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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A) 新しい糖尿病治療薬に関心がある患者
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

出題と解答 : 安 武夫
(東京大学医科学研究所附属病院薬剤部)

A1

(2)SGLT2阻害薬

 糖尿病治療薬は近年、インクレチン関連薬が登場して選択の幅が広がった。今後期待されている新機序の経口糖尿病薬に、「SGLT2阻害薬」がある。

 腎糸球体で濾過された原尿が尿細管を通過する間に、生体に必要な栄養分や水分は再吸収される。中でもグルコースは、腎近位尿細管に特異的に発現するSGLT2(sodium glucose co-transporter、ナトリウム依存性グルコース輸送担体)を介して、細胞内に取り込まれて再吸収される。原尿中のグルコースの約90%がSGLT2を介して再吸収される。そのため健康な人では、排泄される尿中にはグルコースがほとんど含まれない。

 SGLT2阻害薬は、このSGLT2を選択的に阻害することで、グルコースの再吸収を抑制する。結果的に、血中の余剰なグルコースが尿中に排泄され、血糖が低下する。インスリン非依存的に血糖を低下させるため、低血糖のリスクが少ない。

 現在、国内では6種類のSGLT2阻害薬が開発中である(表)。最も開発が進んでいるのは、イプラグリフロジン L-プロリン(開発コードASP1941)で、アステラス製薬は3月13日、2型糖尿病を適応症として承認申請を行った。国内第3相臨床試験では、イプラグリフロジン単剤投与群ではプラセボ投与群に比べ、HbA1cの有意な低下が認められたほか、既存の6種類の血糖降下薬と長期併用した試験においても、イプラグリフロジンの有効性および安全性が確認されている。

表 開発中のSGLT2阻害薬

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 また、別の臨床試験では、血圧低下効果や、最大1.7kgの体重減少効果も報告されている。一般に、SGLT2阻害薬を投与すると、1日当たり50~100gのグルコースが尿中に排泄されることから、体重減少効果には、尿糖排泄に伴うエネルギー喪失や脂肪分解亢進のほか、浸透圧利尿による尿量の増加が関与していると考察される。一方、副作用としては、軽度の会陰部掻痒症、膣炎、尿路感染症などが報告されたが、対照群との有意差は見られなかった。

 Yさんが待合室で会った患者は、恐らくSGLT2阻害薬の治験に参加していたのだろう。現在のところSGLT2阻害薬の承認時期は未定であり、過度の期待を抱かないよう丁寧に説明する必要がある。また、Yさんの場合、インスリン導入が遅れれば、糖尿病の増悪や合併症の進展を招く恐れもあることから、薬剤師としても、インスリン導入をサポートしていくことが望ましい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Yさんが他の患者さんからお聞きになった飲み薬は、「SGLT2阻害薬」のことだと思います。今あるお薬とは異なり、尿の中に糖を出すことで血糖値を下げるのですが、実はまだ日本では販売されていません。その方は、お薬の効果や安全性を調べる研究に参加した際に服用されたのでしょう。

 残念ながら日本で使えるようになるまでには、しばらく時間が掛かります。それまでは、先生が提案されたように、インスリンを使って血糖値をコントロールしてはいかがでしょうか。インスリンの注射は面倒だと思うかもしれませんが、コツをつかめば難しくありません。私どももサポートさせていただきますので、先生と相談しながら、きちんと治療を続けていきましょう。

参考文献
Prog Med 2012;32:1899-902.

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