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薬局なんでも相談室1
相談室1:食物アレルギー診療の基本を知りたい
日経DI2013年4月号

2013/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2013年4月号 No.186

 昨年、乳製品アレルギーの女児が、給食のチーズ入りチヂミを食べてアナフィラキシーショックを起こし死亡するという痛ましい事故がありました。こうした緊急の事態のために、食物アレルギーの患者には、自己注射薬のエピペンが処方されています。

 エピペンは、アナフィラキシー時に起こる血圧低下や組織の浮腫を防ぎ、全身の臓器の循環動態を維持する薬剤で、免疫グロブリン(Ig)E依存性の即時型食物アレルギーと診断した患者に処方されます。

 患者からは、「怖くて打てない」「打つタイミングが分からない」「打った後どうなるか、副作用(蒼白や振戦、頭痛など)が怖い」と言われることも多いのですが、エピペンを打つタイミングを逸すると取り返しのつかないことになります。私は「迷ったら副作用を恐れずすぐ打ちましょう」と伝えています。

 服薬指導のポイントとしては、(1)練習用のキット(トレーナー)で打つ練習を日ごろから行う(いざというときに動揺せずに打てるように)、(2)携帯するなど、すぐに打てる場所に保管する、(3)打つタイミングを知る(アナフィラキシーの重症度を示した表を、すぐに参照できるように携帯しておく)─の3点が重要です。アナフィラキシーが重篤な場合もあるので、エピペンを打った場合でも、すぐに受診するよう指導してください。

食物負荷試験は原則入院で

 食物負荷試験は、患者数の多いIgE依存性の即時型食物アレルギーを診断するために行われます。具体的には、抗原となる食物を患者さんに食べさせて、体が反応を起こすかどうか、起こすならどのくらいの量で起こすのかを確かめます。当然のことながら、この試験は、アナフィラキシーの危険を伴います。そのため、アナフィラキシーの対応に十分な経験を持った医師が、緊急時の対応ができる体制を整えた上で行うことになります。

 この試験を入院と外来のどちらで行うかの基準は施設ごとに異なっており、一律ではありません。外来で行う場合は、エピネフリンの注射薬や輸液の準備など、アナフィラキシーショックへの対応を速やかに実行できる体制にしておく必要があります。なお、私が勤務する国立成育医療研究センター病院では、アナフィラキシー症状を起こす可能性のある患者の食物負荷試験は、原則として入院で行っています。

 抗原食物が即時型反応を惹起する閾値量を調べるときは、少量から段階的に増量しながら行うので、時間がかかります。非常に軽度な反応では判定が難しいので、はっきりした症状が出る量まで食べてもらうこともあります。

 即時型反応が強く出た場合は、数時間後にも反応を起こすことがあり、朝から試験を始めても夜まで経過観察が必要です。そのため、入院でないと安全に行うのは難しいといえるでしょう。

 血液検査や皮膚テスト(プリックテストやスクラッチテスト)、特異的IgE抗体価が陰性を示す食品を初めて食べる(アナフィラキシーを起こす確率が極めて低い抗原食物を微量から経口摂取する)場合で、安全性が高いと判断できれば、外来で食物負荷試験を行うこともあります。

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