の充実が求められるようになり、患者との会話も増えている。カウンターにパーティションを付けている薬局は増えたが、薬剤名や症状などが他の患者に“まる聞こえ”になっていることはしばしばある。

 「薬局が情報を流出して裁判に至った事例はないと思われるが、その場でお金を払っているケースは多いのではないか」と、弁護士で薬剤師の資格を持つ小林法律事務所の小林郁夫氏は話す。

 一方で、「自分のことを大声で話されるのはもちろんだが、聞かされる他の患者も、『ここの薬局は配慮がない。もう利用しない』と思って本当に行かなくなるケースは少なくない」と、患者からの電話相談などを行うNPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は指摘する。

 情報の取り扱いがルーズになり、いつの間にか患者の信用を失ってしまう事態も起こりかねないのだ。

 次からは、いま一度見直しておくべき患者情報の管理のポイントをまとめながら、現場の取り組みを紹介する。

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